発表年:1981年
ez的ジャンル:ラティーナ系コンテンポラリーR&B
気分は... :このジャケの変貌ぶりは???!
今日は70年代〜80年代にR&Bシーンで活躍したラティーナ・シンガー Angela Bofill の紹介です。
Angela Bofill は1954年N.Y.生まれの女性シンガー。父はフランス系キューバ人、母親はプエリトリカンというラティーナです。Wikiを見ていたら、Angela Bofillのことを"R&Bマーケットで成功した最初のラティーナ・ミュージシャン"と紹介されていました。へぇ〜って感じでしたね。
1978年フルート奏者Dave Valentinの仲介で、活動を開始したばかりの名門フュージョン・レーベルGRPとの契約に成功します。そして、レーベルの総帥Larry Rosen & Dave Grusinのプロデュースにより、デビュー・アルバム 『Angie』 (1978年)、2ndアルバム 『Angel of the Night』 (1979年)をリリースしました。Larry Rosen & Dave GrusinにとってAngela Bofillは"第二のPatti Austin"のような存在だったのでしょうね。
それらのアルバムからは 「This Time I'll Be Sweeter」 (全米R&Bチャート第23位)、 「What I Wouldn't Do (For The Love Of You)」 (全米R&Bチャート第18位)、 「Angel of the Night」 (全米R&Bチャート第67位)といったR&Bでのチャート・アクションがありました。
その後Aristaへ移籍し、『Something About You』(1981年)、『Too Tough』(1983年)などのアルバムをリリースしました。
今日紹介する『Something About You』(1981年)はArista移籍第一弾アルバムとなります。当時のAristaはAretha FranklinやDionne Warwickが在籍し、BuddahからPhyllis Hymanを引き抜きといった具合に女性シンガーを相当プッシュしていた時期みたいですね。
ジャズ/フュージョン系レーベルGRPからAristaへの移籍は、Angela BofillにとってもR&B/Soulシンガーとして飛躍する絶好のチャンスだったのかもしれません。
ジャケの雰囲気からして、GRP時代から相当若返った感じで気合い入っていますよね。この変貌ぶりは何なのでしょうか(笑)
プロデュース&アレンジは Narada Michael Walden 。当時はStacy Lattisaw等を手掛けていたものの、まだプロデューサーとしての知名度は高くなかったはずだと思います。本ブログでも紹介したように、かつてはMahavishnu Orchestra等フュージョン畑で活躍し、その後R&B/Soulマーケットで活躍するようになったNaradaの起用は、同じくジャズ・フュージョン路線からポップ・ソウル路線へ軌道修正を図っていたAngelaにとっては適任だったのでは?
参加ミュージシャンはNaradaのバンド・メンバーを中心に、Tower of Power、Earl Klugh、Patrick Cowley、Andy Narell、Scherrie Payne、Jim Gilstrap等のゲストが参加しています。
GRP時代のクロスオーヴァーの雰囲気も残しつつ、ポップ・ソウル路線を強く意識した仕上がりになっています。彼女のルーツであるラテン・フレイヴァーが効いている楽曲がちゃんと用意されているのも嬉しいですね。
全曲紹介しときやす。
「Something About You」
ハイライト曲その1。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第21位となりました。Cheryl Lynn「Got To Be Real」系のご機嫌なスウェイ・ビートです。本曲のオリジナルはBobbi Walkerのデビュー・アルバム『Diamond In The Rough』(1980年)に収録されています。
「Break It to Me Gently」
スケールの大きい感動的なラブ・バラード(Doug Frank/Doug James作品)。同じくNaradaがプロデュースしたデビュー当時のWhitney Houstonを思い出します。しみじみとしたエンディングがいいですね。
「On and On」
ハイライト曲その2。シングル曲ではありませんが、この曲が一番好き!という人は案外多いのでは?甘く切ない胸キュンのスロウです。80年代ソウルらしい込み上げ感がいいですねぇ。Tower of Powerのホーン隊も盛り上げてくれます。「Love On A Summer Night」でお馴染みThe McCrarysのメンバーLinda McCrary/Alfred McCraryの作品です。McCrarys自身のヴァージョンもあるようですが未聴です。
「Tropical Love」
タイトル通りトロピカルなメロウ・チューン。涼しげなフルートにスティール・ドラムが絡んでくるサウンドは思い切り夏モードですが、ロマンティックな仕上がりにうっとりです。
「You Should Know by Now」
Earl Klugh作品。彼自身のギターをバックに、Angelaがしっとりと歌い上げるロマンティックなラブ・ソングです。Angelaは大のEarl Klughのファンだったらしいですね。夢の共演実現といったところでしょうか。
「Only Love」
ハイライト曲その3。フリーソウル・クラシックとしてお馴染みですね(『Free Soul Impressions』収録)。この曲でAngela Bofillと出会った方も多いのでは?Angela自身がソングライティングも手掛けています。ラテン・フレイヴァーの効いたメロウ・グルーヴにのって、Angelaのキュートのヴォーカルを堪能できます。個人的にはこの曲のようにラティーナらしい魅力が引き出された曲に惹かれます。
「Holdin' Out for Love」
Tom Snow/Cynthia Weil作品。Angela以外にもCher(アルバム『Prisoner』収録)、Dan Seals(アルバム『Stones』収録)、Pointer Sisters(シングル「Slow Hand」のB面)のヴァージョンで愛聴されている方もいるかもしれませんね。Angelaヴァージョンは可愛くキュートな仕上がりです。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第26位となりました。
「Stop Look Listen」
Stylistics1971年のヒット曲カヴァー(Thom Bell、Linda Creed作品)。ポップ・ソウル路線を印象付けるためには有名曲カヴァーが必要だったのでしょうね。
「I Do Love You」
Narada Michael Walden作品。ラテン・フレイヴァーの効いたポップ・ソウルに仕上がっています。
「Three Blind Mice」
「Time to Say Goodbye」
インタールード「Three Blind Mice」に続き、感動的なエンディング「Time to Say Goodbye」です。Angela自身のペンによるオリジナル曲です。
CDにはボーナス・トラックとして、「Never Wanna Be Without Your Love」 、「Esperando Al Amor」 、「Love Light」 、「Rhythm of Your Mind」 の4曲が追加されています。
「Never Wanna Be Without Your Love」はNarada Michael Walden のアルバム『Looking at You, Looking at Me』 (1983年)に収録されている曲のデモ・ヴァージョンです。「Esperando Al Amor」は「Holdin' Out for Love」のスペイン語ヴァージョンです。
確かに、移籍してさらなる才能が発揮されてますよね。ジャケもあの豹変ぶり(笑
名盤太鼓判!
でもほんと毎回、ためになるレビューで勉強になります。ちらほらこちらのブログネタにパクるかもしれませんが許してください(汗
ありがとうございます。
"フリーソウル"という言葉に拒否反応を示す方もいらっしゃるようですが、 僕もフリーソウルのコンピは音楽の視野を広げるという意味でとても影響を受けました。
> こちらのブログネタにパクるかもしれませんが許してください
パクるという表現は好きではありませんので、 2次活用と解釈しておきます(笑)