発表年:2018年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー・ジャズ
気分は... :ハイ・エナジー!
今回はスイス出身のキーボード奏者Eliyah Reichenのソロ・プロジェクトAphrotekの『Stories』(2018年)です。
Eliyah Reichenは1986年生まれのキーボード奏者/プロデューサー。
これまで『Eliyah Reichen Electric Quartet』(2014年)、Eliyah Reichen Electric名義の『Time Perceptions』(2016年)といったアルバムをリリースです。
また、当ブログでもデビュー・アルバム『Bible Belt』(2009年)が話題となった女性SSW、Diane Birchのバンド・メンバーとして来日もしています。
さて、Aphrotek名義でリリースした本作『Stories』(2018年)ですが、スイス、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリでレコーディングされたものです。
プロデュースはEliyah Reichenとスイス人ドラマーのDominik Burkhalter。
アルバムにはMeshell Ndegeocello、Louis ColeとのL.A.の超絶ポップ・ユニットKNOWERの女性シンガーGenevieve Artadi等のミュージシャンがフィーチャリングされています。
全体的にはUSジャズというよりも、UKジャズ/クロスオーヴァーの感覚に近いと思います。Hip-Hop、エレクトロのエッセンスを取り入れたトラックもあります。
ベースが格好良いコズミック・ジャズ「95 Percent」、アッパーなクロスオーヴァー「With A Twist」、Phase Oneをフィーチャーしたジャジー&メロウHip-Hop「Just A Light」、Meshell Ndegeocelloをフィーチャーしたコズミック&ミステリアスな「Let It Go」、KNOWERの女性シンガーGenevieve Artadiをフィーチャーした「Someday」あたりが僕のオススメです。
ジャズならではのエナジーをジャンル横断的に展開する魅力がある1枚です。
全曲紹介しときやす。
「95 Percent」
Donny McCaslin(sax) & Tim Lefebvre(b、electronics)をフィーチャー。二人はDavid Bowieの遺作アルバム『★』(2016年)にも参加したミュージシャンです。Tim Lefebvreのベースが格好良いインストのエレクトリック・ジャズ。コズミックな雰囲気もあります。
「With A Twist」
Taron Bensonのヴォーカルをフィーチャー。UKクラブジャズ好きの人向けのアッパーなクロスオーヴァー・チューン。
「Just A Light」
N.Y.ブロンクスを拠点に活動するラッパーPhase Oneをフィーチャー。ジャジー&メロウな生音Hip-Hopは僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=448arzE32ZM
「Let It Go」
Meshell Ndegeocello(vo) & Donny McCaslin(sax)をフィーチャー。ここでのNdegeocelloはヴォーカルに専念し、ベースはEliyahは弾いています。コズミック&ミステリアスなムードに包まれたトラックです。
「New York City」
USジャズというよりも、南ロンドンのUKジャズ好きの人がフィットしそうな、疾走するインスト・トラック。
「Kick Up The Dust」
Mikal Amin(Hired Gun)のラップをフィーチャー。Hip-Hop×クロスオーヴァー・ジャズな魅力があります。
「I Can't Breathe」
Melanie Charlesのヴォーカルをフィーチャー。2014年にN.Y.で起きたエリック・ガーナー窒息死事件をテーマとしたもの。タイトルの「I Can't Breathe」は、事件で亡くなった黒人男性エリック・ガーナー氏が息絶える前に繰り返したフレーズであり、ブラック・ライヴズ・マター運動でも連呼された言葉です。演奏はメロウ&ソウルフルなジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。
「River Styx Rider」
Mike Ladd(vo)/Donny McCaslin(sax) & Tim Lefebvre(b)をフィーチャー。70年代パンクの影響を感じる、パンク・ロック・ジャズとでも形容したくなる演奏です。
「Someday」
Genevieve Artadi(vo) & Gregoire Maret(harmonica)をフィーチャー。Louis ColeとのユニットKNOWERのヴォーカリストGenevieve Artadiの参加が注目です。そのGenevieveのヴォーカルを楽しむメロウ・ジャズなのですが、後半のGregoire Maretのハーモニカ・ソロも味わいがあっていい感じです。
「Tokyo」
国内盤CDボーナス・トラック。すべての演奏をEliyah一人で担当しているインスト。真夜中の東京のイメージでしょうか。
何だか落ち着かないままGWに突入しそうな予感
バイオリズムが下がっている気がるので立て直そう!