2022年05月11日

Kenny Loggins『Keep The Fire』

Michael McDonald、Michael Jacksonも参加☆Kenny Loggins『Keep The Fire』

発表年:1979年
ez的ジャンル:AOR系男性シンガー・ソングライター
気分は... :後悔先に立たず・・・

今日はKenny Loggins『Keep The Fire』(1979年)です。

Jim MessinaとのデュオLoggins & Messinaとして活動し、ソロ転向後は「Footloose」(1984年)、「Danger Zone」(1986年)等のヒットを放った男性シンガー・ソングライターKenny Logginsの紹介は、2nd『Nightwatch』(1978年)、1stソロ『Celebrate Me Home』(1977年)に続き3回目です。

以前にも書いたように、僕がよく聴くKenny Loggins作品は1stソロ『Celebrate Me Home』(1977年)、2nd『Nightwatch』(1978年)というAOR的な2枚であり、その2作の次となる3rdアルバムの本作『Keep The Fire』(1979年)は、長らくスルーしたままでした。

別に毛嫌いしていたわけではありませんが、一方でKenny Logginsに特段の思い入れがあったわけでもないので、知らぬ間に欲しい作品リストから外れ、そのまま何十年も経っていました。僕のなかでは(AOR色が弱まり)ロック色が強まったアルバムというイメージが本作にあったのが、リストから外れてしまった要因かもしれません。

僕のようにアーティストやジャンルに特段の拘りがなく、幅広く作品を聴くスタイルの場合、欲しい作品群が多すぎるため、一度スルーという決断をしてしまうと、その作品の存在自体が記憶から薄れしてしまうため、再びリストに入るのは難しいのかもしれません。

そんな殆ど記憶の彼方にあった作品ですが、ある時、中古CDショップで本作のジャケを目にして、久々にその存在を思い出し、廉価だったこともあって特に迷うことなくカゴに入れて購入していました。

実際聴いてみると、思っていたよりもAOR色の残っていて、反対にそれ程ロック色は強くなかったので、結果程良くフィットしました。

前置きが長くなりましたが、本作『Keep The Fire』(1979年)は、1980年のグラミー受賞曲「What A Fool Believes」の共作コンビ、Michael McDonaldThe Doobie Brothers)との再タッグ、PagesRichard Pageとのタッグ、Stephen Bishopとの共作、スーパースターMichael Jacksonの参加などが注目の作品です。

こうやって書き出してみると、これだけでも聴きどころの多いし、スルーする理由がないですよね(笑)

アルバムはUSアルバム・チャート第16位となり、プラチナ・ディスクを獲得しています。

プロデュースはTom Dowd

レコーディングにはKenny Loggins(vo、g、vocoder)以下、Brian Mann(key、accordion、horn arr)、Michael McDonald(p、back vo)、Max Gronenthal(syn)、Mike Hamilton(g、back vo)、Fred Tackett(g)、George Hawkins(b、back vo)、Tris Imboden(ds、per)、Milt Holland(per)、Paulinho da Costa(per)、Jon Clarke(sax、fl、oboe、recorder、horn arr)、Vince Denham(sax、fl)、Michael Brecker(ts)、Richard Stekol(back vo)、Michael Jackson(back vo)、Richard Page(back vo)、Jeff Bouchard(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

シングルにもなったMichael McDonaldとの共作曲「This Is It」Pagesヴァージョンでもお馴染みの「Who's Right, Who's Wrong」、カリプソ・テイストのトロピカル・ファンク「Junkanoo Holiday (Fallin'-Flyin')」、奥方Eva Einと共作した「Keep the Fire」「Will It Last」が僕のオススメです。

勝手な先入観のせいで、かなり遠回りしてしまった1枚ですが、今のタイミングで出会ったからこそ、よりフィットしている気もします!と思うようにします(笑)

全曲紹介しときやす。

「Love Has Come of Age」
Kenny Loggins作。オープニングは派手めのロック・チューン。本作が"ロック色の強い作品"と評されることが多いのはこのオープニングの印象が強いのかもしれませんね。

「Mr. Night」
Kenny Loggins/Richard Stekol作。コメディ映画『Caddyshack』(1980年)のサントラにも収録されています。同サントラにはTop10シングルとなったヒット曲「I'm Alright」も収録されています。本曲はコメディ映画のサントラが似合う軽快な演奏です。と言いつつ、少し芋臭い印象なので僕にはビミョーですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=ImdImQO2tWI

僕にとってここからが本作の本編です。

「This Is It」
Kenny Loggins/Michael McDonald作。The Doobie Brothersのグラミー受賞曲「What A Fool Believes」の共作コンビによる再タッグとして注目の1曲。Michael McDonaldはピアノ&バック・ヴォーカルでも参加しています。アルバムからの1stシングルとして、USチャート第11位のヒットとなったAOR名曲。『Minute by Minute』(1978年)や『One Step Closer』(1981年)といった後期DoobiesやMichael McDonaldのソロ・アルバムに収録されていそうな雰囲気がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=VS52sEUqxMo

Millie JacksonFreddie Hubbard、Jim Bakkum、Josh Kaufmanがカヴァーしています。また、Nas「We Will Survive」、Kirk Franklin「Declaration (This is It!)」、Papoose「Charades Part 1」、Freeway「This Is It」のサンプリング・ソースとなっています。
Millie Jackson「This Is It」
 https://www.youtube.com/watch?v=IhrMqCm0ss8
Freddie Hubbard「This Is It」
 https://www.youtube.com/watch?v=2hiS1j-VNZ8
Jim Bakkum「This Is It」
 https://www.youtube.com/watch?v=06V3F-CoT8Q
Nas「We Will Survive」
 https://www.youtube.com/watch?v=mYiu9fhUleg
Kirk Franklin「Declaration (This is It!)」
 https://www.youtube.com/watch?v=3JurwjWEZyc

「Junkanoo Holiday (Fallin'-Flyin')」
Kenny Loggins作。カリプソ・テイストを取り入れたバカンス・モードのトロピカル・ファンク。陽気なサウンドでカーニバル気分にさせてくれます。後半はファンクネスが増しているのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Mifq8CfpzaE

「Now and Then」
Kenny Loggins/Jeff Bouchard作。SSWらしいしっとりとすたアコースティック・バラード。Brian Mannのアコーディオンの音色の叙情的な雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DUZnOClQ1qw

「Who's Right, Who's Wrong」
Kenny Loggins/Richard Page作。Pagesヴァージョンは、当ブログでも紹介した『Future Street』(1979年)に収録されています。作者Richard Pageに加えて、あのMichael Jacksonもバック・コーラスで参加しています。Pagesヴァージョンが大好きなので、勿論本トラックもお気に入りです。MJの参加はそれほど目立ちませんが、それだけに今聴くと余計に嬉しいかもしれません。Michael Breckerがテナー・サックス・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zAnVRbF2dUw

Pagesヴァージョンに加えて、当ブログでも紹介したMarva Kingヴァージョンあたりとも聴き比べてみるのも楽しいのでは?
Pages「Who's Right, Who's Wrong」
 https://www.youtube.com/watch?v=sWqz00dQrPI
Marva King「Who's Right Who's Wrong」
 https://www.youtube.com/watch?v=KZg2VKnrsUA

「Keep the Fire」
Kenny Loggins/Eva Ein作。シングルにもなったタイトル曲は本作と同じ1979年に結婚した奥方Eva Einとの共作。USチャート第36位となっています。ポップ・ロックなAORチューンですが、Kenny Logginsらしい雰囲気で好きです。もう少しで商業ロックという直前に寸止めしている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=R08Rm9T2NWw

「Give It Half a Chance」
Kenny Loggins/Stephen Bishop作。この二人の共作らしい雰囲気のメロウ・バラード。Kennyのジェントルなファルセット・ヴォーカルに魅せられます。Fred Tackettのメロウなアコースティック・ギターも良い味わいです。

Stephanie Millsがアルバム『I've Got The Cure』(1984年)でカヴァーしています。
Stephanie Mills「Give It Half a Chance」
 https://www.youtube.com/watch?v=KH1vUYxzf_U

「Will It Last」
Kenny Loggins/Eva Ein作。ラストは奥方Eva Einとの共作。ラストはメロウ・バラードで締め括ってくれます。前半はメロウ・エレピとアコギをバックにしっとり歌い上げ、終盤はウエストコースト・ロックな雰囲気で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=xv4hZil7M18

未聴の方はKenny Logginsの70年代の他作品もチェックを!

『Celebrate Me Home』(1977年)
未来への誓い

『Nightwatch』(1978年)
ナイトウォッチ
posted by ez at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする