2023年04月12日

Ivan Lins『Deixa O Trem Seguir』

スタイル確立に向けて助走する2nd☆Ivan Lins『Deixa O Trem Seguir』

発表年:1971年
ez的ジャンル:稀代のメロディ・メイカー系MPB
気分は... :放っておいて!

今回はMPBの稀代のメロディ・メイカーIvan Linsの2ndアルバム『Deixa O Trem Seguir(邦題:汽車を見送りなよ)』(1971年)です。

MPBを代表する男性シンガー・ソングライターIvan Linsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の6枚。

 『Modo Livre』(1974年)
 『Chama Acesa』(1975年)
 『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
 『Nos Dias De Hoje』(1978年)
 『Novo Tempo』(1980年)
 『Awa Yio』(1991年)

『Deixa O Trem Seguir』(1971年)は、デビュー・アルバム『Agora』(1971年)に続く2ndアルバム。

『Agora』(1971年)と比較すると洗練され、後のIvan Linsスタイルの端緒を開いた1枚ではないかと思います。

プロデュースはPaulinho Tapajos
アレンジはArthur Verocai

楽曲はすべてIvan Linsのオリジナル。「Onde Batem As Ondas Do Teu Olhar」を除きRonaldo Monteiro de Souzaとの共作です。

Ivan Lins(p、vo、g)以下、Arthur Verocai(g、viola)、Pascoal Meirelles(ds)、Sergio Hinds(b、back vo)、Lucinha Lins(per、vo)、Hugo(org)、Jorge Amiden(g)、Sidney Mattos(g)、David Sion(per)、Oberdan Magalhaes(sax)、Marcio(tp)、Dorinha Tapajos(back vo)、Lizzie Bravo(back vo)、Quinteto Villa Lobos(strings)がレコーディングに参加しています。

感動的なタイトル曲「Deixa O Trem Seguir」Elis Reginaのカヴァー・ヒットでも知られる初期名曲「Me Deixa Em Paz」、名曲の誉れ高い「Longe」、USソウル×サンバ・ロックな「Que Pena Que Eu Tenho De Voce」Claudette Soaresもカヴァーした「Depois Do Fim」あたりがオススメです。

自分のスタイル確立に向けて助走する初期作品ならではのIvan Linsワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Que Pena Que Eu Tenho De Voce」
邦題「お気の毒様」。USソウル×サンバ・ロックなオープニング。70年代初めのピースフルな雰囲気とIvan Linsならではの曲調を交互に楽しめる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mimpQIh8Uuw

「Deus E Dono」
邦題「支配するのは神様」。これはブラジル版カントリー・ロックですね。このあたりのUSシーンの動きをすかさず取り入れているのも興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BJ_j7XGXI5k

「Deixa O Trem Seguir」
邦題「汽車を見送りなよ」。タイトル曲はIvan Linsならではの少し愁いを帯びた曲調とArthur Verocaiの素晴らしいストリングス・アレンジの調和が見事です。感動ドラマを見終わったような気分になれる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=X0gUf4D-8lI

「Depois Do Fim」
邦題「終わってしまった後で」。ブラジルのファンク・バンドBanda Black RioのリーダーOberdan Magalhaesがサックスで参加。美しくも切ない失恋バラードです。Claudette Soaresも「Depois」のタイトルで本作と同じ1971年にカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=WDFYgY_KBCM

「Catedral」
当時は建設中であったリオデジャネイロ大聖堂のことを歌ったもの。マヤ文明のピラミッドがモデルとなったモダニズム建築として知られるリオデジャネイロ大聖堂ですが、そんな大聖堂をイメージさせるモダンなのに荘厳で神秘的というスケールの大きな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=xTP78V3mal0

「Pra Viver O Que Vivi」
邦題「自分が生きて来た道」。美しい曲調ですが、『Agora』の流れを汲む少し荒削りなIvanのヴォーカルが聴けるのが初期作品らしさですね。この曲でも少しカントリー・ロック・テイストのスパイスを効かせていまうs。
https://www.youtube.com/watch?v=SMId14mj1so

「Me Deixa Em Paz」
邦題「放っておいて」。本作をハイライトと呼べる初期名曲ですね。『Elis (1972)』(1972年)に収録されたElis Reginaのカヴァー・ヒットでも知られます。僕も最初に聴いたのはElisヴァージョンで、その時一発で好きになった楽曲です。そんなElisヴァージョンの印象が強い曲ですが、このオリジナルを聴くとやはりIvan Linsならではの楽曲だと再認識できます。
https://www.youtube.com/watch?v=oF8iVawoLlE

Elis Regina「Me Deixa Em Paz」
 https://www.youtube.com/watch?v=kvZ7KncSa-M

「Um Carro Enferrujado」
邦題「錆びた車」。Quinteto Villa Lobosの弦楽四重奏をフィーチャーした失恋バラード。でも湿っぽくなくカラッとした仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=xhdjfcALGDQ

「Oba」
ブラジル北東部のリズムを取り入れた楽曲。この頃はこうしたアプローチもまだまだ手探り感があるのが初期作品らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=7WN71xpkoA4

「Longe」
邦題「遠く」。名曲の誉れ高い1曲。Arthur Verocaiのアレンジも相俟って聴く者が感動で包まれる名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=SGL3eKOd9mM

「Onde Batem As Ondas Do Teu Olhar」
邦題「君の瞳の波が打っている場所」。序盤はピアノの弾き語り、その後ストリングスが加わった感動的な展開となり、熱唱ヴォーカルが少し青臭いのが初期作品ならではです。
https://www.youtube.com/watch?v=VQQ-HQk610A

「Oratorio No Mar Branco」
邦題「白い海の祈祷室」。本編ラストはQuinteto Villa Lobosの弦楽四重奏が加わった美しいピアノ・バラードで締め括ってくれます。録音のせいかMarcioのトランペット・ソロが少し唐突な感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Hpl8QgU1ITs

ここから2曲は国内再発CDのボーナス・トラック。1971年にシングル・リリースされた2曲です。

「Bia, Bia, Beatriz」
テレビ・ドラマ用に提供した楽曲。ホーン&ストリングスを配したロック・テイストのミディアム・バラードをIvanが熱唱します。
https://www.youtube.com/watch?v=x5dtFJLfbwU

「Voce, Mulher Voce」
邦題「君、女性の君」。Jorge Benのバック・バンドTrio Mocotoが参加。Trio Mocotoとの共演らしいファンキー・サンバに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1Kh5RBHg4_A

Ivan Linsの過去記事もチェックを!

『Modo Livre』(1974年)
Modo Livre

『Chama Acesa』(1975年)
シャーマ・アセーザ(期間生産限定盤)

『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
今宵楽しく

『Nos Dias De Hoje』(1978年)
ノス・ヂアス・ヂ・オージェ

『Novo Tempo』(1980年)
ノーヴォ・テンポ

『Awa Yio』(1991年)
posted by ez at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする