発表年:1966年
ez的ジャンル:脱キンキー・サウンド系UKロック
気分は... :良薬は口に苦し...
今日はマッタリ気分...少し苦味のある音が聴きたい
The Kinksの4回目の登場です。
『Something Else』(1967年)、『The Village Green Preservation Society』(1968年)、『The Kink Kontroversy』(1966年)に続いて紹介するのは、『Face To Face』(1966年)です。
本作『Face To Face』は、Kinksが初めてトータルなアルバム作りに挑戦したアルバムです。結果として、Ray Daviesが意図したようなコンセプト・アルバムは実現しませんでしたが、Kinksはキンキー・サウンドを卒業して新しいステージへ突入しました。
個人的には、本作『Face To Face』(1966年)から『Something Else』(1967年)、『The Village Green Preservation Society』(1968年)あたりがKinksの音楽的な絶頂期だと思っています。
サウンド的には、フォーキーなアコースティック・サウンドが増えています。曇ったロンドンの空のような憂鬱モードのサウンドは、シニカルなKinksワールドにピッタリという感じですね。
本作ではRay Davies、Dave Davies、Pete Quaife、Mick Avoryという4人のオリジナル・メンバーのうち、ベースのPete Quaifeが交通事故のため一時的に脱退扱いになり、代わりにJohn Daltonが参加しています(一部の録音はPete Quaifeが参加)。また、キーボードでお馴染みのNicky Hopkinsが参加し、さらに数曲でRay Daviesの奥方Rasaがバック・ヴォーカルを務めています。
グッと幅の広がったKinksサウンドを堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Party Line」
電話ベルのSEと共に始まるロック・チューン。この曲ではDave Daviesがリード・ヴォーカルをとっています。全体的にBeatlesっぽい雰囲気の仕上がりですね。
「Rosie Won't You Please Come Home」
メランコリックなアコースティック・チューン。英国らしさがプンプンするRay Daviesのヒネリの効いたメロディとハープシコードの音色が実にマッチしています。
「Dandy」
フォーキー・ロック・チューン。一歩間違えるとイモ臭くなってしまう曲調ですが、寸止めでそれを食い止めているのがKinksらしいところですな。モテ男Dandyを皮肉った歌詞は実にRay Daviesらしいのでは?Herman's Hermitsがカヴァーし、全米ポップ・チャート第5位のヒットを記録しています。
「Too Much on My Mind」
この曲大好き!美しくしも、憂鬱なメロディ&ヴォーカルがいいですね。アコースティック・ギターとハープシコードによるアレンジもグッド!
「Session Man」
まさに初期Kinksの"Session Man"であったキーボードのNicky Hopkinsに捧げられた1曲。そのNicky Hopkinsのハープシコードをフィーチャーしています。なかなかキャッチーな仕上がりです。セッション・マンのプロ意識と悲哀(?)が歌われています。
「Rainy Day in June」
雷鳴のSEが使われています。ダークな雰囲気が漂う仕上がり。このあたりはコンセプト・アルバムを意識して用意した曲なのでしょうね。
「House in the Country」
小気味良いロック・チューン。Rolling Stonesっぽい感じですね。ファンキーなNicky Hopkinsのピアノが効いています。やはり彼はハープシコードより、ピアノを弾いているのがいいのでは?後にPretty Thingsがカヴァーしています。
「Holiday in Waikiki」
アルバムの中でも異色の作品。タイトル通り、ハワイアン・フレイヴァーのロック・チューン。懸賞で当ったハワイ旅行の主人公の様子を皮肉たっぷりに描いています。思わず苦笑してしまう仕上がりです(笑)
「Most Exclusive Residence for Sale」
♪パァ、パァ、パァ〜♪のコーラスばかりが耳に残るメランコリック・チューン。労働者階級の目線を通じて、"最高級住宅"が売り出されている背景をシニカルに歌っています。
「Fancy」
この曲ではラーガ・ロックしていますね。Ray Daviesの作るメランコリックなメロディとインド・テイストは意外にマッチする気がします。
「Little Miss Queen of Darkness」
この曲はかなり好き!ジャズ調の小粋なアコースティック・チューンに仕上がっています。このセンスは良さには驚かされまね。
「You're Lookin' Fine」
この曲ではDave Daviesがリード・ヴォーカルです。ブルースのようでブルースではない(?)、何か不思議な感触の仕上がりですっ!
「Sunny Afternoon」
本作のハイライトと言えば、この曲でしょうね。シングルとして全英チャートNo.1に輝いたグループの代表曲です。ロンドンの曇り空のような、憂鬱で気だるい雰囲気を持ったKinksらしい名曲ですね。
よく言われるように「およげ!たいやきくん」は本曲にそっくりですね。
「Sunny Afternoon」
http://jp.youtube.com/watch?v=1h1oRP7FfBw
「およげ!たいやきくん」
http://jp.youtube.com/watch?v=Mqm89KdJ9DM
「I'll Remember」
キャッチーでポップなビート・ロック。Beatles「If I Needed Someone」に雰囲気が似ていますな。
オリジナルは「I'll Remember」までですが、CDにはボーナス・トラックが7曲追加されています。シングル・ヒット(全英チャート第5位)した「Dead End Street」の追加が嬉しいですね。
私もコレ、大好きなんですよ。キンクスの中でもBEST3に入るだろうなぁ。言われるように『Face To Face』『Something Else』『The Village Green Preservation Society』あたりが絶頂期だと私も思っています。70年代に入っても確かに良いんだけど、やはり60年代の瑞々しさは失われている感じかなぁ。。。
ありがとうございます。
この時期のKinksはいいですよね!
当時はこの新機軸がなかなか理解されない部分もあったようですが、
今聴くと同時代の他グループには無いKinksらしさに溢れていますよね。
このシニカルな視点はUKロックの伝統として今も受け継がれているのでは?
改めて聴くと愛しい曲ばかりなので、なかなか特にコレというのが挙げられないのですが、B面に好きな曲が多いです。
僕もこのアルバム〜ヴィレッジ・グリーンが絶頂期だと思います。
ありがとうございます。
Kinksの持つフォーキー・テイストは、これから梅雨の時期に聴くと実にマッチしますよね。この時期のKinks作品は一曲一曲というよりもアルバム全体の雰囲気にグッときます。
いたち野郎さんの深い分析を読んでから聴き直すと、新たな発見がありそうです。
これからもお気軽にお立ち寄り下さい。