2022年05月18日

4KaST『Any Weather』

オトナな女性R&Bグループ☆4KaST『Any Weather』

発表年:1998年
ez的ジャンル:女性R&Bグループ
気分は... :落ち着き&みずみしさ!

今回は90年代女性R&Bグループから4KaST『Any Weather』(1998年)です。

4KaSTは、KishaKia (Kia Jeffries)、Sharissa (Sharissa Dawes)、Tashという4名がN.Y.で1995年に結成したグループ。

メンバーのうち、KiaはかつてOscarという女性グループのメンバーでした。また、Sharissa4KaST解散後、『No Half Steppin'』(2002年)、『Every Beat of My Heart』(2005年)という2枚のソロ・アルバムをリリースしています。

本作『Any Weather』(1998年)はグループ唯一のアルバム。

Gerald IssacTroy OliverBert PriceMalik PendletonFlavahood(Darryl "Big Baby" McClary/Mike "Suga Mike" Allen)Vincent HerbertHerb MiddletonKeny KornegayDarin Whittington等の多様なプロデューサーが起用されています。

なかなかのプロデューサー陣がそれぞれいい仕事をした好アルバムですが、商業的成功を収めることはできませんでした。

それでも90年代女性R&Bグループ好きは十分楽しめる1枚だと思います。

落ち着いた雰囲気のオトナR&Bながらも、キャッチーかつみずみずしい魅力があります。

シングルにもなった「I Tried」「Miss My Lovin'」、キャッチーなミディアム・グルーヴの「It's All Up To You」「If I Could」、オトナ・ヒップホップ・ソウルな「You Owe Me」「You Know」、素敵なバラードの「The Rose」「Rainy Daze」「Because I Love You」など僕好みのトラックに溢れています。

ガールズ・グループとは一味違うオトナ女性R&Bグループを満喫しましょう!

全曲を紹介しときやす。

「Ed Lover (Intro)」
雨音交じりのイントロ
https://www.youtube.com/watch?v=FiodA_Qhr0A

「Miss My Lovin'」
Mic Geronimoのラップをフィーチャー。シングルにもなりました。Nashiem Myrickプロデュース。James Brown「The Payback」ネタのグルーヴが心地よい、90年代女性R&Bグループらしい1曲に仕上がっています。グルーヴィーながらも落ち着いた雰囲気のオトナR&Bになっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-FTFpMVeLS8

「I Tried」
アルバムからの1stシングル。US R&Bチャート第46位となっています。Gerald Issac/Troy Oliverプロデュース。抑えたホーンながらも、しっかり聴かせてくれるミディアム。ジワジワと胸の奥に沁み渡ってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=t0kmOKi9fkI

「Rain Drop (Interlude) 」
インタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=OSguh5eUdF0

「If I Could」
Darryl "Big Baby" McClaryプロデュース。甘く切ないミディアム・グルーヴ。キャッチーなヴォーカルワークがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=t22IMsCipQY

「It's All Up To You」
Greg Smithプロデュース。90年代女性R&Bグループらしい雰囲気にグッとくる、僕好みのメロディアスなミディアム・グルーヴ。聴いていると自然と愛おしい思いが湧き上がってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=wzUbeGX8w1Y

「The Rose」
Bert Price/Lova Boiプロデュース。名バラードの雰囲気を醸し出す本トラックも大好き!透明感のあるリード・ヴォーカルとキャッチーなコーラスに魅せられます。
https://www.youtube.com/watch?v=_jQv6z7U3wU

「How Can I」
Malik Pendletonプロデュース。落ち着いた雰囲気のオトナR&Bですが、その一方でみずみずしい雰囲気もあるのが4KaSTの魅力かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=CqcA2gsDSFw

「Reality (Interlude)」
インタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=IauuGULJRm4

「You Owe Me」
Flavahood(Darryl "Big Baby" McClary/Mike "Suga Mike" Allen)プロデュース。抑えたトーンのオトナ・ヒップホップ・ソウル。ここでも落ち着きとみずみずさのバランスにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=VZfiV69230s

「You Know」
Tracey Leeのラップをフィーチャーしたヒップホップ・ソウル。Vincent Herbertプロデュース。決して歌いすぎず、甘く切ないグルーヴ感を重視しているのがいいですね。。
https://www.youtube.com/watch?v=yMzy3fXZIwk

「This Feeling」
Herb Middletonプロデュース。妖しげなグルーヴィー・サウンドと素晴らしいヴォーカル・ワークに魅せられるダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=HqT3bwtEGs0

「Any Weather」
Herb Middletonプロデュース。タイトル曲は雨音と共に始まるバラード。ヴォーカル・ワークがしっかりしているグループなので、オーセンティック・バラードがよく似合います。
https://www.youtube.com/watch?v=m_A12rnqtQ8

「Big Lez (Interlude)」
インタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=PjhEnFzWOY8

「I Spoke To You (Interlude)」
インタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=EZ5XL5ogqW4

「Rainy Daze」
Keny "Smoove" Kornegay/Daryl "88" Youngプロデュース。僕好みの甘く切ないバラード。彼女たちの素晴らしいヴォーカル・ワークを存分に堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=6aTRDHpUGug

「Because I Love You」
Kia Jeffries/Darin Whittingtonプロデュース。本編ラストはピュア・ムードのオーセンティックなラブ・バラードで感動的に締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=n0ni7f8Mxqo

CDにはさらにア・カペラのシークレット・トラックが1曲収録されています。

ご興味がある方はSharissaのソロ・アルバムもチェックを!

Sharissa『No Half Steppin'』(2002年)


Sharissa『Every Beat of My Heart』(2005年)
posted by ez at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月15日

Flora Purim『If You Will』

約17年ぶりの最新作☆Flora Purim『If You Will』

発表年:2022年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フュージョン・レジェンド女性シンガー
気分は... :傘寿でこの歌声!

今回はブラジリアン・フュージョンのレジェンド女性シンガーFlora Purim、約17年ぶりの最新作『If You Will』です。

旦那のAirto Moreiraと共にブラジリアン・フュージョンを牽引してきた女性シンガーFlora Purimについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の5枚。

 『Butterfly Dreams』(1973年)
 『Stories To Tell』(1974年)
 『Nothing Will Be As It Was...Tomorrow』(1977年)
 『Everyday, Everynight』(1978年)
 『Carry On』(1979年)

『Flora's Song』(2005年)以来、約17年ぶりの最新作となる『If You Will』

1942年3月生まれのFlora Purimは現在80歳。

しかしながら、本作『If You Will』では80歳とは思えない張りのある歌声を聴かせてくれます。

少し前に79歳のCaetano Velosoの最新作『Meu Coco』を紹介しましたが、エイジレスというのはブラジル人アーティストの特質かもしれませんね。

プロデュースはFlora Purim自身。

レコーディングには、Flora Purim(vo)、旦那のAirto Moreira(per)、娘のDiana Purim(vo)をはじめ、Dianaの旦那様でジャズ・ベーシストWalter Bookerの息子でもあるKrishna Booker(per、back vo)、Jose Neto(g)、Claudia Villela(vo)、Celso Alberti(per)、Fabio Nascimento(g)、Thiago Duarte(b)等が参加しています。

このアルバムはGeorge Duke(2013年逝去)、Chick Corea(2021年逝去)の二人に捧げられており、かつての各人のFlora参加楽曲をカヴァーしています。

FloraDianaの母娘ツイン・リード・ヴォーカルの「This Is Me」「A Flor Da Vida」、雰囲気のあるメロウ・サンバ「Dandara」Return To Forever『Light As A Feather』(1972年)収録曲の再演「500 Miles High」あたりがオススメです。

Diana Purimがリード・ヴォーカルをとる「If You Will」George Dukeカヴァー)もかなりいいです。

全曲を紹介しときやす。

「If You Will」
タイトル曲はGeorge Duke作品のカヴァー。Floraも参加したオリジナル・ヴァージョンはアルバム『Cool』(2000年)収録。本ヴァージョンでは娘Diana Purimをフィーチャー。リード・ヴォーカルは娘に譲り、母Floraはバック・ヴォーカルを務めます。アフロ・ブラジリアンなイントロに続き、70年代のFlora作品を思わせるサンバ・フュージョンが展開されます。母譲りのDianaの素晴らしいヴォーカルを母Floraがバック・ヴォーカルでサポートします。
https://www.youtube.com/watch?v=YgLPcsbZFbY

George Duke with Flora Purim「If You Will」
 https://www.youtube.com/watch?v=CHTf7p-y-yA

「This Is Me」
Diana Purim/Krishna Booker作。ここではFloraとDianaの母娘ツイン・リード・ヴォーカル。娘に負けじとFloraの若々しいヴォーカルを堪能できるアフロ・ブラジリアン・フュージョンです。ミステリアスな土着ビートがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qFSUGZcShqY

「500 Miles High」
Chick Corea/Neville Potter作。Floraも参加したReturn To Forever『Light As A Feather』(1972年)収録曲のカヴァー。また、Floraはライヴ・アルバム『500 Miles High』(1976年)でも本曲をカヴァーしています。本ヴァージョンも70年代音源と間違えそうなほど現役感バリバリのFloraのヴォーカルを堪能できるブラジリアン・フュージョンです。Thiago Duarteのベースも格好良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=GxxV1bXkhzQ

Return To Forever feat. Flora Purim「500 Miles High」
https://www.youtube.com/watch?v=UD21FG2Nmcw
Flora Purim「500 Miles High」(From 『500 Miles High』)
https://www.youtube.com/watch?v=NRJCCymQAwU

「A Flor Da Vida」
Diana Purim/Mario Moya作。FloraとDianaのツイン・ヴォーカル。これは娘Dianaの世代感覚に近い曲調・サウンドですが、Floraも食らいついている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZayhOZdLlqg

「Newspaper Girl」
Jose Neto作。旦那Airtoのヴォーカルと共に始まる軽やかブラジリアン・フュージョン。Airtoと共にクセの強いスキャットで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=WfV7vmT6uuY

「Dandara」
Judith de Souza/Felipe Machado作。雰囲気のあるメロウ・サンバ。80歳にしてこんな歌を艶やかに歌い、魅せてくれるのは流石です。
https://www.youtube.com/watch?v=CgTnnOXQRl4

「Zahuroo」
Claudia Villela/Jose Neto/Celso Alberti作。パーカッシヴ・リズムとFloraらしいスキャットで楽しませてくれる1曲。こういうブラジル音楽の普遍的な魅力が、Floraのエイジレスな魅力にもつながっているのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=Flb7xQ_3L0Q

「Dois + Dois = Tres」
CDのみのボーナス・トラック。Nuno Mindelis作。Floraがブルースを歌う異色トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=PcIRGb98Xlw

「Lucidez」
Diana Purim/Krishna Booker/Fabio Nascimento作。ラストは涼しげなアコースティック・メロウで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=c7k__NvJCqc

Flora Purimの過去記事もご参照下さい。

『Butterfly Dreams』(1973年)


『Stories To Tell』(1974年)
Stories To Tell

『Nothing Will Be As It Was...Tomorrow』(1977年)
ナッシング・ウィル・ビー・アズ・イット・ワズ...トゥモロウ+2

『Everyday, Everynight』(1978年)
エヴリデイ、エヴリナイト

『Carry On』(1979年)
キャリー・オン(紙ジャケット仕様)
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2022年05月13日

《特別編》『今の気分は...PIZZICATO FIVEかな』

普段はJ-POPは扱わない当ブログですが、特別編でPIZZICATO FIVE(ピチカート・ファイヴ)を10曲セレクトしました。

数日前、日経新聞夕刊で野宮真貴さんのデビュー40周年のインタビュー記事を読み、それ以来PIZZICATO FIVEばかり聴いています。

90年代、渋谷系アーティストに熱狂していた僕にとって、PIZZICATO FIVEのポップ・ワールドは今聴いても全く色あせません。ビジュアル面でも野宮真貴さんのスタイリッシュなファッション、キュートな立ち振る舞いを観ているだけで幸せな気分になります。

「ハッピー・サッド」
https://www.youtube.com/watch?v=Pyz6jxodGKs
From 『オーヴァードーズ』(1994年)


「スイート・ソウル・レビュー」
https://www.youtube.com/watch?v=8nv2wE1nu-E
From 『ボサ・ノヴァ2001』(1993年)


「ベイビィ・ポータブル・ロック」
https://www.youtube.com/watch?v=pFR_eLgsLg4
From 『THE BAND OF 20TH CENTURY:Nippon Columbia Years 1991-2001』(2019年)※シングル自体は1996年リリース


「万事快調」
https://www.youtube.com/watch?v=lD5JK1nlBNY
From 『SWEET PIZZICATO FIVE』(1992年)


「東京は夜の七時」
https://www.youtube.com/watch?v=3d0ejbGvwJ4
From 『THE BAND OF 20TH CENTURY:Nippon Columbia Years 1991-2001』(2019年)※シングル自体は1993年リリース


「陽の当たる大通り」
https://www.youtube.com/watch?v=gTviu6uHtak
From 『オーヴァードーズ』(1994年)


「マジック・カーペット・ライド」
https://www.youtube.com/watch?v=3-17R9uLuko
From 『ボサ・ノヴァ2001』(1993年)


「悲しい歌」
https://www.youtube.com/watch?v=3rPUk8L50kg
From 『ロマンティーク96』(1995年)


「きみみたいにきれいな女の子」
https://www.youtube.com/watch?v=qT2YHActJlQ
From 『THE BAND OF 20TH CENTURY:Nippon Columbia Years 1991-2001』(2019年)※シングル自体は1998年リリース


「コズミック・ブルース」
https://www.youtube.com/watch?v=cdinRd-1f0w
From 『SWEET PIZZICATO FIVE』(1992年)
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2022年05月11日

Kenny Loggins『Keep The Fire』

Michael McDonald、Michael Jacksonも参加☆Kenny Loggins『Keep The Fire』

発表年:1979年
ez的ジャンル:AOR系男性シンガー・ソングライター
気分は... :後悔先に立たず・・・

今日はKenny Loggins『Keep The Fire』(1979年)です。

Jim MessinaとのデュオLoggins & Messinaとして活動し、ソロ転向後は「Footloose」(1984年)、「Danger Zone」(1986年)等のヒットを放った男性シンガー・ソングライターKenny Logginsの紹介は、2nd『Nightwatch』(1978年)、1stソロ『Celebrate Me Home』(1977年)に続き3回目です。

以前にも書いたように、僕がよく聴くKenny Loggins作品は1stソロ『Celebrate Me Home』(1977年)、2nd『Nightwatch』(1978年)というAOR的な2枚であり、その2作の次となる3rdアルバムの本作『Keep The Fire』(1979年)は、長らくスルーしたままでした。

別に毛嫌いしていたわけではありませんが、一方でKenny Logginsに特段の思い入れがあったわけでもないので、知らぬ間に欲しい作品リストから外れ、そのまま何十年も経っていました。僕のなかでは(AOR色が弱まり)ロック色が強まったアルバムというイメージが本作にあったのが、リストから外れてしまった要因かもしれません。

僕のようにアーティストやジャンルに特段の拘りがなく、幅広く作品を聴くスタイルの場合、欲しい作品群が多すぎるため、一度スルーという決断をしてしまうと、その作品の存在自体が記憶から薄れしてしまうため、再びリストに入るのは難しいのかもしれません。

そんな殆ど記憶の彼方にあった作品ですが、ある時、中古CDショップで本作のジャケを目にして、久々にその存在を思い出し、廉価だったこともあって特に迷うことなくカゴに入れて購入していました。

実際聴いてみると、思っていたよりもAOR色の残っていて、反対にそれ程ロック色は強くなかったので、結果程良くフィットしました。

前置きが長くなりましたが、本作『Keep The Fire』(1979年)は、1980年のグラミー受賞曲「What A Fool Believes」の共作コンビ、Michael McDonaldThe Doobie Brothers)との再タッグ、PagesRichard Pageとのタッグ、Stephen Bishopとの共作、スーパースターMichael Jacksonの参加などが注目の作品です。

こうやって書き出してみると、これだけでも聴きどころの多いし、スルーする理由がないですよね(笑)

アルバムはUSアルバム・チャート第16位となり、プラチナ・ディスクを獲得しています。

プロデュースはTom Dowd

レコーディングにはKenny Loggins(vo、g、vocoder)以下、Brian Mann(key、accordion、horn arr)、Michael McDonald(p、back vo)、Max Gronenthal(syn)、Mike Hamilton(g、back vo)、Fred Tackett(g)、George Hawkins(b、back vo)、Tris Imboden(ds、per)、Milt Holland(per)、Paulinho da Costa(per)、Jon Clarke(sax、fl、oboe、recorder、horn arr)、Vince Denham(sax、fl)、Michael Brecker(ts)、Richard Stekol(back vo)、Michael Jackson(back vo)、Richard Page(back vo)、Jeff Bouchard(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

シングルにもなったMichael McDonaldとの共作曲「This Is It」Pagesヴァージョンでもお馴染みの「Who's Right, Who's Wrong」、カリプソ・テイストのトロピカル・ファンク「Junkanoo Holiday (Fallin'-Flyin')」、奥方Eva Einと共作した「Keep the Fire」「Will It Last」が僕のオススメです。

勝手な先入観のせいで、かなり遠回りしてしまった1枚ですが、今のタイミングで出会ったからこそ、よりフィットしている気もします!と思うようにします(笑)

全曲紹介しときやす。

「Love Has Come of Age」
Kenny Loggins作。オープニングは派手めのロック・チューン。本作が"ロック色の強い作品"と評されることが多いのはこのオープニングの印象が強いのかもしれませんね。

「Mr. Night」
Kenny Loggins/Richard Stekol作。コメディ映画『Caddyshack』(1980年)のサントラにも収録されています。同サントラにはTop10シングルとなったヒット曲「I'm Alright」も収録されています。本曲はコメディ映画のサントラが似合う軽快な演奏です。と言いつつ、少し芋臭い印象なので僕にはビミョーですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=ImdImQO2tWI

僕にとってここからが本作の本編です。

「This Is It」
Kenny Loggins/Michael McDonald作。The Doobie Brothersのグラミー受賞曲「What A Fool Believes」の共作コンビによる再タッグとして注目の1曲。Michael McDonaldはピアノ&バック・ヴォーカルでも参加しています。アルバムからの1stシングルとして、USチャート第11位のヒットとなったAOR名曲。『Minute by Minute』(1978年)や『One Step Closer』(1981年)といった後期DoobiesやMichael McDonaldのソロ・アルバムに収録されていそうな雰囲気がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=VS52sEUqxMo

Millie JacksonFreddie Hubbard、Jim Bakkum、Josh Kaufmanがカヴァーしています。また、Nas「We Will Survive」、Kirk Franklin「Declaration (This is It!)」、Papoose「Charades Part 1」、Freeway「This Is It」のサンプリング・ソースとなっています。
Millie Jackson「This Is It」
 https://www.youtube.com/watch?v=IhrMqCm0ss8
Freddie Hubbard「This Is It」
 https://www.youtube.com/watch?v=2hiS1j-VNZ8
Jim Bakkum「This Is It」
 https://www.youtube.com/watch?v=06V3F-CoT8Q
Nas「We Will Survive」
 https://www.youtube.com/watch?v=mYiu9fhUleg
Kirk Franklin「Declaration (This is It!)」
 https://www.youtube.com/watch?v=3JurwjWEZyc

「Junkanoo Holiday (Fallin'-Flyin')」
Kenny Loggins作。カリプソ・テイストを取り入れたバカンス・モードのトロピカル・ファンク。陽気なサウンドでカーニバル気分にさせてくれます。後半はファンクネスが増しているのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Mifq8CfpzaE

「Now and Then」
Kenny Loggins/Jeff Bouchard作。SSWらしいしっとりとすたアコースティック・バラード。Brian Mannのアコーディオンの音色の叙情的な雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DUZnOClQ1qw

「Who's Right, Who's Wrong」
Kenny Loggins/Richard Page作。Pagesヴァージョンは、当ブログでも紹介した『Future Street』(1979年)に収録されています。作者Richard Pageに加えて、あのMichael Jacksonもバック・コーラスで参加しています。Pagesヴァージョンが大好きなので、勿論本トラックもお気に入りです。MJの参加はそれほど目立ちませんが、それだけに今聴くと余計に嬉しいかもしれません。Michael Breckerがテナー・サックス・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zAnVRbF2dUw

Pagesヴァージョンに加えて、当ブログでも紹介したMarva Kingヴァージョンあたりとも聴き比べてみるのも楽しいのでは?
Pages「Who's Right, Who's Wrong」
 https://www.youtube.com/watch?v=sWqz00dQrPI
Marva King「Who's Right Who's Wrong」
 https://www.youtube.com/watch?v=KZg2VKnrsUA

「Keep the Fire」
Kenny Loggins/Eva Ein作。シングルにもなったタイトル曲は本作と同じ1979年に結婚した奥方Eva Einとの共作。USチャート第36位となっています。ポップ・ロックなAORチューンですが、Kenny Logginsらしい雰囲気で好きです。もう少しで商業ロックという直前に寸止めしている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=R08Rm9T2NWw

「Give It Half a Chance」
Kenny Loggins/Stephen Bishop作。この二人の共作らしい雰囲気のメロウ・バラード。Kennyのジェントルなファルセット・ヴォーカルに魅せられます。Fred Tackettのメロウなアコースティック・ギターも良い味わいです。

Stephanie Millsがアルバム『I've Got The Cure』(1984年)でカヴァーしています。
Stephanie Mills「Give It Half a Chance」
 https://www.youtube.com/watch?v=KH1vUYxzf_U

「Will It Last」
Kenny Loggins/Eva Ein作。ラストは奥方Eva Einとの共作。ラストはメロウ・バラードで締め括ってくれます。前半はメロウ・エレピとアコギをバックにしっとり歌い上げ、終盤はウエストコースト・ロックな雰囲気で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=xv4hZil7M18

未聴の方はKenny Logginsの70年代の他作品もチェックを!

『Celebrate Me Home』(1977年)
未来への誓い

『Nightwatch』(1978年)
ナイトウォッチ
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2022年05月08日

Jazzanova『Strata Records (The Sound Of Detroit Reimagined By Jazzanova)』

Strata Recordsのカヴァー集☆Jazzanova『Strata Records (The Sound Of Detroit Reimagined By Jazzanova)』

発表年:2022年
ez的ジャンル:ベルリン産モダン・ジャズ
気分は... :賢者は歴史に学ぶ!

新作からベルリンのプロデューサー/DJユニットJazzanovaの新作です。

ベルリンを拠点に世界のクラブジャズ/クロスオーヴァーを牽引してきたプロデューサー/DJユニットJazzanovaについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『In Between』(2002年)
 『Of All The Things』(2008年)
 『The Pool』(2018年)

本作はタイトルの通り、ジャズ好きにはお馴染みのUSジャズ・レーベルStrata Recordsの作品をJazzanova流に再解釈したカヴァー集です。

Strata Recordsは、ジャズ・ピアニストKenny Coxによりデトロイトで設立されたインディペンデント・ジャズ・レーベル。1969年から1975年までの僅か6年の活動期間でしたが、その作品群が再評価を高めています。

また、世界屈指のレコード・ディガーとして知られるDJコンビKon & Amirの一人、DJ AmirStrata Records音源の再発に特化したレーベル180 Proofを2012年に立ち上げ、お蔵入りになっていた未発表音源などをリリースしたことも話題になりました。

そして、DJ AmirJazzanovaの出会いがきっかけとなり、本プロジェクトがスタートしました。

Jazzanovaの純然たる新作と呼ぶよりも、Jazzanovaメンバーを中心としたStrata Records再解釈プロジェクトと位置づけた方が適切かもしれません。

プロデュースはAxel ReinemerStefan LeiseringStefan UlrichというJazzanovaメンバー3名。

レコーディングにはStefan Ulrich(tb)、Stefan Leisering(per、electronics)、Christoph Adams(key)、Sebastian Borkowski(sax、fl)、Paul Kleber(b)、David Lemaitre(g、vo)、Jan Burkamp(ds)、Florian Menzel(tp)、そして約半数のトラックでヴォーカルをとるSean Haefeliが参加しています

オリジナルを知らない人でも、オリジナルと聴き比べながら聴くと、Strata Recordsというレーベルの魅力と、Jazzanova流の再解釈の魅力がわかり、2倍楽しめると思います。

バンド・サウンドとDJ感覚を絶妙にミックスさせたJazzanova流のStrataワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Introduction & Lost My Love」
DJ Amirによるイントロダクションに続き、オープニングはStrataの創設者Kenny Coxのカヴァーが飾ります。オリジナル音源が収録されたアルバム『Clap Clap! The Joyful Noise』はお蔵入りになっていましたが、2012年に180 Proofからリリースされています。オリジナルはメロウなインストでしたが、ここではオリジナルのメロウ・サウンドを受け継ぎつつ、Sean Haefeliのヴォーカルをフィーチャーすることで、よりキャッチーに聴くことができます。DJ Amirは本トラックを聴いて、Roberta Flack「Feel Like Makin' Love」Cannonball Adderley & Nancy Wilson「Save Your Love For Me」を思い起こすようですが、まさにそんな雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=yxxyKtjIGUk

Kenny Cox「Lost My Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=Gs_q_gwbEUY
『Clap Clap! The Joyful Noise』(2012年)


「Creative Musicians」
The Lyman Woodard Organizationのカヴァー。オリジナルはピストル・ジャケで有名な『Saturday Night Special』(1975年)収録。グルーヴィーなジャズ・トラックとして人気のオリジナルよりも、軽やかなダンス・トラックに仕上げているのがJazzanovaらしいのでは?Sean Haefeliのヴォーカルをフィーチャー。
https://www.youtube.com/watch?v=WdzInbyMxJY

The Lyman Woodard Organization「Creative Musicians」
 https://www.youtube.com/watch?v=-PHN-Rv9Dgs
『Saturday Night Special』(1975年)


「Joy Road」
このトラックもThe Lyman Woodard Organizationのカヴァー。オリジナルは『Saturday Night Special』(1975年)収録。深淵でコズミックな魅力を持ったインストであったオリジナルの雰囲気を、2022年仕様にアップデートしている感じがいいですね。Sean Haefeliのヴォーカルをフィーチャー。
https://www.youtube.com/watch?v=UEM1NLXzebU

The Lyman Woodard Organization『Saturday Night Special』(1975年)


「Face at My Window」
サックス奏者Sam Sandersのカヴァー。オリジナルは2013年に180 Proofからリリースされた未発表音源『Mirror, Mirror』収録。女性ヴォーカルとメロトロンが印象的なオリジナルに対して、Sean Haefeliのヴォーカルをフィーチャーした本トラックは少し雰囲気が異なります。ゆったりした雰囲気に聴こえますが、BPMはオリジナルよりも速くなっているのだとか。
https://www.youtube.com/watch?v=Vc6XFCMkMhs

Sam Sanders「Face at My Window」
 https://www.youtube.com/watch?v=Jf27uniecxs
『Mirror, Mirror』(2013年)


「Root in 7-4 Plus」
シカゴ出身の伝説のサックス奏者Maulawiのカヴァー。オリジナルは『Maulawi』(1974年)収録。オリジナルは僕好みのスピリチュアル・ジャズでしたが、ここではSean Haefeliのヴォーカルをフィーチャーし、スピリチュアルのみならずフュージョン・テイストも取り入れたトラックに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=tyBOqgQDokc

Maulawi「Root in 7-4 Plus」
 https://www.youtube.com/watch?v=Skb9Gf9F3vY
『Maulawi』(1974年)


「Inside Ourselves」
レア・グルーヴ好きにはお馴染みのサックス奏者Larry Nozeroも参加していたグループSphereのカヴァー・オリジナルは『Inside Ourselves』(1974年)収録。オリジナルはアヴァンギャルドな雰囲気も漂いますが、それを複雑なリズムを取り入れつつ、ダンサブルに仕上げてしまうのはJazzanovaらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=OUbiXzrpZSA

Sphere「Inside Ourselves」
 https://www.youtube.com/watch?v=fGkAQRUUCFI
『Inside Ourselves』(1974年)


「Beyond the Dream」
再びKenny Coxのカヴァー。オリジナルは『Clap Clap! The Joyful Noise』収録。オリジナルは女性ヴォーカルをフィーチャーし、ミステリアスなイントロとエキサイティングな本編のコントラストが印象的な13分超の大作でした。本ヴァージョンはSean Haefeliのヴォーカルをフィーチャーし、オリジナルのミステリアスなエッセンスを活かしたトラックに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=quVGmvEHxYg

Kenny Cox「Beyond the Dream」
 https://www.youtube.com/watch?v=dPaQ8FtN8uQ
『Clap Clap! The Joyful Noise』(2012年)


「Saturday Night Special」
The Lyman Woodard Organizationのカヴァー3曲目。オリジナルは『Saturday Night Special』収録。オリジナルは格好良いローファイ・ジャズ・ファンクですが、ここではオリジナルにデトロイト・ハウス/テクノのエッセンスを加えてクールなダンス・トラックに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=usmEFmas52Q

The Lyman Woodard Organization「Saturday Night Special」
 https://www.youtube.com/watch?v=zKlBSplFHxo
『Saturday Night Special』(1975年)


「Orotunds」
Maulawi(Maulawi Nururdin)のカヴァー2曲目。オリジナルは2014年に180 Proofからリリースされた未発表音源『Orotunds』収録。ソウルフル&パワフル&エキサイティングなオリジナルのエナジーをそのまま受け継いだアッパー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=dMR4uf7Gc0U

Maulawi Nururdin「Orotunds」
https://www.youtube.com/watch?v=9GCe1n4ZP0M
『Orotunds』(2014年)


「Scorpio’s Child」
ジャズ・ドラマーBert Myrickのカヴァー。オリジナルは『Live'n Well』(1974年)収録。オリジナルは1965年録音ですが、McCoy Tynerを思わせるKenny Coxのピアノが印象的です。本トラックでもChristoph Adamsが素晴らしいピアノを聴かせてくれますが、それ以上に素晴らしいホーン・アンサンブルにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=azOyV2c8EwQ

Bert Myrick「Scorpio’s Child」
 https://www.youtube.com/watch?v=ECwuRMVQotA
『Live'n Well』(1974年)


「Loser」
本編ラストはSam Sandersのカヴァーで締め括ってくれます。オリジナルは『Mirror, Mirror』収録。ブルージーなBurt Bacharach作品といった雰囲気のオリジナルに対して、本ヴァージョンはSean Haefeliのヴォーカルをフィーチャーし、少し異なる非日常的な雰囲気でカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=7kRWYxecIos

Sam Sanders「Loser」
 https://www.youtube.com/watch?v=21ngSUpT3bk
『Mirror, Mirror』(2013年)


国内盤ボーナス・トラックとして、「Creative Musicians (Waajeed Remix) 」「Creative Musicians (Henrik Schwarz Remix) 」の2曲が追加収録されています。フロア仕様のリミックスで楽しませてくれます。

Jazzanova関連の過去記事もご参照ください。

『In Between』(2002年)
イン・ビトゥイーン・デラックス・エディション

『Of All The Things』(2008年)
Of All the Things

『The Pool』(2018年)
The Pool

Thief『Sunchild』(2006年)
Sunchild

Alex Barck『Reunion』(2013年)
リユニオン
posted by ez at 01:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする