発表年:1975年
ez的ジャンル:CTI系女性ヴォーカル/ディスコ
気分は... :恋は異なもの・・・
今回は黒人女性シンガーEsther PhillipsがCTI傘下のKuduからリリースした『What A Diff'rence A Day Makes』(1975年)です。
Esther Phillipsは1935年テキサス州生まれの女性シンガー。
わずか13歳でJohnny Otisの楽団に加わり、1950年には「Double Crossing Blues」、「Mistrusting Blues」、「Cupid's Boogie」という3曲のR&BチャートNo.1ヒットを放っています。
その後、ソロ・シンガーとして独立。病気で一時は音楽業を離れますが、1962年に「Release Me」がR&BチャートNo.1となり、復活を遂げます。1963年にはAtlanticと契約し、1970年までに5枚のアルバムをリリースしています。
その後Creed Taylor率いるCTI Recordsのサブ・レーベルKuduと契約し、70年代半ばまでに7枚のアルバムを制作しています。
1984年に48歳の若さで逝去。
Kuduでの5枚目のアルバムとなる本作『What A Diff'rence A Day Makes』(1975年)は、Joe Beckのアレンジでディスコにアプローチした作品です。
アルバムはUSアルバム・チャート第32位、同R&Bアルバム・チャート第13位となっています。
Joe Beck(g)以下、Steve Khan(g)、Eric Weissberg(pedal steel)、Will Lee(b)、Chris Parker(ds)、Don Grolnick(key)、Ralph MacDonald(per)、
David Sanborn(as)、Mike Brecker(ts)、Randy Brecker(tp)等がレコーディングに参加しています。
プロデュースはCreed Taylor。
シングル・ヒットしたダンス・クラシック「What A Diff'rence A Day Makes」をはじめ、The O'Jaysのカヴァー「One Night Affair」、Grover Washington Jr.のカヴァー「Mister Magic」という冒頭のディスコ・アプローチの3曲が目立ちます。この3曲が本作のハイライトといえるでしょう。
一方で、それ以外の5曲はEstherの味わい深いソウルフル・ヴォーカルを満喫できます。こちらの方が本来のEsther Phillipsの魅力だと思います。
その意味では1枚で、2つの側面からEsther Phillipsの満喫できるのが本作の最大の魅力かもしれません。
全曲紹介しときやす。
「One Night Affair」
The O'Jaysのカヴァー(Gamble & Huff作)。オリジナルは『Neptune』(1969年)収録。本作を象徴するダンサブル・サウンドでアルバムを幕を開けます。オリジナルのThe O'Jaysヴァージョンと続けて聴くと、アップテンポのリズムとEstherのソウルフルなハイトーンがヴォーカルが相まって、オリジナルの早回しのように聞こえてきます(笑)。ホーン&ストリングス、Joe Beckのギター・ソロも含めてダイナミックなサウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FbtBi2Mbn5g
「What A Diff'rence A Day Makes」
タイトル曲は1959年のDinah Washingtonのヒットで知られるポピュラー・ソング(Maria Grever/Stanley Adams作)のカヴァー。シングル・カットされ、USチャート第20位、同R&Bチャート第10位となったダンス・クラシック。Dinah Washingtonヴァージョンからは想像できないアッパーなディスコ・チューンで楽しませてくれます。ディスコ・サウンドをバックにしても、Estherの独特の味わいのヴォーカルが際立ちます。Joe Beckのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=E1_vsu2DyLs
Moodymann「I Got Werk」のサンプリング・ソースとなっています。
Moodymann「I Got Werk」
https://www.youtube.com/watch?v=qfI13ytw0go
「Mister Magic」
Grover Washington Jr.の人気曲をカヴァー(Ralph MacDonald/William Salter作)。ここでもEstherのヴォーカルが弾けるパンチの効いたダンサブルな「Mister Magic」を聴かせてくれます。作者Ralph MacDonaldによるパーカッシヴなアクセントがいいですね。Joe Beckのギター・ソロとホーン・アンサンブルによるダイナミズムもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=6PJvsC4FuUQ
「You're Coming Home」
Brenda Harris作。Estherのソウルフル・ヴォーカルの魅力を満喫できるミディアム。本来はこういったタイプの曲の方が彼女の本領発揮なのでしょうね。開放的なホーン・アンサンブルも印象的です。
「I Can Stand A Little Rain」
Joe Cockerのカヴァー(Jim Price作)。オリジナルは『I Can Stand A Little Rain』(1974年)収録。ペダル・スティールの音色が印象的なカントリー・ソウル調のバラード。土臭いサウンドをモダンに聴かせるのがCTI系らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Rg3LEuNCzKU
ScarubL「.I.F.E./for What It's Worth」、The Seed「S-T-T-P」、DL「Valider?」、Osvn feat. Emma Lee「Daydreams」等のサンプリング・ソースとなっています。
ScarubL「.I.F.E./for What It's Worth」
https://www.youtube.com/watch?v=ZTCzDJWiRME
The Seed「S-T-T-P」
https://www.youtube.com/watch?v=dYjBwWlAZXc
Osvn feat. Emma Lee「Daydreams」
https://www.youtube.com/watch?v=AWF9hwv5za4
「Hurtin' House」
Lu Emerson作。レイドバック感のあるファンキー・ミディアムですが、都会的な雰囲気で聴かせてくれるのも本作らしいのでは?ファンキー・ホーン隊が盛り上げてくれます。聴いていると酒が飲みたくなります(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=uiC3kiHozQE
Private Investigators「Mom Dukes」のサンプリング・ソースとなっています。
Private Investigators「Mom Dukes」
https://www.youtube.com/watch?v=X8n-ffPBDuQ
「Oh Papa」
Maria Muldaurのカヴァー(David Nichtern作)。オリジナルは『Waitress In A Donut Shop』(1974年)収録。抑えたトーンながらもEstherの素晴らしい表現力が際立つバラード。いい感じのレイドバック感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=FNFwvyK9qoE
「Turn Around, Look At Me」
オリジナルはGlen Campbellですが、当ブログでも紹介したThe Voguesのヒットで知られる楽曲(Jerry Capehart作)。ラストも味わい深いレイドバックしたバラードで締め括ってくれます。Joe Beckのギター・ソロの芳醇さもたまありません。
https://www.youtube.com/watch?v=xWg6fHG_Qrc
Esther Phillipsの他作品もチェックを!
『And I Love Him/Esther Phillips Sings』(1965/1966年)
『Burnin': Live at Freddie Jett's Pied Piper, L.A.』(1970年)
『Alone Again, Naturally』(1972年)
『From a Whisper to a Scream』(1972年)
『Black-Eyed Blues』(1973年)
『Performance』(1974年)
『Capricorn Princess』(1976年)
Esther Phillips With Beck『For All We Know』(1976年)
『You've Come a Long Way, Baby/All About Esther Phillips』(1977/1978年)
『All About Esther Phillips』(1978年)
『Here's Esther, Are You Ready/Good Black Is Hard to Crack』(1979/1981年)
『A Way to Say Goodbye』(1986年)