2022年03月30日

Gilberto Gil『Um Banda Um』

自己のバンドUm Banda Umを率いた初レコーディング☆Gilberto Gil『Um Banda Um』

発表年:1982年
ez的ジャンル:男性MPB
気分は... :俺のバンドだ!

今回はMPBを代表する大物アーティストGilberto Gilが1975年にリリースした『Um Banda Um』(1982年)です。

Caetano Velosoと並ぶブラジル音楽界の牽引者Gilberto Gilについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。

 『Gilberto Gil(邦題:日曜日の公園で)』(1968年)
 『Gilberto Gil (1969)』(1969年)
 『Gilberto Gil(邦題:イン・ロンドン)』(1971年)
 『Refazenda』(1975年)
 『Realce』(1979年)

本作は彼が初めて自己のバンドUm Banda Umを結成し、レコーディングした第一弾アルバムとなります。

プロデュースはLiminha

Rubens Sabino(b)、Wilson Meirelles(ds)、Jorge Barreto (Jorjao)(key)、Ricardo Silveira(g)、Celso Fonseca(g)、Givaldo Jose (Repolho)(per)等がバンドUm Banda Umのメンバーとして参加しています。

後の名ギタリストCelso Fonsecaにとっては、本作が実質的な初レコーディングだったらしいです。

「Pula, Caminha」「E Menina」以外はGilberto Gilのオリジナルです。

アルバム全体を通じて、モダンなメロウ・サウンドが印象的です。

AOR/シティ・ポップ調の「Deixar Voce」「Pula, Caminha」、リズミックで開放的な「Banda Um」
ブラジルの伝統リズムとメロウ・フィーリングを融合させた「Andar Com Fe」「Afoxe E」、レゲエ調の「Esoterico」「Drao」あたりが僕のオススメです。

自己のバンドを率いる充実感や喜びがそのままサウンドになったような1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Banda Um」
新たなバンド名と同時に、アフリカ伝来の宗教ガンドンブレから派生したブラジル南部で信仰される心霊主義的習合宗教ウムバンダ(Umbanda)の意味も含むタイトル曲。リズミックで開放的なサウンドが春の訪れのこの時期にフィットします。
https://www.youtube.com/watch?v=x7ukusQ3v0s

「Afoxe E」
ガンドンブレの儀式でのリズムを起源とするアフォシェーを讃えた歌。伝統的なリズムと都会的なメロウ・サウンドが違和感なく融合させているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gbHNay68zZQ

「Metafora」
「隠喩」という邦題が示すように、詩人としてのGilの才を楽しめるSSWらしい仕上がり。終盤にはThe Beatles「Penny Lane」のメロディの口笛が聴こえてくるのが嬉しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2lAxQILeg-g

「Deixar Voce」
ムーディーなサックスと共に始まるブラジリアンAOR調のラブ・ソング。アーバン・メロウなGilberto Gilを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=WOX7mqaEA2c

「Pula, Caminha」
Manezinho Araujo/Marino Pinto作。1950年代に書かれたカーニヴァルのマルシャのカヴァー。ここではシティ・ポップ調の爽快チューンで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=8l4jBBj-Kaw

「Andar Com Fe」
本作からのヒット曲。ブラジルの伝統リズムとメロウ・フィーリングを融合させ、リズミックながらもゆったりとした雰囲気を醸し出しているのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=FCIeFrxgbfM

「Drao」
爽快メロウ・チューンですが、レゲエのようなムードも醸し出します。その意味ではレゲエのラヴァーズ・ロックとセットで聴いてもフィットするかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=LAsAYoZ0aKs

「Esoterico」
Bob Marley & The Wailers「Is This Love」を思わせるイントロが印象的なレゲエ調の仕上がり。「Is This Love」大好きの僕としては大歓迎です。
https://www.youtube.com/watch?v=9eayEjCdiys

「Menina Do Sonho」
このトラックもレゲエ調ですが、フラメンコ調のギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=QBrlwnjoY1c

「E Menina」
Joao Donato/Gutemberg Guarabira作品をカヴァー。メロウなシンセ音色や女性コーラス隊、Gilの歌声が一体になったピースフルな雰囲気が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=kKonyJb3Mls

「Nossa」
ラスト的な感動的で味わい深く締め括ってくれます。シンセの音色のセンスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2xLh1T_anFg

僕の保有CDには以下の収録曲の別ヴァージョン6曲が追加収録されています。
「Afoxe E (Primeira Versao)」
「Deixar Voce (Primeira Versao)」
「Esoterico (Primeira Versao)」
「Banda Um (Primeira Versao)」
「E Menina (Primeira Versao)」
「Esoterico (Regravacao Take1)」

他のGilberto Gil作品もチェックを!

『Louvacao』(1967年)
ロウヴァサォン

『Gilberto Gil(1968)』(1968年)
Gilberto Gil 1968

『Gilberto Gil (1969)』(1969年)
Gilberto Gil

『Gilberto Gil(1971)』(1971年)
Gilberto Gil

『Expresso 2222』(1972年)
Expresso 2222

Caetano Veloso e Gilberto Gil『Barra 69 - Caetano e Gil Ao Vivo na Bahia』(1972年)
Barra 69

『Gilberto Gil Ao Vivo』(1974年)
Ao Vivo

Gilberto Gil & Jorge Ben『Gil & Jorge - Ogum - Xango』(1975年)
Gil & Jorge

『Refazenda』(1975年)
ヘファゼンダ(BOM1801)

『Refavela』(1977年)
Refavela

Gilberto Gil & Rita Lee『Refestanca』(1977年)
Refestanca - Ao Vivo

『Gilberto Gil Ao Vivo Em Montreux』(1978年)
Ao Vivo Em Montreux

『Realce』(1979年)
Realce

『Nightingale』(1979年)
Nightingale

『Luar (A gente precisa ver o luar)』(1981年)


『Extra』(1983年)


『Raca humana』(1984年)


『Parabolicamara』(1992年)


Caetano Veloso & Gilberto Gil『Tropicalia 2』(1993年)


『Quanta』(1997年)


『O sol de Oslo』(1998年)


Gilberto Gil & Milton Nascimento『Gil & Milton』(2000年)


『Kaya N'Gan Daya』(2002年)


『Gil luminoso』(2006年)


『Gilbertos Samba』(2014年)


『Ok Ok Ok』(2018年)
posted by ez at 00:21| Comment(2) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月27日

Stokley『Sankofa』

Jam & LewisのPerspectiveからリリースされた2ndソロ☆Stokley『Sankofa』

発表年:2021年
ez的ジャンル:永遠の若大将系男性R&B
気分は... :ルーツを忘れない!

新作からMint Conditionのリーダー&リード・シンガーStokley Williamsの2ndソロ・アルバム『Sankofa』です。

新作と呼ぶには少し時間が経っているかもしれませんが・・・

これまで当ブログで紹介したMint ConditionおよびStokleyの作品は以下の6枚。

Mint Condition
 『Meant To Be Mint』(1991年)
 『Definition Of A Band』(1996年)
 『Life's Aquarium』(1999年)
 『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
 『E-Life』(2008年)
Stokley Williams
 『Introducing Stokley』(2017年)

『Introducing Stokley』(2017年)以来の2ndソロ・アルバム『Sankofa』は、Jam & Lewis(Jimmy Jam/Terry Lewis)が再興させたPerspectiveRecordsからのリリースとなります。

『Sankofa』というアルバム・タイトルは、ガーナ語で"ルーツを忘れない"という意味らしく、アフリカ系アメリカ人としてのルーツ、自身の音楽ルーツ等への思いが込められています。

エグゼクティヴ・プロデューサーとしてJam & Lewis(Jimmy Jam/Terry Lewis)がクレジットされ、Stokley自身がプロデュースを務めています。

H.E.R.Snoop DoggWaleShakespeare!(Tradessa Willis/Trevon Trapper)Bonfyre、さらにはガーナ・ハイライフの若きスターKiDiといったアーティストがフィーチャリングされています。

2020年にシングル・リリースし、US R&BチャートNo.1となったヒット・シングルのExtendedヴァージョン「She (Extended)」をはじめ、Snoop Doggをフィーチャーした「Vibrant」H.E.R.をフィーチャーした「Rush」KiDiをフィーチャーした「Woman」Waleをフィーチャーした「Cafe」あたりが目立ちます。

個人的には、Shakespeare!をフィーチャーした「Clouds」Bonfyreをフィーチャーした「Cascade」、70年代ソウルへのオマージュ「Jeopardy: Verbalize」あたりもオススメです。

全体的にスティール・パンの音色がいいアクセントになっているのがStokleyらしいですね。

イマイチ日本では話題になっていない気がしますが、R&Bファンは満足度の高い1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Sankofa -past-」
アルバムのプロローグはアフリカン・リズムを強調しています。ソングライティングにはJam & Lewisも名を連ねます。
https://www.youtube.com/watch?v=s9F3WDHUNcQ

「Vibrant」
Snoop Doggをフィーチャー。スティール・パンも含めた開放的なリズムと、ウエッサイなファンク・テイストをうまく融合させたミディアム・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=nCyCvKdjEZw

「Cafe」
Waleをフィーチャー。スパークル・フィーリングのミディアム・バラード。Stokleyというアーティストのスケールの大きさを再認識しています。Waleのラップもよく調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=rzQM2VLTvFs

「She (Extended)」
2020年にシングル・リリースし、US R&BチャートNo.1となったヒット・シングルのExtendedヴァージョン。Stokleyらしい魅力に溢れた素敵ななR&Bバラード。名曲誕生ですね。Commodores「Lady (You Bring Me Up)」ネタも引用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=NPFZ5nJIlsk

「Vudoo」
哀愁ミディアムですが、スティール・パン等のパーカッシヴ感がStokleyらしいですね。終盤におけるJesse Larsonのロッキンなギター・ソロも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=UK810UtNboY

「Clouds」
Tradessa Willis/Trevon TrapperのデュオShakespeare!をフィーチャー。個人的には本作で一番のお気に入り。ダンサブルなエッセンスとソウル・バラードなエッセンスを見事に調和させたチャーミングな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=_mQUkDF5QDA

「Homecoming: Interlude」
スティール・ドラム、トーキング・ドラム等すべての楽器をStokleyが演奏するアフリカン&カリビアン・モードのインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=1gZ4UdWqhXg

「Cascade」
Bonfyreをフィーチャー。Jam & Lewisがソングライティングで参加し、Jimmy Jamはキーボードでも参加しています。PVを観ても分かるように、華のある男女R&Bデュエットに仕上がっています。このトラックも大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=_kGwKdJZ8oM

「Rush」
H.E.R.をフィーチャー。プロデュース面でも彼女と共同です。ドリーミー&ビューティフルなオルタナR&Bに仕上がっています。StokleyがH.E.R.の新たな魅力を引き出している感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=e9LimhzsfF4

「Sankofa -present-」
短いインタールード
https://www.youtube.com/watch?v=yAa-kTxcXpA

「Recipe」
ロッキン・モードのファンク・ロック。Jesse Larsonのロッキン・ギターが活躍します。
https://www.youtube.com/watch?v=YUoFzjPAtcQ

「Woman」
ガーナ・ハイライフの若きスターKiDiをフィーチャー。StokleyとS-Dotの共同プロデュース。スティール・パンがいいアクセントになっている女性への愛情に満ちたラブ・バラード。ガーナで撮影されたPVもいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=HfwcPlSxjOU

「Cascade-Lvrs Quarrel (Remix)」
「Cascade」のリミックス、というか別ヴァージョンです。より哀愁モードが強調されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Wtuccru58Gg

「Trinkutsi: Interlude」
スティール・パンの音色が映えるインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=2HpOVuX70K8

「Jeopardy: Verbalize」
Snoop Doggをフィーチャー。Silk Sonicあたりにも通じる70年代ソウルへのオマージュ。この手のスウィート・ソウル・バラードを歌わせたらStokleyはピカイチですよね。ここでのSnoopは隠し味程度の参加です。
https://www.youtube.com/watch?v=EnOxbDXykRA

「Slip」
派手さはありませんが、Stokleyらしい雰囲気を楽しめるミディアム。Stokleyの声質の良さを実感できます。Sergio Selimのトークボックスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=-1VAV1xvpyU

「Lost」
ジワジワくるミディアム。Stokley自身のドラミングにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=LWGnUD1Z-8c

「Sankofa」
ラストはJam & Lewisもソングライティングで参加したタイトル曲で締め括ってくれます。母なる大地を感じるスケールの大きなエンディングです。
https://www.youtube.com/watch?v=7hg7wT-1lc8

Mint Conditionの他作品やStokley Williamsのソロもチェックを!

Mint Condition『Meant To Be Mint』(1991年)
Meant to Be Mint

Mint Condition『From the Mint Factory』(1993年)
From the Mint Factory

Mint Condition『Definition Of A Band』(1996年)
Definition of a Band

Mint Condition『Life's Aquarium』(1999年)
Life's Aquarium

Mint Condition『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
Livin the Luxury Brown

Mint Condition『E-Life』(2008年)
E-ライフ

Mint Condition『7』(2011年)
7

Mint Condition『Music at the Speed of Life』(2012年)
Music at the Speed of Life

Stokley『Introducing Stokley』(2017年)
Introducing Stokley
posted by ez at 01:51| Comment(2) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月25日

『今の気分は...springかな』

過去記事から10曲セレクトするシリーズです。
今回は1990-2010年代カテゴリーからタイトルに「spring」が含まれる10曲をセレクトしました。

特に「It Might as Well Be Spring」は、Stacey KentCassandra Wilsonの聴き比べにしてみました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

Stacey Kent「It Might as Well Be Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=XOiTM0ATkLA
From 『In Love Again: The Music of Richard Rodgers』(2002年)
In Love Again

Jacky Terrasson & Cassandra Wilson「It Might as Well Be Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=PgbFTOZyR4c
From 『Rendezvous』(1997年)


Nicola Conte「A Time For Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=7TmdgkG152E
From 『Other Directions』(2004年)


Jill Scott「Spring Summer Feeling」
https://www.youtube.com/watch?v=BI1p1_OFF6I
From 『Beautifully Human: Words and Sounds Vol. 2』(2004年)
ビューティフリー・ヒューマン

Nathan Haines「Springtime Rain」
https://www.youtube.com/watch?v=TY5Ec8egRgg
From 『Squire For Hire』(2003年)
Squire for Hire

Dexter Story「Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=PHAhkhEFajQ
From 『Seasons』(2013年)
Seasons

Ivan Lins「Agua Doce (I Love You) - Spring Water」
https://www.youtube.com/watch?v=DSeG5pK_h70
From 『Awa Yio』(1991年)


Quantic Presenta Flowering Inferno「Spring Tank Fire」
https://www.youtube.com/watch?v=3417-a91H0U
From 『1000 Watts』(2016年)
1000 Watts [帯解説・ボーナストラック4曲収録 / 国内盤CD] (BRC514)

30/70「Nu Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=R0TZN_YQAZ0
From 『Elevate』(2017年)
エレヴェイト

Tropics「Torrents of Spring」
https://www.youtube.com/watch?v=nPXSixOOVmo
From 『Rapture』(2015年)
Rapture
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2022年03月23日

Kenny Clarke, Francy Boland And Company『The Golden 8』

双頭リーダーによる第一弾アルバム☆Kenny Clarke, Francy Boland And Company『The Golden 8』

録音年:1961年
ez的ジャンル:双頭リーダー系ヨーロピアン精鋭ジャズ
気分は... :最初からスリリングだった!

今回は人気ビッグ・バンドThe Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandの出発点となる1枚、Kenny Clarke, Francy Boland And Company『The Golden 8』(1961年)です。

Modern Jazz QuartetのドラマーKenny Clarkeとベルギー出身のコンポーザー/ピアニストFrancy Bolandを双頭リーダーとしたエレガントなヨーロピアン・ビッグ・バンドThe Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Music for the Small Hours』(1967年)
 『Latin Kaleidoscope』(1968年)
 『All Smiles』(1968年)
 『More Smiles』(1969年)

本作はKenny ClarkeFrancy Bolandという双頭リーダーによるグループの第一弾アルバムとなり、後にThe Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandへと発展していきます。

メンバーはKenny Clarke(ds)、Francy Boland(p)以下、Dusko Goykovich(tp)、Jimmy Woode(b)、Karl Drevo(ts)、Derek Humble(as)、Raymond Droz(as)、Chris Kellens(bs)。

プロデュースはGigi Campi

この双頭ユニットの原点となる作品ですが、この段階でこのユニットらしいヨーロピアンなエレガントさと、クラブジャズ世代にも通じるスリリングさを備えていたことがよく分かります。

今日的なハイライトはクラブジャズ世代にも人気のアフロ・キューバン「Dorian 0437」ではないでしょうか。

「Strange Meeting」「The Golden Eight」「High Notes」といったオリジナルも今聴いても実に格好良いと思います。

「Softly, As In A Morning Sunrise」「You'd Be So Nice to Come Home To」といったスタンダードのカヴァーの小粋なセンスにも惹かれます。

The Kenny Clarke-Francy Boland Big Band好きの人は、ぜひチャックを!

全曲紹介しときやす。

「La Campimania」
Francy Boland作。Clarkeのドラミングが炸裂するオープニング。重厚なアンサンブルと躍動する疾走感も魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=MVop7HXzvos

「Gloria」
Bronislau Kaper/Mack David作。ロマンティックなバラード。ヨーロピアンなリリシズムを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=REBhmGAnoOA

「High Notes」
Francy Boland作。Jimmy Woodeのベースが牽引する演奏です。ここではDusko Goykovichのトランペット・ソロが映えます。
https://www.youtube.com/watch?v=E2YfH_n2JUI

「Softly, As In A Morning Sunrise」
Oscar HammersteinU作詞、Sigmund Ronberg作曲、ミュージカル『New Moon』の挿入歌のスタンダード「朝日のごとくさわやかに」をカヴァー。当ブログでは、Wynton KellySonny RollinsLarry YoungStefania Dipierroのカヴァーを紹介済みです。ここでは軽やかなホーン・アンサンブルによる小気味よい演奏に惹かれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_b4j43fQGUk

「The Golden Eight」
Francy Boland作。タイトル・トラックはこの双頭ユニットらしい疾走感に溢れたエキサイティングな演奏を楽しめます。Clarkeのドラミングもアドレナリン出まくりでグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ZO93pbbbUEA

「Strange Meeting」
Francy Boland作。クラブジャズ世代も気に入るスリリングな演奏なのでは?ここでの主役はDusko Goykovichのトランペット。キマりすぎています。
https://www.youtube.com/watch?v=l5zExsPZPHM

「You'd Be So Nice to Come Home To」
Cole Porter作。オリジナルは映画『Something to Shout About』(1943年)のために書かれたものです。当ブログではAnita O'DayBobby Timmons
ヴァージョンも紹介済みです。ここでは小粋なスウィンギー・フィーリングに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=StC81HpNxVg

「Dorian 0437」
Francy Boland作。今日的には本作のハイライトとなるであろう演奏。アフロ・キューバン・ジャズ×ヨーロピアン・ジャズなクロスオーヴァー感が魅力です。この双頭ユニットの美学を堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=4vKAe0GKoDY

「Poor Butterfly」
John Golden/Raymond Hubbell作。当ブログではSonny Rollinsヴァージョンも紹介済みです。ジェントルな哀愁バラードをしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-Ml5XEIxq68

「Basse Cuite」
Francy Boland作。タイトルの通り、Jimmy Woodeのベースが目立つ演奏です。ブルージーですが、エレガントな軽やかさを失わないのがこの双頭ユニットらしいですね。最後も実にキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Wz32E5eP2fo

The Kenny Clarke-Francy Boland Big Band関連の他作品もチェックを!

『Now Hear Our Meanin'』(1963年)
Now Hear Our Meanin

『Swing Waltz Swing』(1966年)
Swing Waltz Swing

『Music for the Small Hours』(1967年)
MUSIC FOR THE SMALL HOURS

『Sax No End』(1967年)
Sax No End

『All Smiles』(1968年)
All Smiles

『Latin Kaleidoscope』(1968年)
Latin Kaleidoscope/Cub

『Faces』(1968年)
Faces

『Fellini 712』(1968年)
Fellini 712

『All Blues』(1968年)
Clarke / Boland Big Band : All Blues (German Import)

『More Smiles』(1969年)
More Smiles

『Off Limits』(1970年)
Off Limits
posted by ez at 00:31| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月20日

Blue Lab Beats『Motherland Journey』

名門Blue Noteへの移籍第一弾アルバム☆Blue Lab Beats『Motherland Journey』

発表年:2022年
ez的ジャンル:新世代ジャズ系UKビートメイキング・デュオ
気分は... :自信と潔さ!

新作アルバムから期待のUKビートメイキング・デュオBlue Lab Beatsの3rdアルバム『Motherland Journey』です。

ビートメイカーNK OKことNamali Kwatenとマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーMr DMことDavid Mrakporという若き才能2人がロンドンで結成したユニットBlue Lab Beatsの紹介は、1stアルバムの国内独自編集盤『Xover』(2018年)に続き2回目となります。

『ezが選ぶ2018年の10枚』でセレクトしたほどお気に入りであった『Xover』(2018年)は、J Dillaの影響を感じるHip-Hopサウンドやネオソウル調R&Bサウンドとロンドン新世代ジャズ・サウンドをビートメイカーらしいセンスで巧みに融合した傑作でした。Hip-Hop/R&B、今ジャズ、クラブジャズ全てを飲み込んでしまう感じがサイコーでした。

2019年にリリースされた2ndアルバム『Voyage』は、アナログ・リリースのみであったため、殆ど話題にならず残念な限りです。

その後名門Blue Noteと契約し、EP「We Will Rise」(2021年)を経て、リリースされた移籍第一弾アルバムが3rdアルバムとなる本作『Motherland Journey』です。

ジャズの名門Blue Noteからですが、これまでのBlue Lab Beatsらしさは変わらない、ファンならば満足できる1枚に仕上がっています。これまで以上にメンバー自身の演奏に拘っているのが、もしかしたらBlue Note移籍の影響かもしれません。

本作にも多様なアーティストがフィーチャーされていますが、有名どころはサウス・ロンドンから登場したネオソウルの新星Ego Ella Mayくらいですかね。ゲストで話題づくりしないところに、彼らの自信と潔さを感じます。

当ブログでお馴染みのアーティストでいえば、L.A.を拠点に活動するStones Throw所属のピアニスト/ビートメイカーKieferもフィーチャリングされています。

Kaidi Akinnibi(sax)、Poppy Daniel(tp)、Jackson Mathod(tp)、Dylan Jones(tp)等のホーン隊も本作に貢献しています。

自分達のサウンドに自信を深めた彼らの音世界を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Sky Reflections (Intro)」
メンバー二人のみですべての楽器を演奏しているオープニング。メンバー自らの演奏に拘った本作を象徴しています。
https://www.youtube.com/watch?v=A63IYrEJ2fg

「Labels」
Tiana Major9 & Kofi Stoneをフィーチャー。女性シンガーTiana Major9は『Xover』にも参加していました。Blue Noteらしいジャズ・フィーリングに溢れたHip-Hopトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=n-l29LHcl1M

「I'll be Here For You」
黒人女性シンガーTeni Tinksをフィーチャー。クラブミュージック的ダンサブル・サウンドにUK新世代ジャズのエッセンスをうまく取り込んだトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=RmYc8DyvaAw

「Gotta Go Fast」
Poppy Danielsのトランペットをフィーチャー。Far Out Recordings作品のようなフュージョン×UK新世代ジャズなクロスオーヴァー感がモロに僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=Utwqiyntrp0

「A Vibe」
J Dilla的サウンドをメンバー自身の演奏でジャズ的に再現することを狙ったようなインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=KzOr7DtdPdY

「Don't Let It Get Away」
Emmavieをフィーチャー。UKアーティストらしいクロスオーヴァー・サウンドとキュートなEmmavieのヴォーカルがフィットしたドリーミーなメロウR&B。コレもかなり好き。
https://www.youtube.com/watch?v=Utwqiyntrp0

「Inhale & Exhale (Interlude)」
箸休め的なインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=NG3hs66ZEZ8

「Blow You Away (Delilah)」
EP「We Will Rise」(2021年)収録曲。Ghetto Boyをフィーチャー。カリビアン×R&Bなクロスオーヴァー感がBlue Lab Beatsらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=QfaChUMWI-s

「Sensual Loving」
再びGhetto Boyをフィーチャー。これはアフロ・ジャズ×R&Bなクロスオーヴァーですね。軽快なサウンドとエフェクトのかかったヴォーカルがフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=HCeBokHHkQo

「Motherland Journey」
タイトル曲はKillBeatz & Fela Kutiをフィーチャー。アフロビートの創始者Fela Kuti「Everything Scatter」をサンプリングし、アフロビート×UK新世代ジャズ×Hip-HopなBlue Lab Beatsならではの音世界を展開します。Kaidi Akinnibi(sax)、Poppy Daniel(tp)のホーン隊もいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=my9NF_BHs6E

「Ultramarine (interlude)」
ドラムのセッション感が印象的なインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=4GEAV-NBG3Q

「Warp」
Jackson Mathod(tp) & Kaidi Akinnibi(sax)のホーン隊をフィーチャー。UKクラブジャズとUK新世代ジャズの境界を意識しない彼ららしいサウンドを楽しめます。あくまで生音感覚なのが本作らしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=EsJe33RbZMk

「Slow Down」
サウス・ロンドンから登場したネオソウルの新星Ego Ella Mayをフィーチャー。コケティッシュなEgo Ella Mayのヴォーカルが映えるジャジーなネオソウル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=I3tGdomv9iU

「Dat It」
Stones Throw所属のピアニスト/ビートメイカーKieferをフィーチャー。音を聴かずとも、直感的にBlue Lab BeatsとKieferの相性の良さは想像できますね。Kieferらしさを尊重したピアノHip-Hopで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=V3NYpg5JJZ4

「Home」
Pip Millett & Dylan Jones(tp)をフィーチャー。Blue Noteらしいジャズ・サウンドをバックに、妖艶なPip Millettのヴォーカルと雰囲気のあるDylan Jonesのトランペットがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=9P5TZp40Yfg

「Real Good」
Jerome Thomasをフィーチャー。『Blue Note Re:Imagined』(2020年)でBlue Lab BeatsはBobby Hutcherson「Montara」をカヴァーしましたが、その際にヴォーカルを務めたのがJerome Thomasです。ここでもジャズ・フィーリングに満ちたJ Dilla経由のビートメイキングに乗って、Jerome Thomasがハイトーンのソウルフル・ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=2_hnVl0e4es

「Reflection (Outro)」
本編ラストはストリングス入りの美しいインストで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jsIqGZ-4Deo

国内盤CDにはEP「We Will Rise」(2021年)からの4曲が追加収録されています。

「Nights In Havana」
Alex Blakeをフィーチャー。本編以上にビートメイキング感が強調されたインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=i-eo8i4FPl4

「We Will Rise」
Braxton Cook(sax)をフィーチャー。UK新世代ジャズらしいダンサブルでモダンなインストに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IeYdVf4D_dY

「Great Lemon (Interlude)」
レモン感覚(?)の短いインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=UiZOZEvrlrw

「Tempting (Dance 2)」
Kojey Radical & Dtsoulをフィーチャー。UKラッパーKojey Radicalは、当ブログで紹介した作品でいえば、Ego Ella May『So Far』(2019年)、Sons Of Kemet『Black To The Future』(2021年)にも参加しています。ヴォコーダーを駆使した80年代ファンク愛に満ちたトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Aop9d67ZIxA

『Xover』(2018年)
クロスオーヴァー
posted by ez at 01:05| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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