発表年:2022年
ez的ジャンル:新世代ジャズ系UKビートメイキング・デュオ
気分は... :自信と潔さ!
新作アルバムから期待のUKビートメイキング・デュオBlue Lab Beatsの3rdアルバム『Motherland Journey』です。
ビートメイカーNK OKことNamali Kwatenとマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーMr DMことDavid Mrakporという若き才能2人がロンドンで結成したユニットBlue Lab Beatsの紹介は、1stアルバムの国内独自編集盤『Xover』(2018年)に続き2回目となります。
『ezが選ぶ2018年の10枚』でセレクトしたほどお気に入りであった『Xover』(2018年)は、J Dillaの影響を感じるHip-Hopサウンドやネオソウル調R&Bサウンドとロンドン新世代ジャズ・サウンドをビートメイカーらしいセンスで巧みに融合した傑作でした。Hip-Hop/R&B、今ジャズ、クラブジャズ全てを飲み込んでしまう感じがサイコーでした。
2019年にリリースされた2ndアルバム『Voyage』は、アナログ・リリースのみであったため、殆ど話題にならず残念な限りです。
その後名門Blue Noteと契約し、EP「We Will Rise」(2021年)を経て、リリースされた移籍第一弾アルバムが3rdアルバムとなる本作『Motherland Journey』です。
ジャズの名門Blue Noteからですが、これまでのBlue Lab Beatsらしさは変わらない、ファンならば満足できる1枚に仕上がっています。これまで以上にメンバー自身の演奏に拘っているのが、もしかしたらBlue Note移籍の影響かもしれません。
本作にも多様なアーティストがフィーチャーされていますが、有名どころはサウス・ロンドンから登場したネオソウルの新星Ego Ella Mayくらいですかね。ゲストで話題づくりしないところに、彼らの自信と潔さを感じます。
当ブログでお馴染みのアーティストでいえば、L.A.を拠点に活動するStones Throw所属のピアニスト/ビートメイカーKieferもフィーチャリングされています。
Kaidi Akinnibi(sax)、Poppy Daniel(tp)、Jackson Mathod(tp)、Dylan Jones(tp)等のホーン隊も本作に貢献しています。
自分達のサウンドに自信を深めた彼らの音世界を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Sky Reflections (Intro)」
メンバー二人のみですべての楽器を演奏しているオープニング。メンバー自らの演奏に拘った本作を象徴しています。
https://www.youtube.com/watch?v=A63IYrEJ2fg
「Labels」
Tiana Major9 & Kofi Stoneをフィーチャー。女性シンガーTiana Major9は『Xover』にも参加していました。Blue Noteらしいジャズ・フィーリングに溢れたHip-Hopトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=n-l29LHcl1M
「I'll be Here For You」
黒人女性シンガーTeni Tinksをフィーチャー。クラブミュージック的ダンサブル・サウンドにUK新世代ジャズのエッセンスをうまく取り込んだトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=RmYc8DyvaAw
「Gotta Go Fast」
Poppy Danielsのトランペットをフィーチャー。Far Out Recordings作品のようなフュージョン×UK新世代ジャズなクロスオーヴァー感がモロに僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=Utwqiyntrp0
「A Vibe」
J Dilla的サウンドをメンバー自身の演奏でジャズ的に再現することを狙ったようなインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=KzOr7DtdPdY
「Don't Let It Get Away」
Emmavieをフィーチャー。UKアーティストらしいクロスオーヴァー・サウンドとキュートなEmmavieのヴォーカルがフィットしたドリーミーなメロウR&B。コレもかなり好き。
https://www.youtube.com/watch?v=Utwqiyntrp0
「Inhale & Exhale (Interlude)」
箸休め的なインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=NG3hs66ZEZ8
「Blow You Away (Delilah)」
EP「We Will Rise」(2021年)収録曲。Ghetto Boyをフィーチャー。カリビアン×R&Bなクロスオーヴァー感がBlue Lab Beatsらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=QfaChUMWI-s
「Sensual Loving」
再びGhetto Boyをフィーチャー。これはアフロ・ジャズ×R&Bなクロスオーヴァーですね。軽快なサウンドとエフェクトのかかったヴォーカルがフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=HCeBokHHkQo
「Motherland Journey」
タイトル曲はKillBeatz & Fela Kutiをフィーチャー。アフロビートの創始者Fela Kuti「Everything Scatter」をサンプリングし、アフロビート×UK新世代ジャズ×Hip-HopなBlue Lab Beatsならではの音世界を展開します。Kaidi Akinnibi(sax)、Poppy Daniel(tp)のホーン隊もいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=my9NF_BHs6E
「Ultramarine (interlude)」
ドラムのセッション感が印象的なインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=4GEAV-NBG3Q
「Warp」
Jackson Mathod(tp) & Kaidi Akinnibi(sax)のホーン隊をフィーチャー。UKクラブジャズとUK新世代ジャズの境界を意識しない彼ららしいサウンドを楽しめます。あくまで生音感覚なのが本作らしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=EsJe33RbZMk
「Slow Down」
サウス・ロンドンから登場したネオソウルの新星Ego Ella Mayをフィーチャー。コケティッシュなEgo Ella Mayのヴォーカルが映えるジャジーなネオソウル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=I3tGdomv9iU
「Dat It」
Stones Throw所属のピアニスト/ビートメイカーKieferをフィーチャー。音を聴かずとも、直感的にBlue Lab BeatsとKieferの相性の良さは想像できますね。Kieferらしさを尊重したピアノHip-Hopで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=V3NYpg5JJZ4
「Home」
Pip Millett & Dylan Jones(tp)をフィーチャー。Blue Noteらしいジャズ・サウンドをバックに、妖艶なPip Millettのヴォーカルと雰囲気のあるDylan Jonesのトランペットがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=9P5TZp40Yfg
「Real Good」
Jerome Thomasをフィーチャー。『Blue Note Re:Imagined』(2020年)でBlue Lab BeatsはBobby Hutcherson「Montara」をカヴァーしましたが、その際にヴォーカルを務めたのがJerome Thomasです。ここでもジャズ・フィーリングに満ちたJ Dilla経由のビートメイキングに乗って、Jerome Thomasがハイトーンのソウルフル・ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=2_hnVl0e4es
「Reflection (Outro)」
本編ラストはストリングス入りの美しいインストで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jsIqGZ-4Deo
国内盤CDにはEP「We Will Rise」(2021年)からの4曲が追加収録されています。
「Nights In Havana」
Alex Blakeをフィーチャー。本編以上にビートメイキング感が強調されたインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=i-eo8i4FPl4
「We Will Rise」
Braxton Cook(sax)をフィーチャー。UK新世代ジャズらしいダンサブルでモダンなインストに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IeYdVf4D_dY
「Great Lemon (Interlude)」
レモン感覚(?)の短いインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=UiZOZEvrlrw
「Tempting (Dance 2)」
Kojey Radical & Dtsoulをフィーチャー。UKラッパーKojey Radicalは、当ブログで紹介した作品でいえば、Ego Ella May『So Far』(2019年)、Sons Of Kemet『Black To The Future』(2021年)にも参加しています。ヴォコーダーを駆使した80年代ファンク愛に満ちたトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Aop9d67ZIxA
『Xover』(2018年)