2008年11月09日

Massive Attack『Blue Lines』

その後のUK音楽シーンの流れを変えたデビュー作☆ Massive Attack『Blue Lines』
Blue Lines
発表年:1991年
ez的ジャンル:ワイルド・パンチ系トリップ・ホップ
気分は... :陰鬱なメランコリック・ワールドがクセになる...

今日はMassive Attack の衝撃のデビュー・アルバム『Blue Lines』(1991年)です。

Massive Attack の紹介は2ndアルバム『Protection』(1994年)に続き2回目になります。

音楽シーン全体の大きな転換期となった90年代前半は各ジャンルでインパクトの大きな作品が続々とリリースされましたが、本作『Blue Lines』もUK音楽シーンに多大な影響を与えた1枚ですね。

伝説のDJ/サウンド・システム・ユニット Wild Bunch のメンバーでもあった 3D (Robert Del Naja)、 Daddy G (Grantley Marshall)、 Mushroom (Andrew Vowles)が生み出した、"トリップ・ホップ "と呼ばれるトリップ感覚とダウナー感覚を持つブリストル発のクラブ・ミュージックはかなりのインパクトがありましたね。

ブリストルのジャマイカ移民文化に根付いたダブ/レゲエ、ブリストルの先輩The Pop Group譲りの実験的・前衛的なアブストラクト・サウンド、時代の閉塞感を反映したメランコリックなダーク・ソウルをベースにテクノ、ロック、ジャズ等さまざまな音楽要素を取り入れたハイブリッド感は、この時代、この地( ブリストル )でしか生まれ得ない音だったのかもしれませんね。

最初は陰鬱なメランコリック・サウンドに戸惑いを覚えましたが、繰り返し聴いているうちにダウナー感覚に違和感がなくなり、ハマっていった感じでした。自分でもこうしたダークな音に魅了されるのは不思議な気分でしたね。

そうしたMassive Attackの魅力を最も純度が高い状態で堪能できるのがデビュー・アルバム『Blue Lines』だと思います。当時は2nd『Protection』(1994年)の方が好きだったのですが、今聴き直すとやはりこの1stのインパクトは凄いなぁという気がします。

本作ではShara Nelson、Tricky、Horace Andy、Tony Bryanといったヴォーカリスト/ラッパーを迎えています。この後Massive Attackに続きブレイクすることになる Tricky の名が目立ちますが、本作では Shara Nelson の存在感が抜群ですね。

衝撃のブリストル・サウンドは今聴いても聴き応え充分!

全曲紹介しときやす。

「Safe From Harm」
インパクト十分の地を這うようなオープニング。シングル・カットもされました。Shara NelsonのメランコリックなヴォーカルとTrickyの虚しいラップが独特の雰囲気を醸し出します。Billy Cobham「Stratus」をサンプリング。

「One Love」
Horace Andyのヴォーカルをフィーチャー。ブリストル・サウンドらしい退廃的なムードに包まれたダウナー感覚に充ちています。Horace Andyのクセのあるヴォーカルがいいですね。

「Blue Lines」
タイトル曲はクールなHip-Hopチューン。テンションの低さが逆にトリップ感覚を高めてくれます。

「Be Thankful For What You've Got」
William DeVaughnによるソウル・クラシックのカヴァー。Tony Bryanのヴォーカルをフィーチャー。オリジナルのメロウな味わいを残しつつ、UKらしいクラブ・サウンドに仕上がっています。今聴いてもかなり心地好いグルーヴですね。

「Five Man Army」
ダブ/レゲエ色が強い仕上がり。この頃のUKクラブ・ミュージックはかなりダブ/レゲエの影響が強かったですよね。

「Unfinished Sympathy」
Shara Nelsonをフィーチャーした美しき名曲。当時シングル・カットもされたこの壮大なグルーヴにヤラれた方も多かったのでは?重厚なストリングスをバックに、Shara Nelsonがメランコリックかつエモーショナルなヴォーカルを披露してくれます。聴き終わった後に背筋がゾクゾクしてきます。

「Daydreaming」
アルバムに先立ちシングル・カットされていた曲。Shara Nelsonのヴォーカルをフィーチャー。Wally Badarou「Mambo」をサンプリングしたアンビエントな雰囲気がいいですね。脱力しまくりの囁きラップもグッド!

「Lately」
Shara Nelsonのヴォーカルをフィーチャー。淡々とした無機質なトラックとソウルフルなShara Nelsonのヴォーカルとの対比がいい感じですね。

「Hymn Of The Big Wheel」
Horace Andyのヴォーカルをフィーチャー。ブリストル・サウンドらしい独特の音空間を楽しめます。暗闇の中に一筋の光明が差すような高揚感が湧いてきますね。

この後、PortisheadTrickyも続き、我々はトリップ・ホップの世界へ引きずり込まれることになります。そう言えば、Trickyはまだ未紹介ですね。そのうち取り上げたいと思います。
posted by ez at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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