2023年10月15日

Yussef Dayes『Black Classical Music』

UK新世代ジャズ期待のドラマーの初ソロ作☆Yussef Dayes『Black Classical Music』

発表年:2023年
ez的ジャンル:サウス・ロンドン新世代ジャズ
気分は... :空想の翼で駆け 現実の山野を往かん!

新作アルバムからサウス・ロンドンの注目ジャズ・ドラマー、Yussef Dayesの1stソロ・アルバム『Black Classical Music』です。

Yussef Dayesの紹介は、サウス・ロンドンの若き才能Tom Mischとのコラボ・アルバムTom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』(2020年)に続き2回目となります。

サウス・ロンドン出身のプロデューサー/キーボード奏者のKamaal Williams(Henry Wu)とのユニットYussef Kamaal『Black Focus』(2016年)や、前述のTom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』(2020年)の印象が強いので、ソロ・アルバムは今回が初というのは少し意外ですね。

その初ソロ・アルバムとなる『Black Classical Music』ですが、レジェンド・ベーシストPino Palladinoの息子Rocco Palladino(b)、Elijah Fox(key、syn)、Charlie Stacey(p、key、syn、el-p)、Venna(sax)といったYussefを支えるミュージシャンをはじめ、UK新世代ジャズのトップランナーShabaka Hutchings(bass clarinet)、Bahia Dayes(vo)レゲエ・アーティストのChronicleを父に持ち、新世代ルーツ・レゲエを牽引するジャマイカ人レゲエ・アーティストChronixx(vo、g、b)、ジャマイカ系アメリカ人男性シンガーMasegoJamilah Barry(vo)、USシンガーLeon Thomas III(vo)といったアーティストがフィーチャリングされています。

さらにYussef Dayes(ds、per、syn)以下、Alexander Bourt(congas、per)、 Miles Jame(g、syn)、Nathaniel Cross(tb)、Sons Of KemetメンバーのTheon Cross(tuba)、新世代UKアフロ・ジャズ・ユニットKokorokoのリーダーSheila Maurice-Grey(tp)Paris Fabienne(vo)、Adrian "Jerks" Henry(b)、Chineke! Orchestra(strings)、Dave Dayes(vo)、Tito Oliveira(ds)、Luzinho Do Jefe(per、vo)、Maxwell Hunter(b)、Alex Bonfanti(b)、Laurie Blundell(key、syn)といったミュージシャンが参加しています。

アルバムはサウス・ロンドン新世代ジャズがお好きな方であれば、間違いなく満足できる多彩なUKジャズ・ワールドが展開されます。フィーチャリング・アーティスト、参加メンバーの豪華さも含めて期待通りの1枚だと思います。

来年2月にはYussef Dayes(ds)、Rocco Palladino(b)、Elijah Fox(key)、Venna(sax)、Alexander Bourt(per)という本作参加メンバーを伴っての来日公演も決まっています。

『Black Classical Music』というタイトルがYussef Dayesの本作への自信を示しているのでは?

全曲紹介しときやす。

「Black Classical Music」
Venna(sax)とCharlie Stacey(p)をフィーチャーしたタイトル曲がオープニング。Yussef Dayes/Miles Jamesプロデュース。Charlie StaceyのピアノとVennaのサックスに牽引されながら、Yussef DayesのドラムとRocco Palladinoのベースによるリズム隊が躍動するダイナミックな演奏です。僕がUK新世代ジャズに期待する音がここにあります。
https://www.youtube.com/watch?v=qw6MY45tK6o

「Afro Cubanism」
Yussef Dayes/Miles Jamesプロデュース。タイトルからするとアフロ・キューバンですが、よりアフロ・トライバルな印象を受ける演奏です。Vennaのサックスも含めてUK新世代ジャズらしさに満ちています。
https://www.youtube.com/watch?v=1Lf9km7quAk

「Raisins Under the Sun」
Shabaka Hutchingsをフィーチャー。Yussef Dayes/Miles James/Malcom Cattoプロデュース。Shabaka HutchingsとYussef Dayesの共演となれば期待大ですよね。もっと激しい演奏をイメージしていたら、抑えたトーンのアフロ・ジャズといった雰囲気の仕上がりになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=e6JElrU_eZg

「Rust」
Tom Mischをフィーチャー。Tom Misch/Yussef Dayesプロデュース。『What Kinda Music』アゲインといった感じで2人のみで全ての演奏を手掛ける哀愁メロウ・トラック。ローファイ感覚の演奏が逆に生々しくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=YASaUI9bhQY

「Turquoise Galaxy」
Yussef Dayes/Miles Jamesプロデュース。タイトルの通り、コズミックな演奏です。特にCharlie Staceyのシンセがコズミックな雰囲気を醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=dqXvSXxa-VA

「The Light」
Bahia Dayes(vo)をフィーチャー。Yussef Dayes/Miles James/Rory Cashmere Paganプロデュース。フューチャリスティックなドリーミー感のある演奏です。子どもの無邪気な歌声がよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=h0Ik2z7uq-E

「Pon Di Plaza」
Chronixx(vo、g、b)をフィーチャー。Yussef Dayes/Miles Jamesプロデュース。もっとルーツ・レゲエをイメージしていましたが、薄らレゲエを感じるメロウ・フォーキーといった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=TAr-Rz5Jmkw

「Magnolia Symphony」
Yussef Dayesプロデュース。昨年リリースされた『Bob Marley & The Chineke! Orchestra』が話題となったChineke! Orchestraによるオーケストレーション。インタールード的なトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=zSaHDp4al3g

「Early Dayes」
Dave Dayes/Yussef Dayesプロデュース。30秒強のインタールード。子どもとドラムでお遊びといった感じでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=De4in4pskMY

「Chasing the Drum」
Yussef Dayes/Rory Cashmere Paganプロデュース。Yussef Dayesのドラムが先導するトライバル&コズミックなジャズ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=EtcIC_vgwlo

「Birds of Paradise」
Jason Delton Gray/Yussef Dayesプロデュース。派手さはありませんが、幻想的な雰囲気に引き込まれる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=bInRR5Pw98I

「Gelato」
Yussef Dayes/Miles Jamesプロデュース。アフロ・ジャズなのに、その向こうにレゲエを強く感じる不思議な演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=UKBK8naL174

「Marching Band」
Masegoをフィーチャー。Masego/Yussef Dayesプロデュース。Masegoの変幻自在なヴォーカルを活かしたメロウ・ジャズ。
https://www.youtube.com/watch?v=SbFMuvF3f7Q

「Crystal Palace Park」
Elijah Fox(key、syn)をフィーチャー。Yussef Dayesプロデュース。Elijah Foxのキーボード/シンセのみの演奏によるコズミック・ジャズ。
https://www.youtube.com/watch?v=0QdSOoFs9ZI

「Presidential」
Jahaan Sweet(vo、key)をフィーチャー。Jahaan Sweet/Yussef Dayesプロデュース。哀愁モードのサウンドがジワジワきます。
https://www.youtube.com/watch?v=gcLU2htD8M4

「Jukebox」
Yussef Dayes/Miles Jamesプロデュース。まさにジュークボックスのように始まるジャズ・グルーヴ。派手さはありませんが、ジャズらしい臨場感を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=GoQerrD6nLc

「Woman's Touch」
Jamilah Barryをフィーチャー。Yussef Dayes/ Rommeプロデュース。Jamilah Barryの透明感がありながらも何処となく儚いヴォーカルが美しく響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=SCsVhj-kODc

「Tioga Pass」
Rocco Palladino(b)をフィーチャー。Yussef Dayesプロデュース。本作では最も長尺の8分近い演奏です。Chineke! Orchestraも加わった壮大なスケールの叙情ジャズが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=zMRTVDZNVQg

「Cowrie Charms」
Leon Thomas III/Barbara Hicksをフィーチャー。Barbara Hicks/Yussef Dayes/Rory Cashmere Paganプロデュース。Leon Thomas IIIは、あのヨーデル唱法の男性ジャズ・シンガーLeon Thomasではありません。ラストはさり気ないですが、かなり凝ったジャズ・ワールドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=XC7qsI5wtj4

Yussef Dayesの他作品もチャックを!

Yussef Kamaal『Black Focus』(2016年)
Black Focus [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW157)

Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』(2020年)
posted by ez at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする