録音年:1957年
ez的ジャンル:ピアノレストリオ・Jazzライブ
気分は... :久々の50年代作品ですっ!
今年に入って50年代カテゴリーの記事を1回しか投稿していないことに気づき、慌てて50年代の作品をピックアップ。
ということでSonny Rollins『A Night At The Village Vanguard, Vol. 1』(1957年)です。
テナー・サックスの巨人Sonny Rollinsは、『Sonny Rollins Vol.2』(1957年)、『Saxophone Colossus』(1956年)に続き3回目の登場となります。
本作『A Night At The Village Vanguard, Vol. 1』はSonny Rollinsの初ライブ録音であった同時に、 N.Y.の名門クラブVillage Vanguardでの初ライブ録音でもあり、二重の意味で歴史的なライブ録音と言える作品ですね。
ライブが行われたのは1957年11月3日。昼と夜の2回セッションがあり、昼はSonny Rollins(ts)、Donald Bayiley(b)、Pete La Roca(ds)、夜はSonny Rollins(ts)、Wilbur Ware(b)、Elvin Jones(ds)というピアノレス・メンバーでした。
昼・夜のセッションで全16曲が演奏されました。今日紹介する『A Night At The Village Vanguard, Vol. 1』には、昼の2曲、夜の5曲の計7曲が収録されています。残りの9曲は『A Night At The Village Vanguard, Vol. 2』に収録されています。
A Night at the Village Vanguard, Vol. 2
昔はVol. 1〜Vol. 3までの3枚セットでした。そちらの内容と上記の2枚は収録曲は同じですが曲順等は異なります。コアなファンの方であれば、そのあたりの詳細もご存知なのでしょうが、勉強不足の僕はそこまではわかりません。ゴメンなさい。
『Way Out West 』(1957年)で初めてピアノレス・トリオに挑み、傑作の評価を得たRollinsでしたが、本作でもピアノレス・トリオでライブに臨み、それまでジャズ・シーンで馴染みの薄かったピアノレス・トリオというスタイルを大きく印象づけました。確かにRollinsの奔放なサックスを堪能するのにピアノレス・トリオというスタイルはハマっている気がします。
とにかくテンションの高さが魅力のアルバムですよね。
演奏は、Rollinsとドラマー、べーシストのバトルであり、聴衆はその激闘に固唾を呑む、といったカンジです。一般にはWilbur Ware、Elvin Jonesとの夜の部へ注目が集まりますが、Donald Bayiley、Pete La Rocaとの昼の部もなかなかエキサイティングだと思います。
稀代のインプロヴァイザーSonny Rollinsのサックスにゾクゾクしましょう!
全曲紹介しときヤス。
「A Night in Tunisia(Afternoon Take)」
「A Night in Tunisia(Evening Take)」
Dizzy Gillespieの名曲「チュニジアの夜」は昼・夜の2テイクが収録されています。聴き比べてみると楽しいですね。コアなジャズ・ファンの方は、夜の部のRollinsとElvinによる緊張感のある演奏に惹かれるのでしょうが、永遠のジャズ初心者の僕としては昼の部のLa Rokaのソロがエラく格好良く聴こえます。
「I've Got You Under My Skin」
1936年のミュージカル映画『Born to dance』のために作られたCole Porter作品。これは昼の部の演奏です。ここでもBayileyとLa Rocaのリズム・セクションのノリの良さが、Rollinsの豪快なプレイを盛り上げてくれます。もしかしたら、アルバムで一番好きな演奏かも?
「Softly, As in a Morning Sunrise」
ここからの4曲は夜の部の演奏です。本曲はOscar HammersteinU作詞、Sigmund Ronberg作曲のスタンダード(ミュージカル『New Moon』の挿入歌)。以前にWynton Kellyの演奏を紹介したことがありますね。ここではRollinsのテナー、Wilbur Wareのベース、Elvinのドラムと各人のソロを堪能できます。朝日という真夜中の雰囲気が漂う演奏です(笑)
「Four」
Miles Davis作品(Eddie "Cleanhead" Vinson作品の説もアリ)。ピアノレス・トリオのカッチョ良さをわかりやすく実感できる演奏だと思います。
「Woody 'N You」
Dizzy GillespieがWoody Hermanに捧げた曲。Rollinsの独特のフレージングを堪能できる演奏なのでは?
「Old Devil Moon」
1947年のミュージカル『Finia's rainbow』挿入歌(E.Y. Harburg/Burton Lane作品)。軽やかな出だしから徐々にRollinsとElvinの一騎打ちといった様相になってきます。演奏が進むにつれてElvinのテンションが上がってくる感じがいいですね。ただし、最後は少しあっけない気もします。
このジャケを見るたび、写っているのが黒澤明監督に見えて仕方ありません。
これって僕だけでしょうか?
このヴィレッジ・ヴァンガードのライヴは、精気みなぎるというか、渾身のライヴというか、引き込まれます。
哲学的な模索をする以前の、「裸のソニー」という感じのライヴではないでしょうか。
ありがとうございます。
> 精気みなぎるというか、渾身のライヴというか、引き込まれます。
ピアノレス・トリオの編成が各プレイヤーの緊張感を高め、
鬼気迫る演奏を生み出したのかもしれませんね!