発表年:1983年
ez的ジャンル:ブラコン/エレクトリック・ファンク・デュオ
気分は... :デコ or ディーコ?
80年代ブラコン/エレクトリック・ファンクからDeco『Fresh Idea』(1983年)です。
Decoは人気シンガーJames Ingramの弟であり、元SwitchのメンバーであったPhillip Ingramと後にプロデューサー/ソングライターとして活躍するマルチ・インストゥルメンタリストAttala Zane Gilesによるデュオ。
二人はAttalaがサポート・メンバーとして参加したSwitchのアルバム『Switch V』(1981年)で意気投合し、Deco結成に至ったようです。
当時はPhillipの兄James IngramがQuincy Jones絡みの作品に起用され、注目を集めていました。そして、Quincy JonesのレーベルQwestからデビュー・アルバム『It's Your Night』(1983年)の制作を進めていた時期と重なります。
そのような状況でDecoもQwestと契約し、唯一のアルバムとなった本作『Fresh Idea』をリリースする運びとなったようです。
Quincy Jonesがエグゼクティヴ・プロデューサーとして名を連ね、Ollie E. Brownがプロデューサーとして起用されています。
Phillip Ingram(vo、el-p、syn)、Attala Zane Giles(g、syn、vo)以下、Ollie E. Brown(ds、per、effects)、Ray Parker, Jr.(g)、Patrice Rushen(el-p)、Cornelius Mims(b)、Wayne Brathwaite(b)、Derek Organ(ds)、Josef Parson(g)、Thomas Organ(g)、John Barnes(syn)、Michael Boddicker(syn)、David Cochrane(syn)、Derek Nakamoto(syn)、Rex Salas(el-p、key、syn)、 Edward Fluellen(p)等がレコーディングに参加しています。
また、James Ingram、Sheree Brown、Kipper Jones、Deborah Thomasがバッキング・ヴォーカルで参加しています。
こうして参加メンバーを眺めるとかなり豪華ですが、商業的には全く不発でした。
Qwest自体がJames Ingram『It's Your Night』のプロモーション優先で、本作までは手が回らなかったのかもしれませんね。
それでも中身は悪くありません。
個人的にはAORファンも気に入りそうなアーバン・メロウ「Delicious」とダンサブルなエレクトリック・ファンク「Let This Be Your Night」がお気に入り。
シングルにもなったタイトル曲「Fresh Idea」、エレクトリック・ファンクな「I'll Be There」や「Live My Fantasy」あたりもオススメです。
B級グルメ感覚で聴けば楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Fresh Idea」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles/Billy Osborne作。タイトル曲はJeffrey Osborneの兄Billy Osborneもソングライティングに加わっています。Queen「Another One Bites the Dust」調のシンセ・ベースが印象的なキャッチーなディスコ・ファンク。シングル・カットされUS R&Bチャート第77位となっています。本作の直後からAttalaとBilly Osborneはプロデューサー/ソングライティング・デュオOsborne & Gilesとして活動するようになります。
https://www.youtube.com/watch?v=4HEY_P7D-fI
Mofak and Temu「On the Come Up」のサンプリング・ソースとなっています。
Mofak and Temu「On the Come Up」
https://www.youtube.com/watch?v=nCwj4B-9a80
「I'll Be There」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles/Ollie E. Brown作。サウンド・センスが抜群の都会的なエレクトリック・ファンク。華やかなアーバン・ナイト・モードにフィットしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=kCLNW4DVS0g
「I'm So Glad I Met You」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles作。アーバンなミディアム・グルーヴ。華やかなリラックス・モードといった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=ArCI28sT4RI
後にThe ControllersがOllie E. Brownのプロデュースでカヴァーしています。
The Controllers「I'm So Glad I Met You」
https://www.youtube.com/watch?v=7b27OTnW4Zg
「Someone Special」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles/Mindy Ingram作。いい雰囲気のミディアム・バラードですが、少しヴォーカルが弱いかも?KVMI「Spekial」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ao5EhePXkKw
「Let This Be Your Night」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles/Wayne Arnold作。James Ingramがバック・コーラスで参加。ダンサブルなエレクトリック・ファンクは「Delicious」と並ぶ僕のお気に入り。Attalaのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Db2useYY9xQ
「Burned By A Bad Match」
Aaron Zigman/Margaret Harris作。ダンサブルなポップ・ファンク。この時代によくあったパターンの曲ですが、今聴くと少し古臭い印象も・・・。
https://www.youtube.com/watch?v=kCLNW4DVS0g
「Live My Fantasy」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles/Ollie E. Brown作。ヴォコーダーも駆使した僕好みのエレクトリック・ファンク。B級グルメ的な魅力があります。バック・コーラスにはKipper Jonesも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-R40yDEZTI8
「Delicious」
Danny Sembello(Michael Sembelloの弟)/David Batteau作。AORファンも気に入りそうなアーバンなメロウ・ミディアムは僕の一番のお気に入り。ブラコン好きの人には間違いないトラックなのでは?フェンダー・ローズのソロはPatrice Rushen。
https://www.youtube.com/watch?v=J2cDJ86eBtA
Terry Steele、New Edition、Deni Hines feat. Don-Eがカヴァーしています。Ollie E. BrownがプロデュースしたTerry Steeleヴァージョンは当ブログでも紹介しました。
Terry Steele「Delicious」
https://www.youtube.com/watch?v=zLiflBCswVE
New Edition「Delicious」
https://www.youtube.com/watch?v=KbAImKUV_PM
Deni Hines feat. Don-E「Delicious」
https://www.youtube.com/watch?v=-dbjZGXNy4g
「Let's Pretend」
Phillip Ingram/Attala Zane Giles/Ken Hirsch/Mark Mueller作。ラストはオーセンティックなバラードで締め括ってくれます。ギターはRay Parker, Jr.。
https://www.youtube.com/watch?v=q8gqj_xTPms
国内盤CDにはグループ名「ディーコ」で表記されていますが、マニアの間では「デコ」の呼称もあるみたいですね。