2023年05月07日

Brandee Younger『Brand New Life』

次世代ジャズ・ハープ奏者の最新作☆Brandee Younger『Brand New Life』
brandee younger brand new life.jpg
発表年:2023年
ez的ジャンル:次世代ジャズ・ハープ
気分は... :Dorothy Ashby、Alice Coltraneに続け!

新作ジャズから次世代ジャズ・ハープ奏者の最新作Brandee Younger『Brand New Life』です。

Brandee Youngerは1986年ニューヨーク州に生まれ。

ハートフォード大学の音楽院ハートスクールで学び、Dorothy AshbyAlice Coltraneといった女性ジャズ・ハープ奏者の影響を受けて、2006年頃からハープ奏者として本格的な活動を開始します。

2011年にデビューEP『Prelude』、2016年に1stソロ・アルバム『Wax & Wane』をリリース。

近年ではジャズの名門Impulse!との契約に成功し、その第1弾アルバムとして『Somewhere Different』(2021年)をリリース。本作『Brand New Life』はImpulse!からの第2弾アルバムとなります。

当ブログで紹介した作品でいえば、以下の作品にBrandee Youngerが参加しています。
 Common『Finding Forever』(2007年)
 John Legend『Love In The Future』(2013年)
 Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
 Kassa Overall『I Think I'm Good』(2020年)

以前から気になるアーティストでしたが、実際にアルバムを聴くのは本作『Brand New Life』が初めてです。

音を聴く以前に参加しているメンツを知り、これは聴くべき1枚だと感じました。

ビート・サイエンティストの異名を持つドラマー/ビートメイカー/プロデューサーのMakaya McCravenがプロデュース。

レコーディングにはBrandee Younger(harp、vo)以下、Rashaan Carter(b)、Makaya McCraven(ds)、Joel Ross(vibes)、DeSean Jones(fl)、Yuri Popowycz(string)、Pete Rock(ds prog)、9th Wonder(ds prog、add production)、Mumu Fresh(vo)、Me'Shell NdegéOcello(vo)、Linda McNease-Younger(vo)、Sharon McNease-Griggs(vo)、Junius Paul(b)といったミュージシャンが参加しています。

次世代ジャズの注目アーティストから有名Hip-Hopアーティスト、さらにはMe'Shell NdegéOcelloまで僕好みのメンツが揃っています。

先行シングルとなったDorothy Ashbyの未発表曲「You're A Girl For One Man Only」をはじめ、アルバム全体が女性ジャズ・ハープ奏者の先人Dorothy Ashbyからインスパイアされたアルバムとなっています。

そのDorothy Ashbyの未発表曲「You're A Girl For One Man Only」Mumu Freshをフィーチャーしたネオソウルな「Brand New Life」Pete Rockをフィーチャーした「Livin' And Lovin' In My Own Way」9th Wonderをフィーチャーした「The Windmills Of Your Mind」といったHip-Hop調トラック、今ジャズらしいビートの「Moving Target」Me'Shell NdegéOcelloをフィーチャーしたレゲエ調の「Dust」Stevie Wonderのカヴァー「If It's Magic」と聴きどころ満載です。

美しく深遠な次世代ジャズ・ハープをご堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「You're A Girl For One Man Only」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。前述のように、Dorothy Ashbyの未発表曲を世に送り出した先行シングル。Brandeeの美しく深遠なハープの響きに心が癒されます。Joel Rossのヴァイヴの音色とのコンビネーションもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=AEMBE9SdT0g

「Brand New Life」
Brandee Younger/Maimouna Youssef作。タイトル曲はワシントンD.Cの女性シンガーMumu Fresh(Maimouna Youssef)をフィーチャー。ネオソウル調のビューティフル・ソングが聴く者を優しく包み込みます。
https://www.youtube.com/watch?v=t0n0isQn_XM

「Come Live With Me (Interlude)」
Ivan Washabaugh/Mike Caranda/Russ Carlyle作。Dorothy Ashby『Afro-Harping』(1968年)でカヴァーしていた楽曲です。ここではBrandeeのハープ独奏でしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=oAm6-OMk5Y4

「Livin' And Lovin' In My Own Way」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。大御所Pete RockをフィーチャーしたHip-Hopビート×ジャズ・ハープなトラック。意外にHip-Hopビートとジャズ・ハープの相性はいいかもしれません!このくらいキャッチーな方が聴きやすい人もいるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=Pti2kuyzknw

「Running Game (Intro)」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。次曲へのイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=unJdHTgQhyU

「Running Game」
Brandee Younger/Dorothy Ashby作。抑えたトーンながらも小粋なジャズ・フィーリングを感じる演奏を楽しめます。ジワジワと胸に染み入ります。
https://www.youtube.com/watch?v=S8XoYKoE810

「Moving Target」
Brandee Younger作。Makaya McCravenの今ジャズらしいビートが印象的な演奏です。アルバムの中で最も今ジャズらしい演奏かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=QiWWsXTj8mQ

「Dust」
Dorothy Ashbyのカヴァー。オリジナルは『The Rubaiyat Dorothy Ashby』(1970年)収録。ここではMe'Shell NdegéOcelloのヴォーカルをフィーチャーし、レゲエ調の演奏を聴かせてくれます。レゲエとハープの組合せもなかなかいいですね!
https://www.youtube.com/watch?v=TnCBOfNe7cI

「The Windmills Of Your Mind」
Michel Legrand/Alan Bergman/Marilyn Bergman作。Steve McQueen主演の映画『The Thomas Crown Affair(邦題:華麗なる賭け)』(1968年)の主題歌をカヴァー。ここでは9th Wonderをフィーチャーし、Hip-HopビートをバックにBrandeeが哀愁メロディを奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=-Y1jq9HlTso

本曲に関して、当ブログではDorothy AshbyPaige ClaireBobbi BoyleBud Shankのカヴァーを紹介済みです。

「If It's Magic」
ラストはStevie Wonderのカヴァー。オリジナルは名盤『Songs In The Key Of Life』(1976年)収録。これはジャズ・ハープのためにあるような楽曲かもしれませんね。Brandeeの美しいハープ独奏を堪能しましょう!
https://www.youtube.com/watch?v=yL_2oKE4VtU

Brandee Youngerの他作品もチェックを!

『Prelude』(2011年)


The Brandee Younger 4tet『Live at the Breeding Ground』(2014年)


『Wax & Wane』(2016年)


『Soul Awakening』(2019年)


Dezron Douglas & Brandee Younger『Force Majeure』(2020年)


『Somewhere Different』(2021年)

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2023年05月05日

『今の気分は...2023年5月5日編』

過去記事から10曲セレクトするシリーズです。
今回は70年代カテゴリーからブラジルものを10曲をセレクトしました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

Ivan Lins「Quadras De Rodas」
https://www.youtube.com/watch?v=sfq3CVPMVvo
From 『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)


Milton Nascimento「Ponta De Areia」
https://www.youtube.com/watch?v=ESEX-4H53X8
From 『Minas』(1975年)


Edu Lobo「Casa Forte」
https://www.youtube.com/watch?v=D-HFC_HAveg
From Edu Lobo『Cantiga de Longe』(1970年)


Jorge Ben「Ponta de Lanca Africano(Umbabarauma)」
https://www.youtube.com/watch?v=Kk3Bci3jVBs
From 『Africa Brasil』(1976年)


Marcos Valle「Freio Aerodinamico」
https://www.youtube.com/watch?v=IavupqEJpn0
From 『Marcos Valle(1970)』(1970年)


Lo Borges「Tudo Que Voce Podia Ser」
https://www.youtube.com/watch?v=8akp45ZLYaM
From Lo Borges『A Via Lactea』(1979年)
ア・ヴィア・ラクテア

Toninho Horta「Aquelas Coisas Todas (Sanguessuga)」
https://www.youtube.com/watch?v=tCYiu5wEFis
From 『Terra dos Passaros』(1979年)


Djavan「Serrado」
https://www.youtube.com/watch?v=d4QJ2l_ippw
From 『Djavan』(1978年)
ジャヴァン&アルンブラメント(閃き)

Gilberto Gil「Ela」
https://www.youtube.com/watch?v=ieTsA8sCpAk
From Gilberto Gil『Refazenda』(1975年)
ヘファゼンダ(BOM1801)

Chico Buarque「Samba de Orly」
https://www.youtube.com/watch?v=6OoyRyePx6o
From 『Construcao』(1971年)
Construcao
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2023年05月03日

The Artistics『I'm Gonna Miss You』

Brunswickの男性ソウル・グループ☆The Artistics『I'm Gonna Miss You』

発表年:1967年
ez的ジャンル:Brunswick系シカゴ・ソウル
気分は... :GWですが・・・

世間はGWですがフツーに仕事してます(泣)

今回はシカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickThe Chi-Litesと並ぶ男性ソウル・グループであったThe ArtisticsのBrunswick第1弾アルバム『I'm Gonna Miss You』(1967年)です。

The Artisticsが結成されたのは1958年。

Major Lanceのバックを務めたことでプロデューサーCarl Davisに見出され、OKehからデビュー・シングル「I Need Your Love / What'll I Do」がリリースされたのは1963年。1966年にはデビュー・アルバム『Get My Hands On Some Lovin'』をリリース。

その後Carl Davisと共にシカゴ・ソウルの名門レーベルBrunswickへ移籍し、『I'm Gonna Miss You』(1967年)、『The Articulate Artistics』(1968年)、『What Happened』(1969年)、『I Want You To Make My Life Over』(1970年)、『Look Out』(1973年)という5枚のアルバムをリリースしています。

Brunswickからの第1弾アルバムとなった本作『I'm Gonna Miss You』(1967年)ですが、メンバー構成において多少事情があります。

アルバムに先行して1966年にシングル・リリースされた「I'm Gonna Miss You」(B面「Hope We Have」)のレコーディング・メンバーは、Marvin SmithLarry JohnsonJesse BolianAaron Floydという4名。

しかしながら、リード・ヴォーカルのMarvin Smithが並行してソロ名義のシングルをレコーディングしており(バック・コーラスはThe Artisticsの他メンバー)、そのままソロ・デビューしてしまったため、上記2曲以外は新メンバーのTommy Greenが加わっています。

勿論プロデュースはCarl Davis

ちなみにシングル「I'm Gonna Miss You』」はUSチャート第55位、同R&Bチャート第9位となり、グループ最大のヒット曲となりました。

そのシカゴ・ソウル名曲「I'm Gonna Miss You』」がハイライトかもしれませんが、個人的には「Sweeter Than Sugar」「Love Song」「Hope We Have」「Girl I Need You」「Why, Why, Why」といったグルーヴィーな曲がオススメです。

アルバム全体としても粒揃いのシカゴ・ソウル好盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Sweeter Than Sugar」
Bernard Reed/Daniel Reed/Jesse Bolian作。軽快なノーザン・ダンサーがオープニング。モッズ/スウィンギン・ロンドン好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=FuU0dKXE6zY

「Glad I Met You」
Daniel Reed/Othie Wright/Tommy Green作。Tommy Greenのファルセット・ヴォーカルが映えるシカゴ・ソウルらしい味わいの仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=68QSSJIvE2A

「There Is No Sadness」
Jesse Bolian/Larry Johnson作。軽快なギターとホーン・サウンドがいい感じのグルーヴィー・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=3SspghvkoIQ

「Love Song」
Carl Davis/Larry Johnson作。シングルにもなった曲。小気味よいノーザン・ソウル。途中から思わず一緒に口ずさんでしまうキャッチーさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=7HyNPpMKWgk

「Hope We Have」
William E. Butler/Marvin Smith作。シングル「I'm Gonna Miss You」のB面曲であり、Marvin Smithがリード・ヴォーカルをとります。パーカッシヴなノーザン・ソウル。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。漆黒の疾走感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=QQlN_M9Vtgo

「I'm Gonna Miss You」
Jesse Bolian/Larry Johnson/Marvin Smith作。前述のようにUSチャート第55位、同R&Bチャート第9位というグループ最大のヒット曲。Marvin Smithのリード・ヴォーカルを満喫できるミディアム。名曲の雰囲気がありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=kst5L9CDyd4

「Girl I Need You」
Barbara Griffin/Daniel Reed/Tommy Green作。美しいストリングスと共に始まるグルーヴィー・ソウル。フリーソウル好きも取り込みそうな軽やかさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=8zVp_IjpEHI

「I'll Always Love You」
Carl Davis/Jesse Bolian作。グルーヴィーながらもヴォーカルワークを重視した仕上がり。緩急のつけ方がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=68QSSJIvE2A

「It's Gonna Be Alright」
Carl Davis/Larry Johnson作。溌剌としたシカゴ・ソウル。リラックスした雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SLas_33XvNE

「Why, Why, Why」
Gerald Sims/Karl Tarleton作。キャッチーなシカゴ・ソウル。軽やかな中にも芳醇な味わいがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iA_gJ_IeXCE

「You're Wonderful」
Bernard Reed/Daniel Reed/Gerald Sims作。スウィートな空気に包まれた素敵なソウル・バラード。オーセンティックな魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=-mteMllQq0o

「On & On」
Daniel Reed/Earl Smith/Tommy Green作。ラストは美しいストリングスを配した素敵なミディアム・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=YGeYTrsQ1Gc

『I'm Gonna Miss You/The Articulate Artistics』(1967/1968年)


『The Best of the Artistics』
posted by ez at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする