録音年:1966年
ez的ジャンル:脱ファンキー・ジャズ
気分は... :このジャケのどこが悪い?
大御所ジャズ・ピアニストHorace Silverの2回目の登場です。
今回紹介する『The Jody Grind』は、前回紹介した『The Cape Verdean Blues』(1965年)に続いてレコーディングされたものです。
『The Cape Verdean Blues』のエントリーでも書いたとおり、Horace Silverは僕にとって、まだまだ未開拓のピアニストの一人です。
おそらくHorace Silverに興味を持つ音楽ファンは2つのタイプに分かれることでしょう。
1つは、『Horace Silver And The Jazz Messengers』(1954年)、『The Stylings of Silver』(1957年)、『Finger Poppin'』(1959年)、『Blowin' the Blues Away』(1959年)、『Doin' The Thing』(1961年)等"ファンキー・ジャズの伝道師"であった初期作品に興味を示すの正統派ジャズ・ファン・タイプ。
もう1つは、『Song for My Father』(1964年)、『The Cape Verdean Blues』(1965年)、『The Jody Grind』(1966年)といった60年代中期作品あたりから、『The United States of Mind, Phase I: That Healin' Feelin'』(1970年)、『The United States of Mind, Phase II: Total Response』(1970、71年)、『The United States of Mind, Phase III: All』(1972年)、『In Pursuit of the 27th Man』(1972年)、『Silver 'n Percussion』(1977年)等宗教色の強いスピリチュアルな方向へ大幅な方向転換を図った70年代の諸作に興味を示すクラブ・ジャズ好きタイプ。
正統派ジャズ・ファンからは"低迷期"と酷評される70年代作品が、クラブ・ジャズ世代から支持されているというのが面白いですね。時代が変われば、価値観も変わる...当たり前のことですが。
僕の興味も後者で、60年代半ば以降の中期作品はある程度揃ってきたので、これからは70年代作品のコレクションに触手を伸ばしたいと思っています。
今回紹介する『The Jody Grind』ですが、前作『The Cape Verdean Blues』同様、クラブ・ジャズ好きの方も納得の仕上がりです。
ジャケを云々と言う人もいるようですが、僕的には"このジャケのどこが悪いの?"って気がします。
メンバーはHorace Silver(p)以下、Woody Shaw(tp)、Tyrone Washington(ts)、James Spaulding(as、fl)、Larry Ridley(b)、Roger Humphries(ds)というセクステットです。ただし、「The Jody Grind」、「Mexican Hip Dance」、「Dimples」の3曲はJames Spauldingが抜けたクインテット編成です。
前作『The Cape Verdean Blues』でのWoody Shaw、Joe Henderson、J.J. Johnsonという強力な三管よりは多少魅力が落ちますが、それでもWoody Shaw、Tyrone Washingtonらのハツラツとしたプレイには惹かれると思いマス。
『The Cape Verdean Blues』同様に、今時のジャズの楽しみ方を堪能できる作品です。
ジャケ同様に内容もヒップですよ!
全曲紹介しときやす。
「The Jody Grind」
タイトル曲は、ファンキーなジャズ・ロック。エキゾチックなSilverのピアノ、それに絡むWoody Shaw、Tyrone Washingtonの二管もいい感じ。
「Mary Lou」
クラブ・ジャズ好きの人にとっては、「Mexican Hip Dance」と並ぶ目玉ですね。James Spauldingのフルートがモーダルな雰囲気を盛り上げてくれマス。
「Mexican Hip Dance」
個人的には本作のハイライト。クラブ・ジャズ好きの人は気に入る演奏だと思います。タイトルの通り、マリアッチ風のヒップな仕上がりですね。 Silverのピアノ・ソロが小粋でグッドですな。
「Blue Silver」
ブルージーで落ち着いた演奏で一休みといった感じです。
「Grease Piece」
「Mexican Hip Dance」と並ぶ僕のお気に入り。三菅のエキサイティングなプレイを堪能できる疾走感に充ちたモーダル・チューンです。特にWoody Shawがカッチョ良いですな。
「Dimples」
余裕たっぷりの演奏がいいですね。聴けば聴くほど引き込まれる感じです。
それにしてもジャズ・アーティストはリリース枚数が多いから、コレクションに着手すると経済的に困窮してしまいますね(泣)
僕は1968年「Serenade to a Soul Sister」までは何の違和感もなく聴いてて、逆に70年代以降のアルバムは全然聴いてなかったなぁ。なぜならば、レコード(CD)売ってなかったような・・(笑)。今はあるようですが。
まぁいずれにしろHorace御大にはまだまだ現役でいてもらいたいっすね?
ありがとうございます。
> 逆に70年代以降のアルバムは全然聴いてなかったなぁ。
僕の場合もそうです。
「Horace Silver=ファンキー・ジャズ」のイメージから入ってしまったので。
なので、全く未開拓の70年代作品に興味があるんですよね。
自分でも最近自覚してきたのですが、結構スピリチュアル系好きみたいなので(笑)
今年の9月で御大も80歳ですね。
生きる伝説として長生きして欲しいですね。