発表年:1967年
ez的ジャンル:クラシック系ボサノヴァ
気分は... :今日はブラジル・モードで!
今日はブラジルものが聴きたい気分...
本当はLennie DaleとSambalanco Trioによる熱いジャズ・サンバ作品『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』(1965年)を取り上げようと思ったのですが、Amazonに画像が無かったので、急遽Tamba 4『We And The Sea』へ変更しました。
ということでTamba 4『We And The Sea』(1967年)です。
ブラジル音楽ファンにはお馴染みの人気作ですね。
Tamba 4(Tamba Trio)は、ジャズ・サンバ/ボサノヴァ最高のコンボとも称されたグループ。リオ出身のリーダー/ピアニストのLuiz Eca(1936-1992年)は、ウィーンでクラシックを学び、帰国後Robert Menescalのグループに参加します。1959年、Menescalと共にサンバ歌謡の女王Maysaのツアーのバックメンバーを務めます。この時のメンバーであったBebeto(b)、Helcio Milito(ds)と共にTamba Trioを結成します。
1962年には、デビュー作『Tamba Trio』をリリースし、初のアメリカでツアーも行っています。1965年頃にはドラムがHelcio MilitoからOharaへ交代し、その後新たにギターのDorioも加わります。こうして4人編成のTamba 4が誕生しました。
本作『We And The Sea』(1967年)は、Tamba 4としての1stアルバムであると同時に、アメリカ・デビュー・アルバムであり、Creed TaylorプロデュースのCTI第1弾アルバムです。
1967年のCTIのボサノヴァ作品といえば、本ブログでも紹介したAntonio Carlos Jobim『Wave』が有名ですが、『Wave』のようなイージーリスニング的な作りにはなっていません。
クラシックがベースにあるLuiz Ecaらしく、ボサノヴァにクラシック的要素を取り入れているのが特徴ですね。あとはBebetoのフルートもかなり印象的だと思います。また、「O Morro (The Hill)」や「Consolacao (Consolation)」 あたりはかなり実験的な演奏を聴くことができます。
初めて聴くと地味に聴こえるかもしれませんが、聴き込むほどにジワジワと魅力が伝わってくる作品です。
親しみやすく、オシャレなボサノヴァも良いですが、知的なボサノヴァも魅力的ですよ!
全曲紹介しときやす。
「O Morro (The Hill)」
「オ・モロ」というタイトルですが世界のナベアツではありません(当たり前ですな)。Antonio Carlos Jobim作品をLuiz Ecaらしいクラシカルなテイストで聴かせてくれます。Tamba 4の奥深さを見せつけてくれるオープニング曲です。
「Moca Flor (Flower Girl)」
Durval Ferreira作品。Bebetoのサウダージ感たっぷりのヴォーカルがいいですね。Luiz Ecaのピアノもグッド!
「Iemanja」
本作ではBaden Powell作品が3曲カヴァーされていますがその1曲目。タイトルにあるIemanjaとは海の女神のことらしいです。まさに女神の祈りといった趣きの演奏がジンワリと胸に響きます。
「Nos e O Mar (We and the Sea)」
タイトル曲はRobert Menescal作品。聴きやすさではアルバム中一番でしょうね。Bebetoの涼しげなフルートが印象的です。
「Canto de Ossanha (Chant of Ossanha)」
Baden Powellのカヴァー2曲目。先のIemanjaが海の女神ならば、今度のOssanhaは動植物の神とのこと。コンガも加わり、僕好みのボッサ・チューンに仕上がっています。
「Dolphin」
Luiz Ecaのオリジナル。美しきボサノヴァを堪能できる仕上がりです。
「Consolacao (Consolation)」
Baden Powellのカヴァー3曲目。クラシック、ジャズ、ボサノヴァが融合したエキサイティングでダイナミックな演奏を聴かせてくれます。
今、この記事を書いていたら、TVで1996年のアトランタ五輪男子サッカーで日本がブラジルを破った"マイアミの奇跡" の特集番組を放送していました。やはり、今日はブラジル・モードの日なんですな。