発表年:2022年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・アルゼンチン・フォルクローレ
気分は... :あり続ける時!
新作アルバムから、アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレの巨匠Carlos AguirreがCarlos Aguirre Quinteto名義でリリースする最新作『Va Siendo Tiempo』<です。
1965年アルゼンチン、エントレリオス州セギーの生まれのシンガー・ソングライター/ピアニスト/ギタリストCarlos Aguirreについて、当ブログでこれまで紹介したのは以下の4枚。
『Orillania』(2012年)
『Serpentina』(2017年)
※Andre Mehmari、Juan Quinteroとの共演
『La musica del agua』(2019年)
『En El Jardin』(2021年)
※Yotam Silbersteinとの共演
最新作は彼が長年構想してきたギター五重奏団による作品です。
キンテート・メンバーに選ばれたのは、Carlos Aguirre(g、b、vo、per、accordion、bandoneon、syn)以下、Luis Medina(g、vo)、Mauricio Laferrara(g、vo)、Mauro Leyes(g、b、vo)、Sebastian Narvaez (g、mandolin、vo)という5名。
Carlos Aguirre好きには大満足の美しく叙情的な音世界が展開されます。
ヴォーカル曲とインストが半々の構成も絶妙です。
清らかなギター・アンサンブルに魅せられるタイトル曲「Va siendo tiempo」、優しい語り口の「Zamba de los almacenes」、春の木漏れ日のような「Chaya errante」、長閑なムードの「Siesta de domingo」、美しい弦の響きに魅せられる叙情的な「Cancion por Santiago」あたりが僕のお気に入りです。
都会の喧噪から離れたい気分のとき、家に居ながらにして自然の情景モードに浸れる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Va siendo tiempo」
Carlos Aguirre作。邦題「あり続ける時」。本作を象徴する清らかなギター・アンサンブルに魅せられるオープニング。♪なぜなら今、人とのつながりを大切に、その根底に愛をもって生きるときだ♪という本曲に込めたメッセージも素敵です。
https://www.youtube.com/watch?v=lgYOiEfQ1F0
「Siempre azul」
Carlos Aguirre作。邦題「いつも青く」。チリへの旅路で目にした山並みの青さと川面の広がる青さがモチーフになっているようです。大自然の中に融け込んでいくような音世界です。
https://www.youtube.com/watch?v=OgYDpDi4968
「Color despedida」
Carlos Aguirre作。邦題「別れの色」。映画のために書かれたインスト曲。ここでのAguirreはアコーディオンを弾き、ギターを交えた味わい深いアンサンブルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wqX9c2kowuc
「Los amores de Cabre」
ベネズエラ人ギタリスト/詩人のEnrique Hidalgoの作品をカヴァー。初めて聴くのに懐かしさを感じる郷愁モードの仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=kQLf_eu7Qpg
「Chaya errante」
Carlos Aguirre作。ギター五重奏ならではの美しく瑞々しいアンサンブルを楽しめます。こんな音を聴きながら、春の木漏れ日を浴びていたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=643S9WpMDtE
「Zamba de los almacenes」
Carlos Aguirre作。邦題「よろづやのサンバ」。Carlos Aguirreらしい優しい語り口の1曲に仕上がっています。聴いているだけで心が和らぎ、優しい気持ちになれます。これぞCarlos Aguirreワールド!
https://www.youtube.com/watch?v=nycPKFzf8E4
「Nini」
Carlos Aguirre作。2016年に逝去したアルゼンチン人アコーディオン奏者Nini Floresに捧げられた1曲。元々は二人のデュオ用に書いた1曲だったようです。ここではNiniの遺志を受け継ぐようにAguirreがアコーディオンを弾いています。
https://www.youtube.com/watch?v=8DSaq5HWhSo
「Don Angel Borda」
Carlos Aguirre作。労働者の権利の戦った実在の人物について歌った1曲。フォルクローレらしい味わいのチャカレーラを素敵なギター・アンサンブルで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JZHFvZpgy0U
「Siesta de domingo」
Carlos Aguirre作。邦題「日曜日のシエスタ」。Aguirreのアコーディオン、4本のギターによる美しいインスト。休日昼間の長閑な気分にピッタリの穏やかな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=4tji-OlpBDo
「A gatas」
Carlos Aguirre作。アルゼンチン・フォルクローレの一形式であるガトというスタイルの曲なのだとか。ガトは「猫」を意味する名詞であり、この演奏を聴いていたら、僕の大好きなTV番組の一つである『岩合光昭の世界ネコ歩き』の映像を思い浮かべてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=jZpcHElXWXo
「Camino a Puerto Alvear」
Carlos Aguirre作。アコーディオン、ギターによる軽やかなアンサンブル。楽しげなに演奏する5人の姿が目に浮かんできます。
https://www.youtube.com/watch?v=HDYBDsFnNjU
「Puerto Soledad」
Henry Martinez/Carlos Aguirre作。邦題「孤独という名の港」。憂いを帯びたサウンドと切ないAguirreの歌声が胸の奥へ沁みてきます。こういう歌を聴きながら、独り内省モードに浸るのも悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=qqqry_jPClk
「Cancion por Santiago」
Carlos Aguirre作。ラストは、アルゼンチン先住民への思いが込められた叙情的な演奏で締め括ってくれます。ギター五重奏ならではの美しい弦の響きに魅せられます。
https://www.youtube.com/watch?v=bZdIa0k-Xxk
Carlos Aguirreの他作品もチェックを!
Carlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)
『Rojo』(2004年)
『Caminos』(2006年)
『Violeta』(2008年)
『Orillania』(2012年)
Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』(2017年)
『La musica del agua』(2019年)
Yotam Silberstein/Carlos Aguirre『En El Jardin』(2021年)