発表年:2018年
ez的ジャンル:Stones Throw系モダン・ブギー
気分は... :忘れ物を取りに行く・・・
今回は80年代リリースしたブギー・アルバムが一部マニアから評価されていた男性シンガーProphet、34年ぶりの復活アルバム『Wanna Be Your Man』(2018年)です。
Prophetは、1984年にマイナー・レーベルから唯一のアルバム『Right On Time』をリリースしています。
Prophet『Right On Time』(1984年) ※アナログ盤
1984年当時、僕もティーンエイジャーで洋楽のダンス/ファンク作品も多少は聴いていましたが、Prophetについては全く記憶がありません。その一方で、『Right On Time』は一部マニアからは評価されていたようです。
そんなProphetが人気レーベルStones Throwから34年ぶりの復活アルバムとしてリリースしたのが本作『Wanna Be Your Man』(2018年)です。レーベル・オーナー/創設者のPeanut Butter Wolfが『Right On Time』を入手し、DJでプレイしたことや、ミックスCDJames Pants & Daam-Funk『Chart-Toppers』(2013年)で『Wanna Be Your Man』収録の「You Really Turn Me On」が収録されたことで、忘れられた存在であったProphetが注目されるようになりました。
僕が本作に注目したのは、当ブログでも何度かアルバムを紹介したL.A.を拠点とするプロデューサー/ビートメイカー/シンガー・ソングライターMndsgnが、Prophet本人と共に全面プロデュースしている点です。
Mndsgnプロデュースのモダン・ブギー作品ならば悪いわけないだろう!というのが購入理由ですね。
Mndsgn、Prophet以外にSwarvyも共同プロデューサーとして2曲でクレジットされています。
L.A.モダン・ファンクの立役者Dam-Funkとのコラボでも知られる女性アーティスNite Jewelをフィーチャーしたトラックもあります。またアルバムの先行曲「Insanity」のPVにはL.A.モダン・ファンクの立役者Dam-Funkがカメオ出演しています。
本作用に書かれた新曲(すべてMndsgn/Prophetとの共作)以外に、Prophet『Right On Time』(1984年)に収録されていた楽曲のリメイクが3トラックあるのもお楽しみです。オリジナルと聴き比べるのも楽しいのでは?
L.A.モダン・ファンク好きの人であれば、満足度の高い1枚に仕上がっていると思います。
先行曲「Insanity」、パーティー・モードの「Party」、哀愁のメロウ・ファンク「I Do Love」、「Tonight」と「Right On Time」という『Right On Time』からのリメイク2曲あたりが僕のオススメです。
80年代ブギーとL.A.モダン・ファンクの時を越えた融合を楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「Insanity」
アルバムからの先行曲。PVにはL.A.モダン・ファンクの立役者Dam-Funkがカメオ出演しています。Mndsgnらしいセンスのモダン・ブギーに仕上がっています。この1曲で本作の魅力がわかるはずです。煌びやかなのに、どこか寂しげなシンセの音色がいいですね。80年代ブラコンと2018年モダン・ブギーがうまく融合しています。
https://www.youtube.com/watch?v=MCVXRB-j8DM
「Wanna Be Your Man」
Swarvyも共同プロデューサーとしてクレジットされています。哀愁モードの官能ミディアム・ファンク。80年代ファンク好きの人あれば楽しめるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ge0SBPxgBqY
「Ooo Wee Yeah」
リラックスした雰囲気ですが、それが少し気が抜けた感じで、本作の中ではイマイチ感のあるトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=ssKEEeGwwig
「Party」
MndsgnやL.A.モダン・ファンク好きの人であれば気に入るであろうパーティー・モードのモダン・ダンサー。シンセのブリブリ感がいいですね!
https://www.youtube.com/watch?v=yjFbq46MT80
「I Do Love」
哀愁のメロウ・ファンク。寂しげながらも程良くメロウなのがいいですね。ニヒリズム感覚のファンクとでも呼びたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=gUlMwn5dNw8
「Tonight」
『Right On Time』収録曲のリメイクその1。Nite Jewelがフィーチャリングされています。元々はNite Jewelが自身の名義で「Tonight」をカヴァーしており、その流れで彼女が起用されたようです。華やかなキャッチーさという点では、「Insanity」と並ぶハイライトかもしれません。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、2018年のL.A.モダン・ファンク仕様にアップデートさせているのがいいですね。サウンド面でもかなり洗練されていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=r8fqCe2qdxI
「Tonight」 From 『Right On Time』(1984年)
https://www.youtube.com/watch?v=awesgX7jlvk
「Really Turn Me On」
『Right On Time』収録曲のリメイクその2。オリジナルは先に紹介したミックスCD『Chart-Toppers』にも収録されていた「You Really Turn Me On」です。オリジナルの雰囲気を比較的残した哀愁メロウ・ファンクで楽しませてくれます。80年代ならではの曲調がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SW_r2i5YX2A
「You Really Turn Me On」 From 『Right On Time』(1984年)
https://www.youtube.com/watch?v=LUANnZUYvVg
「Right On Time」
『Right On Time』収録曲のリメイクその3。オリジナルは何処となくPrince殿下を思わせる妖しげな哀愁メロウ・ファンクでしたが、本ヴァージョンはそれをL.A.モダン・ファンク寄りにアップデートさせた雰囲気です。ヘタウマ感のあるファルセット・ヴォーカルが妖しげでグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=zvc0-_y33Js
「Right On Time」 From 『Right On Time』(1984年)
https://www.youtube.com/watch?v=NUKerjnzElw
「Dream」
L.A.モダン・ファンクらしいキャッチーな仕上がり。少しレイジーな雰囲気もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=LcOQEuBXSAw
「I Do」
Swarvyも共同プロデューサーとしてクレジットされています。ラストはスペイシーなロウ・ファンクで締め括ってくれます。重心の低いゴツゴツ感が魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=XDW3q4jkI5U
2020年にはStones Throwから第2弾アルバム『Don't Forget It』『Don't Forget It』(2020年) ※アナログ盤