2008年06月26日

Miles Davis『Filles De Kilimanjaro』

Chick Corea、Dave Hollandを迎えたエレクトリック化第2弾☆Miles Davis『Filles De Kilimanjaro』
キリマンジャロの娘
録音年:1968年
ez的ジャンル:エレクトリック・マイルス過渡期
気分は... :決して侮れない...

テニスのウィンブルドン選手権女子シングルス2回戦「イバノビッチ対デシー」は素晴らしい試合でしたね。第1シードのイバノビッチを追い詰めたデシーの大健闘に拍手を送りたいですね。また、絶体絶命のピンチから見事盛り返したイバノビッチの精神力にも感服です。

本ブログ最多登場のMiles Davisです。

これまで紹介してきたのはMiles作品は以下の9枚(録音年順)♪
 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)

10枚目のMiles作品としてセレクトしたのは『Filles De Kilimanjaro』(1968年)です。

『Kind of Blue』『Sketches of Spain』『Bitches Brew』といった名盤を後回しにしているあたりが僕らしいかもしれません。お楽しみはまだまだ先ということで(笑)

さて、『Filles De Kilimanjaro』ですが、エレクトリック・マイルスが大爆発する『Bitches Brew』(1969年)へ向かい助走するMilesって感じの作品ですね。

1作前の『Miles In The Sky』(1968年)でHerbie Hancockがエレピをプレイし、エレクトリック・マイルス時代に突入します。結果として、Herbie Hancock(p)、Wayne Shorter(ts,ss)、Ron Carter(b)、Tony Williams(ds)という第2期クインテットは終焉を迎えました。本作はその過程が垣間見られる1枚です。

本作のメンバーは、Miles Davis(tp)、Wayne Shorter(ts)、Herbie Hancock(el-p)、Chick Corea(el-p、p) 、Ron Carter(el-b) 、Dave Holland(b)、Tony Williams(ds)。第2期クインテットにChick Corea、Dave Hollandという白人ミュージシャン2人が加わったかたちです。ChickとHollandの2人はその後エレクトリック・マイルスに欠かせないメンバーとして存在感を増していくことになります。

過渡期の作品故、"迷いがまだある"、"中途半端"等々決して評判の良いアルバムではないようですが、僕は結構楽しく聴いています。まだ手馴れてはないけど、逆に新たなアプローチを試している手探り感に惹かれますね。

まずは 『In A Silent Way』(1969年)、『Bitches Brew』(1969年)を聴くべきだと思いますが、それらの作品を聴いた後に『Miles In The Sky』、本作『Filles De Kilimanjaro』を聴くと楽しめると思います。

決して侮れない1枚だと思います。

全曲紹介しときヤス。

「Frelon Brun (Brown Hornet)」
アルバムのハイライトとなるChick、Holland加入のオープニング。この曲のHollandのベースを聴くと、Milesのベクトルがどちらに向いていたのかがわかりますね。でも、この曲の主役はTony Williamsのドラムだと個人的には思いマス。Shorterのサックスもなかなかいいですな。Chickのチープなエレピはご愛嬌ということで(笑)

「Tout de Suite」
黄金クインテットによる演奏ですが、ピアノとベースが電子化しており、黄金クインテットとエレクトリック・マイルスが混沌としているカンジが逆に面白いですね。

「Petits Machins (Little Stuff)」
黄金クインテットによる演奏の3曲の中では一番好きなのがコレ。出だしがカッチョ良いですよね。この完成度の高さはGil Evansの手腕に拠るところが大きいみたいですね。Herbieのエレピの音色がアクセントになっていますが、僕的にはTony Williamsのドラムに耳が奪われてしまいます。

「Filles de Kilmanjaro」
タイトル曲はキリマンジャロ・コーヒーの香りがしてくるエキゾチックな仕上がりです。不思議な魅力も持った演奏に12分があっという間に終わってしまいます。ユニゾン、ソロとMiles & Shorterの世界を堪能しましょう!本作を最後にグループを離れるRon Carterのel-bもなかなか頑張っています!

「Mademoiselle Marby (Miss Marby)」
Chick、Holland加入の演奏です。タイトルは本作のレコーディング中に結婚したBetty O. Mabry Davis(ソウル・ファンにお馴染みのアノBetty Davisです)に因んだもの。ジャケに写っている女性もBetty Davisデス。マッタリしているのに、張り詰めた空気が漲っています。エレクトリック・マイルスの流れ云々に関係なく、この独特の雰囲気は絶品ですね。僕はこの1曲だけでも大満足です!

さぁサッカーEuro2008は「ドイツ対トルコ」の準決勝!
ドイツの圧倒的優位だと思いますが、トルコの粘りに期待しましょう!
posted by ez at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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