発表年:2023年
ez的ジャンル:次世代ジャズ・ハープ
気分は... :Dorothy Ashby、Alice Coltraneに続け!
新作ジャズから次世代ジャズ・ハープ奏者の最新作Brandee Younger『Brand New Life』です。
Brandee Youngerは1986年ニューヨーク州に生まれ。
ハートフォード大学の音楽院ハートスクールで学び、Dorothy AshbyやAlice Coltraneといった女性ジャズ・ハープ奏者の影響を受けて、2006年頃からハープ奏者として本格的な活動を開始します。
2011年にデビューEP『Prelude』、2016年に1stソロ・アルバム『Wax & Wane』をリリース。
近年ではジャズの名門Impulse!との契約に成功し、その第1弾アルバムとして『Somewhere Different』(2021年)をリリース。本作『Brand New Life』はImpulse!からの第2弾アルバムとなります。
当ブログで紹介した作品でいえば、以下の作品にBrandee Youngerが参加しています。
Common『Finding Forever』(2007年)
John Legend『Love In The Future』(2013年)
Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
Kassa Overall『I Think I'm Good』(2020年)
以前から気になるアーティストでしたが、実際にアルバムを聴くのは本作『Brand New Life』が初めてです。
音を聴く以前に参加しているメンツを知り、これは聴くべき1枚だと感じました。
ビート・サイエンティストの異名を持つドラマー/ビートメイカー/プロデューサーのMakaya McCravenがプロデュース。
レコーディングにはBrandee Younger(harp、vo)以下、Rashaan Carter(b)、Makaya McCraven(ds)、Joel Ross(vibes)、DeSean Jones(fl)、Yuri Popowycz(string)、Pete Rock(ds prog)、9th Wonder(ds prog、add production)、Mumu Fresh(vo)、Me'Shell NdegéOcello(vo)、Linda McNease-Younger(vo)、Sharon McNease-Griggs(vo)、Junius Paul(b)といったミュージシャンが参加しています。
次世代ジャズの注目アーティストから有名Hip-Hopアーティスト、さらにはMe'Shell NdegéOcelloまで僕好みのメンツが揃っています。
先行シングルとなったDorothy Ashbyの未発表曲「You're A Girl For One Man Only」をはじめ、アルバム全体が女性ジャズ・ハープ奏者の先人Dorothy Ashbyからインスパイアされたアルバムとなっています。
そのDorothy Ashbyの未発表曲「You're A Girl For One Man Only」、Mumu Freshをフィーチャーしたネオソウルな「Brand New Life」、Pete Rockをフィーチャーした「Livin' And Lovin' In My Own Way」、9th Wonderをフィーチャーした「The Windmills Of Your Mind」といったHip-Hop調トラック、今ジャズらしいビートの「Moving Target」、Me'Shell NdegéOcelloをフィーチャーしたレゲエ調の「Dust」、Stevie Wonderのカヴァー「If It's Magic」と聴きどころ満載です。
美しく深遠な次世代ジャズ・ハープをご堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「You're A Girl For One Man Only」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。前述のように、Dorothy Ashbyの未発表曲を世に送り出した先行シングル。Brandeeの美しく深遠なハープの響きに心が癒されます。Joel Rossのヴァイヴの音色とのコンビネーションもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=AEMBE9SdT0g
「Brand New Life」
Brandee Younger/Maimouna Youssef作。タイトル曲はワシントンD.Cの女性シンガーMumu Fresh(Maimouna Youssef)をフィーチャー。ネオソウル調のビューティフル・ソングが聴く者を優しく包み込みます。
https://www.youtube.com/watch?v=t0n0isQn_XM
「Come Live With Me (Interlude)」
Ivan Washabaugh/Mike Caranda/Russ Carlyle作。Dorothy Ashbyも『Afro-Harping』(1968年)でカヴァーしていた楽曲です。ここではBrandeeのハープ独奏でしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=oAm6-OMk5Y4
「Livin' And Lovin' In My Own Way」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。大御所Pete RockをフィーチャーしたHip-Hopビート×ジャズ・ハープなトラック。意外にHip-Hopビートとジャズ・ハープの相性はいいかもしれません!このくらいキャッチーな方が聴きやすい人もいるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=Pti2kuyzknw
「Running Game (Intro)」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。次曲へのイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=unJdHTgQhyU
「Running Game」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。抑えたトーンながらも小粋なジャズ・フィーリングを感じる演奏を楽しめます。ジワジワと胸に染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=S8XoYKoE810
「Moving Target」
Brandee Younger作。Makaya McCravenの今ジャズらしいビートが印象的な演奏です。アルバムの中で最も今ジャズらしい演奏かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=QiWWsXTj8mQ
「Dust」
Dorothy Ashbyのカヴァー。オリジナルは『The Rubaiyat Dorothy Ashby』(1970年)収録。ここではMe'Shell NdegéOcelloのヴォーカルをフィーチャーし、レゲエ調の演奏を聴かせてくれます。レゲエとハープの組合せもなかなかいいですね!
https://www.youtube.com/watch?v=TnCBOfNe7cI
「The Windmills Of Your Mind」
Michel Legrand/Alan Bergman/Marilyn Bergman作。Steve McQueen主演の映画『The Thomas Crown Affair(邦題:華麗なる賭け)』(1968年)の主題歌をカヴァー。ここでは9th Wonderをフィーチャーし、Hip-HopビートをバックにBrandeeが哀愁メロディを奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=-Y1jq9HlTso
本曲に関して、当ブログではDorothy Ashby、Paige Claire、Bobbi Boyle、Bud Shankのカヴァーを紹介済みです。
「If It's Magic」
ラストはStevie Wonderのカヴァー。オリジナルは名盤『Songs In The Key Of Life』(1976年)収録。これはジャズ・ハープのためにあるような楽曲かもしれませんね。Brandeeの美しいハープ独奏を堪能しましょう!
https://www.youtube.com/watch?v=yL_2oKE4VtU
Brandee Youngerの他作品もチェックを!
『Prelude』(2011年)
The Brandee Younger 4tet『Live at the Breeding Ground』(2014年)
『Wax & Wane』(2016年)
『Soul Awakening』(2019年)
Dezron Douglas & Brandee Younger『Force Majeure』(2020年)
『Somewhere Different』(2021年)