2023年08月30日

Ray Barretto『Rican/Struction』

サルサ回帰した快心作☆Ray Barretto『Rican/Struction』

発表年:1979年
ez的ジャンル:N.Y.サルサ
気分は... :"ハード・ハンズ"再建!

今回はN.Y.サルサからRay Barretto『Rican/Struction』(1979年)です。

ラテン・グルーヴの帝王"ハード・ハンズ"Ray Barrettoについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の7枚。

 『Senor 007』(1965年)
 『Acid』(1968年)
 『Latino Con Soul』(1967年)
 『The Message』(1972年)
 『Que Viva La Musica』(1972年)
 『Can You Feel It』(1978年)
 『La Cuna』(1981年)

『Rican/Struction』は70年代後半のBarrettoを代表するサルサ名盤です。勿論、Faniaからのリリースです。

この時期のBarrettoは彼の商売道具とも呼べる手を負傷してしまい、そこからの復帰作となったのが本作です。

これに因んでアルバム・タイトルはPuerto RicanReconstructionを組み合わせたものになっています。またアルバム・ジャケでも手の再建(Reconstruction)が描かれています。

同時に、ディスコ/フュージョン路線に傾倒していたBarrettoがサルサに回帰したという意味での再建も含まれていると思われます。

Ray Barretto(congas)以下、Adalberto Santiago(vo、maracas、claves)、Oscar Hernandez(p)、Sal Cuevas(b)、Hector Zarzuela(tp)、Jose Febles(tp)、Jose Jerez(tp)、Papo Vazquez(tp)、Puchi Boulong(tp)、Todd Anderson(sax)、Jose A. Fajardo(fl)、Luis Gonzalez(bongos)、Ralph Irrizary(timbales)、Ray Romero(bata)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

プロデュースはRay Barretto自身。

「Al Ver Sus Campos」「Un Dia Sere Feliz」「Ya Vez」などモダンでエネルギッシュなN.Y.サルサで楽しませてくれます。

エレピも交えた都会的な「Algo Nuevo」、リズミックな「Tumbao Africano」もオススメです。

再建された"ハード・ハンズ"によるラテン・ワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Al Ver Sus Campos」
Johnny Ortiz作。Oscar Hernandezアレンジ。ラテン・グルーヴの帝王復活を印象づけるモダンなサルサ・グルーヴがオープニング。溌剌とした中にもヴォーカルに哀愁漂うのがサルサらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mkhNayzsi8I

「Un Dia Sere Feliz」
Oscar Hernandezアレンジ。軽快に疾走するアップテンポのサルサ。躍動するリズム・シャワーと開放感のあるホーン・サウンドで聴く者を熱狂させます。エネルギッシュな中にも洗練を感じるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=i4jQr7LI7Nk

「Piensa En Mi」
Agustin Lara作。Eddie Martinezアレンジ。サンセットが似合いそうなロマンティックなバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=PsuDVmotIdk

「Ya Vez」
Eddie Martinezアレンジ。個人的には一番のお気に入り。Barrettoの"ハード・ハンズ"、艶のあるAdalberto Santiagoのヴォーカル、見事なホーン・アンサンブルなどモダンなN.Y.サルサを存分に満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=HPtbDvOWtTs

「Adelante Siempre Voy」
Curet Alonso作。Gil Lopezアレンジ。王道サルサにモダンなアレンジが加味された開放的で重厚なラテン・ワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ty_gaYC7S5Q

「Algo Nuevo」
Dick Mesa作/アレンジ。エレピの音色も聞こえてくる都会的な哀愁ラテン・グルーヴ。意外に後半はエキサイティングです。
https://www.youtube.com/watch?v=6T1T_QmES2U

「Tumbao Africano」
Ray Barretto作。Oscar Hernandezアレンジ。ラストはラテン・グルーヴらしいリズミックな演奏で締め括ってくれます。パーカッション・ブレイク、ベース・ソロなどもあって楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=uOGJ6obBrb0

Ray Barrettoの過去記事もご参照ください。

『Senor 007』(1965年)
Senor 007

『Latino Con Soul』(1967年)


『Acid』(1968年)
Acid

『The Message』(1972年)
The Message

『Que Viva La Musica』(1972年)
Que Viva La Musica

『Can You Feel It』(1978年)
キャン・ユー・フィール・イット

『La Cuna』(1981年)
ラ・クーナ
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2023年08月27日

Anna Setton『O Futuro E Mais Bonito』

ブラジル人女性SSWの最新作☆Anna Setton『O Futuro E Mais Bonito』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ブラジル人女性シンガー・ソングライター
気分は... :未来はもっと美しい!

新作ブラジルものからAnna Setton『O Futuro E Mais Bonito』です。

Anna Settonは1983年ブラジル、サンパウロ出身の女性シンガー・ソングライター/ギタリスト。

これまで『Anna Setton』(2018年)、『Onde mora meu coracao』(2021年)という2枚のアルバムをリリースしています。

また、それ以前には巨匠ギタリストToquinhoのツアー・サポートをしたり、彼のアルバム『Quem Viver, Vera』(2011年)でフィーチャリングもされています。

3rdアルバムとなる本作『O Futuro E Mais Bonito(邦題:未来はもっと美しい)』ですが、ブラジル北東部のペルナンブーコ州レシーフェでレコーディングが行われ、BarroGuilherme Assisというレシーフェのミュージシャン二人がプロデュースを務めています。。

レコーディングにはBarro(g)、Guilherme Assis(b、g、org、p、syn、prog、glockenspiel、mellotron)、Ricardo Fraga(ds)、Henrique Albino(fl、tp、sax、clarinet )、Gilú Amaral(per)、Aisha Lourenco(per)、Karol Maciel(accordion)といったミュージシャンが参加しています。

ブラジルの伝統音楽を踏まえつつ、さり気なくモダンなサウンドを織り込んだトラックと透明感のあるAnnaの歌声が織り成すMPBワールドは格別です。

リラックスしたオープニング「Saudade e pouco」、薄らエレクトロニカを効かせた「Sigo dizendo sim」、伝統的リズムとプログラミングを巧みに組み合わせた「Aproximar」、哀愁アコースティック・メロウなタイトル曲「O futuro e mais bonito」、Ze Manoelとのデュエット「Canto de aruanda」、開放感と優しさに包まれた「Money no tengo」、ドリーミー・メロウ・ポップ「Forro de dois」など充実の全10曲です。

Annaの透明感のある歌声に癒されましょう!

全曲紹介しときやす。

「Saudade e pouco」
邦題「憧れは小さすぎる」。Ed Staudinger/Juliano Holanda/Barro作。リラックスしたサウンドをバックに、透明感のあるAnnaの歌声に優しく包まれるオープニング。晴れた日にのんびり過ごしながら聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iLeqmkCeOx0

「Sigo dizendo sim」
邦題「イエスと言い続ける」。Igor De Carvalho/Anna Setton作。控えめながらも薄らエレクトロニカを効かせたモダンなプロダクションをバックに、Annaの瑞々しいヴォーカルが映えます。サウンド・センスの良さに魅せられます。
https://www.youtube.com/watch?v=wN5SC91raHY

「Aproximar」
邦題「もっと近くに」。Barro/Rodrigo Campello/Anna Setton作。伝統的リズムとプログラミングを巧みに組み合わせたリズムに乗って、Annaが軽やかなに歌い上げます。聴いているだけで涼しげでいいですね。さり気なさの中にモダンなセンスが冴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=aESGkrvjyFU

「O futuro e mais bonito」
邦題「未来はもっと美しい」。Igor De Carvalho/Anna Setton作。タイトル曲はブラジル人アーティストらしい哀愁メロウ。アコースティックな疾走感と少し憂いを帯びたAnnaのヴォーカルの組み合わせが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=tvy8yzbmw2Q

「Canto de aruanda」
邦題「アルアンダの歌」。Edu Sangirardi/Anna Setton作。ブラジル人男性シンガー・ソングライターZe Manoelをフィーチャー。伝統的リズムにフルート/トランペット/サックスも織り交ぜたレシーフェ録音らしい1曲。AnnaとZe Manoelの息の合ったデュエットや緩急のアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=id9sNaQrfEU

「Amor e sal」
邦題「愛と塩」。Edu Sangirardi/Anna Setton作。少し寂しげなメロウ・チューン。ゆったりとしながらもリズミックで少しミステリアスな雰囲気があるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yRkmInR55EE

「Money no tengo」
邦題「お金もない」。Igor De Carvalho/Anna Setton作。語りかけるようなAnnaの優しい歌声に癒されます。中盤から伝統的リズムでレゲエに通じる開放感に包まれるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=reGXTPGtsfA

「Forro de dois」
Edu Sangirardi/Anna Setton作。プログラミングによるホイッスル・サウンドと共に始まるメロウ・ポップ。ドリーミーな雰囲気もあってホッコリします。
https://www.youtube.com/watch?v=oSXJVmsGQdw

「Me queira」
邦題「あなたが私を望むなら」。Barro作。オーセンティックな中にもモダンなセンスを感じる1曲。終盤の少しドリーミーな雰囲気もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=XzhhsyPMZk0

「Sweet as water」
邦題「水のように甘い」。Joao Camarero/Anna Setton作。ラストはしっとりとした哀愁メロウで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=TLgaE4HCbS0

デビュー・アルバム『Anna Setton』(2018年)、2ndアルバム『Onde mora meu coracao』(2021年)もCD化されていますが、現在入手しづらい状況です。
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2023年08月25日

『今の気分は...2023年8月25日編』

過去記事から10曲セレクトするシリーズです。
今回は90年代カテゴリーからドラムンベースを中心に10曲セレクトしました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

4Hero「Universal Love(4 Hero Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=hFQYhpERuJA
From 『Parallel Universe』(1994年)


Goldie「Sea of Tears」
https://www.youtube.com/watch?v=BY37izMpcsc
From 『Timeless』(1995年)


D*Note「Criminal Justice」
https://www.youtube.com/watch?v=IRue278fl60
From 『Criminal Justice』(1995年)


Nicolette「Song For Europe」
https://www.youtube.com/watch?v=JYlSZbMJ0mE
From 『Let No-One Live Rent Free In Your Head』(1996年)


Everything But The Girl「Good Cop Bad Cop」
https://www.youtube.com/watch?v=BCJR7Fph0Lo
From 『Walking Wounded』(1996年)


Squarepusher「Squarepusher Theme」
https://www.youtube.com/watch?v=wiycAAoaK2k
From 『Feed Me Weird Things』(1996年)


Mouse On Mars「Twift Shoeblade」
https://www.youtube.com/watch?v=oOYsRbclyTE
From 『Autoditacker』(1997年)


Stereolab「Parsec」
https://www.youtube.com/watch?v=Cy1tD_zYcU8
From 『Dots And Loops』(1997年)


Readymade「Dynamo」
https://www.youtube.com/watch?v=cz_TQ3yMRVA
From 『Dynamo』(1998年)


Adam F「Circles」
https://www.youtube.com/watch?v=LDRNYUucKvA
From 『Colours』(1998年)
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2023年08月23日

Peyton『PSA』

次世代女性R&B/ネオソウル☆Peyton『PSA』

発表年:2021年
ez的ジャンル:次世代女性R&B/ネオソウル
気分は... :尾を泥中に曳く・・・

今回はPeyton『PSA』(2021年)です。
新作として紹介できなかった買いそびれていた1枚です。

Peyton(本名:Peyton Nicole Booker)は1997年テキサス州生まれの女性R&B/ネオソウル・シンガー。

グラミー・ノミネートの経歴を持つ女性ゴスペル・シンガーTheola Bookerを祖母に持ちます。

人気レーベルStones Throwからリリースされた本作『PSA』(2021年)についてネットで調べると、デビュー・アルバム扱いと2ndアルバム扱いという2通りの説明があります。

これは2016年にデジタル配信された『Peace in the Midst of a Storm』を含めるか否かの違いだと思います。

Joyce Wriceや当ブログでも紹介したAri Lennoxといった女性シンガーと一緒に説明されることも多いPeytonですが、個人的には少し系統が違うかなという気もします。これら2アーティストほど王道系ではなく、オルタナ系という位置づけでしょうか。。

本作『PSA』(2021年)も、儚いキュートさと脱力感に魅せられる王道R&Bとは一味違う1枚に仕上がっています。

CD(輸入盤)にクレジットが記載されていないので詳細は不明ですが、BiakoJay AnthonyVicky FarewellJulia LewisKeys N Kratesといったプロデューサーが起用されているようです。

ドリーミーなオープニング「What Did I Do」、Brice Blancoのラップをフィーチャーした「Let It Flow」、美しいピアノが響く「Haters」、コケティッシュな「Ppl Say」、Peyton流モダン・ブギー「Don't U Wanna Fly」、癒されるビューティフル・メロウ「It's Been So Long」、映画名曲カヴァー「Pure Imagination」あたりがオススメです。

儚くもキュートで、脱力系で癒されるPeytonワールドを満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「What Did I Do」
PeytonとHope Shorterの共作。ドリーミーなメロウ・チューンがオープニング。美しくも儚い感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=P9LUtG596f4

「Let It Flow」
Brice Blancoをフィーチャー。楽曲もPeytonとBrice Blancoのの共作です。シンセ・ベースの重低音が腹に響くメロウ・チューン。儚いPeytonの歌声とBrice Blancoのラップのコントラストが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=CdI2dHkYpoM

「Haters」
美しいピアノとPeytonのキュートな歌声が印象的な幻想的トラック。ただし、控えめなリズムが一筋縄ではいかない感じがStones Throwっぽいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kTDZgCn7LhQ

「Ppl Say」
Peyton作。Peytonのヴォーカルのコケティッシュな魅力を満喫できるミディアム・グルーヴ。夢の中で彷徨うようなムードです。
https://www.youtube.com/watch?v=NMFd5VlVW3A

「IRLMB」
Peyton作。1分半の短いトラックですが、レイジーな雰囲気が印象的な脱力系トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=x0B1kJ3jfDI

「Vicky's Interlude」
Vicky Farewell作。幻想的で美しいインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=VMtYXzLFVJw

「Big Flexer」
Peyton作。Ian McGilberをフィーチャー。ギターの音色と力強いビートが印象的なインディー・ロック調のトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=p8nH7nnPFuA

「Don't U Wanna Fly」
Peyton作。Peyton流モダン・ブギーといったところでしょうか。ベッドルームのダンス・ミュージックといった雰囲気が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=num7e2kK7DE

「Tad Bit」
Peyton作。幻想的な美しさと実験的な雰囲気が同居するトラック。Peytonのキュートな魅力が際立ちます。
https://www.youtube.com/watch?v=JOc6bpI4n5k

「It's Been So Long」
Peyton作。儚いPeytonの歌声に癒されるビューティフル・メロウ。ゆっくりと時間が流れていく感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FzjuXAn7gIE

「Perfect Peach」
PeytonとHope Shorterの共作。脱力系のミディアム・メロウ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=rP1IhCfyJhc

「Pure Imagination」
映画『Willy Wonka & the Chocolate Factory』(1971年)のサントラ曲をカヴァー(Leslie Bricusse/Anthony Newley作)。オリジナルはGene Wilderが歌っていました。そんな楽曲を甘く切ないメロウ・バラードで聴かせてくれます。アコギとせつねい歌声の組み合わせがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=WmSJn0agrTE

ここ数日、三笘選手の衝撃のドリブル弾動画を繰り返し観てニンマリしています。これでだけで酒が何杯も呑めますね!
posted by ez at 07:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月20日

Fabiano Do Nascimento『Das Nuvens』

最新作はLeaving Recordsからのリリース☆Fabiano Do Nascimento『Das Nuvens』

発表年:2023年
ez的ジャンル:ブラジル人ギタリスト
気分は... :肯綮に中る・・・

新作からブラジル出身、現在はL.A.を拠点に活動するギタリストFabiano Do Nascimentoの最新作『Das Nuvens』です。

1983年リオ・デジャネイロ生まれのギタリストFabiano Do Nascimentoの紹介は、『Ykytu』(2021年)

現在はL.A.を拠点に活動しています。

今年初めにArthur Verocaiと共演したアルバム『Lendas』(アナログ盤のみ)をリリースしたばかりですが、約半年という短いインターバルで最新作『Das Nuvens』が届けられました。

本作はFabianoとの親交も深いSam Gendelなどニューエイジ/アンビエント作品のリリースで知られるLeaving Recordsからのリリースです。

プロデュースはDaniel Santiago
これもでもFabiano作品に参加していますし、当ブログでも紹介したPedro Martinsvとの共演でも知られるブラジル人ギタリストです。

演奏もすべてFabianoとDaniel Santiagoの二人によるものです。
楽曲はすべてFabianoのオリジナル。

Baden Powellらの流れを汲む、ブラジル人ギタリストらしいテクニックとスピリチュアルな雰囲気で楽しませてくれてきたFabiano Do Nascimentoですが、本作はLeaving Recordsからのリリースらしくニューエイジ/アンビエントなテイストも取り込み、ブラジル音楽の枠を飛び越えた音世界を展開します。

美しいギターの音色と無機質なプログラミングの組み合わせによるクールな音世界は、打ち水のような清涼感とモダンな癒やしを聴く者に届けてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Babel」
Fabianoらしいスピリチュアル感覚とLeaving Recordsらしいニューエイジ/アンビエント感覚がうまくブレンドしたようなオープニング。また、「バベルの塔」を冠したタイトルを踏まえて、神の怒りを買った人類への警鐘のような意味合いも妄想すると、より味わい深くなるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=G8E5dN6AvCU

「Thrdwrld」
プログラミングによる無機質なリズムとBaden Powellばりの美しい響きのギターとのコントラストが印象的なトラック。無機質なリズムが逆に美しいギターを際立たせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=AR6IPFWc8I4

「Train To Imagination」
このトラックも無機質なビートと美しい響きのギターの融合を試みたトラック。ビートミュージックの影響も少し感じるエクペリメンタルな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=18atGd7M0Zs

「Das Nuvens」
タイトル曲はモダン感覚のアンビエント・ミュージックといった趣です。静なるエナジーを感じます。現代アートのBGMなんか合っているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ae9mE4f1b2M

「Yugen」
アンビエント感覚の短い演奏ですが、少しモダン・フォルクローレなテイストも感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=92RrTgq7OAg

「Aurora」
6分超と本作で最も長尺のトラック。タイトルの通り、オーロラを想起させる幻想的なスピリチュアル&コズミックな音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=uRNjPHElAws

「Eterno」
僕の好きな引き算の美学を感じるトラック。一音一音の余韻を感じることができるサウンドスケープ的な音世界を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=wqmBIWTwhMA

「Stranger Nights」
星空のタイムラプス動画(一定間隔で撮影した静止画をつないだ動画)のBGMにフィットしそうな幻想的トラック。
https://www.youtube.com/watch?v=DwwUGeez5-0

「Blu's Dream」
本作では珍しいギターのみの演奏です。美しいギターの響きを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=4wWIfdrQRBU

「3 Pontas」
ギターを封印してエレクトロニカを前面に打ち出したトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=v9Mszx_Zb4E

「Amoroso」
本編ラストはブラジルの土着リズムを取り入れつつ、現代音楽的なテイストで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qdMlmPzyQ4g

「Das Nuvens Live」
国内盤CDボーナス・トラック。「Das Nuvens」のライヴ・レコーディングです。オリジナルと異なる生ドラムによる演奏なので、また違ったテイストの演奏を楽しめます。

Fabiano Do Nascimentoの他作品もチェックを!

Sumiko Fukatsu & Fabiano Do Nascimento『Leaf And Root』(2011年)


『Danca Dos Tempos』(2015年)


『Tempo Dos Mestres』(2017年)


『Preludio 』(2020年)


『Ykytu』(2021年)


Fabiano Do Nascimento & Itibere Zwarg Collective『Rio Bonito』(2022年)
posted by ez at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする