発表年:2022年
ez的ジャンル:コスモポリタン系女性MPB
気分は... :甘いカルナヴァル・・・
新作アルバムから女性MPBシンガーAlexia Bomtempoの最新作『Doce Carnaval(邦題:甘いカルナヴァル)』です。
1985年ワシントンD.C.生まれ。母はアメリカ人で父がブラジル人で両国を往き来するコスモポリタンな女性MPBシンガーAlexia Bomtempoについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Astrolabio』(2008年)
Doces Cariocas『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』(2009年)
※当時公私のパートナーであったPierre Aderneとのユニット
『I Just Happen To Be Here』(2012年)
『Suspiro』(2018年)
『Suspiro』(2018年)以来約4年ぶりの新作となる本作『Doce Carnaval(邦題:甘いカルナヴァル)』は、新型コロナの影響で中止・延期が続いたカーニバルへの思いが原動力となり制作された作品です。
そんな経緯もあり、オリジナルは1曲のみで残る8曲はAlexiaとカーニバルを結びつける名曲カヴァーから構成されています。メロウだけれど一筋縄ではいかないサンバ/ボッサで楽しませてくれます。
プロデュースはAlexandre VazとJake Owen。
Kassinが共同プロデュースで参加した曲もあります。
アルバムには元Red Hot Chili PeppersのJosh Klinghoffer、Roberta Sa、Fernanda Abreu、Pierre Barouhの娘Maia Barouh、Mundo Livre S/Aでの活動でも知られるOttoといったゲストがフィーチャリングされています。
レコーディングにはAlexandre Vaz(g、key、prog)、Jake Owen(g、key、prog、strings/wind arr)、Mauro Refosco(ds、per、prog、key)、Kassin(prog)、Philippe Powell(el-p)、Jaques Morelenbaum(cello)、Alberto Continentino(b)、Jorge Continentino(clarinet)、Stephane San Juan(per)、Gustavo di Dalva(per)、Jorge Ailton(back vo)、Milton Guedes(back vo)、Rodrigo Tavares(el-p、syn)、Michael Blake(fl)、Eduardo Belo(b)等が参加しています。
まずは「Chameleon Lovers」、「Banho de Cheiro」、「Domingo」というシングルになった冒頭3曲に本作のエッセンスが凝縮されています。
それ以外に室内楽的な「Rapunzel」、フランス語で歌われる「La Nuit des Masques」、神秘的なムードの「Mal Acostumada」、エレクトロニクスとの融合が見事な「Às 3 da Manha」や「Direito de Sambar」など全編充実しています。
Alexia Bomtempo大好き!な僕としては大満足の1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Chameleon Lovers」
Philippe Powell/Alexia Bomtempo/Alexandre Vaz/Jake Owen作。
元Red Hot Chili PeppersのJosh Klinghofferをフィーチャー。本作唯一のオリジナルであり、アルバムからの3rdシングルがオープニング。美しいストリングスを配しカーニバル・モードのメロウ・グルーヴですが、元Red Hot Chili PeppersのJosh Klinghofferにサンバを歌わせてしまうのがコスモポリタンなAlexiaらしいですね。ビター・スウィートな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Zh52aNpwenY
「Banho de Cheiro」
邦題「魔法の水」。Carlos Fernando作品をカヴァー。オリジナルは1983年のElba Ramalhoヴァージョン。人気女性シンガーRoberta Saをフィーチャーしたアルバムからの1stシングル。寛いだ雰囲気のメロウ・ボッサですが、カンドンブレ・モードのアフロ・ブラジルなスパイスを隠し味で効かせています。
https://www.youtube.com/watch?v=dCbBLGBz2f4
「Domingo」
サンバ・エスコーラUniao Da Ilha Do Governadorが1977年に発表したカーニバルのテーマ曲をカヴァー(Ademar Vinhaes/Aurinho da Ilha/Ione do Nascimento作)。ベテラン女性シンガーFernanda Abreuをフィーチャーしたアルバムからの2ndシングル。カリオカ・モードのボッサ・チューンでサウダージ気分を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=YNL9iBSG31s
「Rapunzel」
Daniela Mercury、1997年の大ヒット曲をカヴァー(Carlinhos Brown/Alaim Tavares作)。オリジナルは軽快なアシェ(バイーア生まれのダンス・ミュージック)でしたが、それとは対照的な室内楽的な落ち着いた仕上がりで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-gHh2TE0n8c
「La Nuit des Masques」
邦題「仮面の夜」。Chico Buarque作品にPierre Barouhがフランス語の歌詞をつけ、当時の妻Dominiqueとの共同名義で1974年リリースした楽曲のカヴァー。ここではそのPierre Barouhの娘Maia Barouhをフィーチャー。
Baden Powellの息子Philippe PowellがMaia Barouhを紹介してくれたのだとか。そのPhilippe Powellもエレピで参加。Kassinも共同プロデュースで参加しています。フレンチの語感がよくフィットしたレイジーなメロウ・サンバはモロに僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=Stp2hpMBCLs
「Mal Acostumada」
バイーアの人気グループAra Ketuのカヴァー(Meg Evans/Ray Araujo作)。Mundo Livre S/Aでの活動でも知られるOttoをフィーチャー。メロウ・ボッサですが、神秘的なムードも加味された独特の音世界を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=k039iVU-tP0
「Às 3 da Manha」
邦題「明け方3時」。Herivelto Martins作。古典サンバのカヴァー。オーセンティックなサンバ・マナーにエレクトロニクスなエッセンスを加味していますが、これはプログラミングで参加のKassinの手腕だと思います。クラリネットによるアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=tcJcNTDoFi8
「Direito de Sambar」
邦題「サンバをする権利」。サンバ・ソングライターBatatinhaの名曲をカヴァー。本作のコンセプトにフィットするタイトルですよね。このトラックも古典サンバをエレクトロニクスなエッセンスで2022年仕様にアップデートさせています。さらに名手Jaques Morelenbaumのチェロも加わり、素晴らしいモダン・サンバに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=tDlsQy_1FWE
「Quero Morrer no Carnaval (vignette)」
邦題「カルナヴァルで死にたい」。ラストはElza Soaresのカヴァー・ヒットでも知られるLuiz Antonio/Eurico Campos作の古典サンバのカヴァーで締め括ってくれます。ビネット(小品)とあるように1分半に満たない楽曲ですが、少しダビーでストレンジな雰囲気でアルバムの余韻に浸れます。
https://www.youtube.com/watch?v=MDgy3pm_Poo
Alexia Bomtempoの過去記事もご参照下さい。
『Astrolabio』(2008年)
Doces Cariocas『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』(2009年)
『I Just Happen To Be Here』(2012年)
『Suspiro』(2018年)