2008年12月12日

The Foreign Exchange『Leave It All Behind』

Hip-Hopの次なる可能性を示してくれたアングラ作品☆The Foreign Exchange『Leave It All Behind』
Leave It All Behind
発表年:2008年
ez的ジャンル:ネクストレベル・アングラHip-Hop
気分は... :立ち止まるな!突き進め!

今日はアングラHip-Hopの注目新作The Foreign Exchange『Leave It All Behind』です。

The Foreign Exchangeは、オランダ出身のトラックメイカーNicolayとアメリカ・ノースカロライナ出身のHip-HopグループLittle BrotherのMCであるPhonteの二人から成るユニット。

Nicolayについては、今年前半にテキサス州ヒューストン出身のMC/プロデューサーKay(Kay Jackson)とのユニットNicolay & Kayのアルバム『Time:Line』を当ブログでも紹介しました。

また、ソロ名義でもミックステープ・アルバム『The Dutch Masters, Vol. 1 Mix Tape』(2005年)、全編インストの『City Lights, Vol. 1.5』(2005年)、MCやヴォーカルが加わった『Here』(2006年)といったアルバムをリリースしています。

PhonteLittle Brotherとして、『The Listening』(2003年)、『The Minstrel Show』(2005年)、『Get Back』(2007年)、『...and Justus for All』(2008年)といったアルバムをリリースしています。

当ブログで最近紹介したJazzanovaの新作『Of All The Things』でも2曲でPhonteがフィーチャーされていましたね。

今日紹介する『Leave It All Behind』は、『Connected』(2004年)に続く2ndアルバムとなります。

『Connected』は、ソウルフルでジャジーで美しく気持ちの良いアングラHip-Hopファン大絶賛の1枚でしたね。本作『Leave It All Behind』では更に進化し、Nicolayの創り出すトラックはもはやHip-Hopの領域には収まりきらず、Phonteに至っては殆どラップせずに歌いまくっています。

Hip-Hopの領域には収まりきらず、ラップせずに歌いまくるというは、3日前に紹介したKanye West『808s & Heartbreak』と共通していますよね。

メジャー作品とアンダーグラウンド作品という違いはあるにせよ、この2枚を聴くとHip-Hopの次なる可能性に触れることができるのでは?

ゲストのうち、ノースカロライナのクルーJustus League(Little Brotherも所属)に所属する男性シンガーDarien Brockington、ワシントンDC出身の女性シンガーYahZarahは前作『Connected』に続いての参加です。また、NYを拠点に活動し、今年1stアルバム『Pre.lude』をリリースしたシンガーMuhsinahも参加しています。

シンガー以外ではデトロイトで活躍するキーボード奏者Zo!、Justus Leagueの同僚Khrysis、4HeroのMarc Mac等が参加しています。

ネクストレベルのアングラHip-Hopとして聴くも良し、新感覚のR&B作品としても聴くも良しといったところでしょうか。

メジャー作品では聴けないHip-Hopの奥深さ、芸術性の高さを堪能できる作品だと思います。普段Hip-Hopを聴かない人にこそ、ぜひ聴いて欲しい1枚ですね。

全曲紹介しときやす。※Disc1のみ

「Daykeeper」
Muhsinahをヴォーカルをフィーチャー。PhonteのヴォーカルはNicolayの創り出すユラユラ揺れる浮遊感たっぷりのトラックの相性はバッチリですね。中盤でのテンポの変化も美しすぎます。モノクロな雰囲気の中にMuhsinahのヴォーカルが彩りを加えてくれます。Bobbi Humphrey「Chicago, Damn」ネタ。
http://jp.youtube.com/watch?v=FAT9ZsbIh30&feature=related

「Take Off The Blues」
Darien Brockingtonのヴォーカルをフィーチャー。この曲なんて完全にHip-Hopというよりジャジー・テイストのR&Bですな。Stan Grahamによるトランペットがジャジー感を高めてくれます。
http://jp.youtube.com/watch?v=89-4jbpPgCY&feature=related

「All Or Nothing/Coming Home To You」
この曲もDarrien Brockingtonをフィーチャー。ここでようやくPhonteの"ラップ"を聴くことができます(笑)。70年代テイストのシンセ・サウンドが魅力ですね。このアナログな感じがたまりません。
http://jp.youtube.com/watch?v=ofC3I7WZfSo&feature=related

「I Wanna Know」
ニューソウル・テイストのソウルフル・チューン。 R&Bシンガー(?)Phonteの魅力を堪能しましょう。Nicolayの創り出す人肌の温もりを感じるトラックもグッド!
http://jp.youtube.com/watch?v=AyjY9Yjmv2Q&feature=related

「House Of Cards」
Nicolay本人が最も気に入っている曲として挙げているのがコレ。本人曰く"ジェットコースターみたいな"曲だそうです。まさに2008年現在進行形の新感覚R&Bサウンドといった仕上がりですね。Nicolayの創り出す不思議な音空間に引き込まれます。
http://jp.youtube.com/watch?v=Rt1gbQ41ECk&feature=related

「Sweeter Than You」
Nicolayの天才トラックメイカーぶりが発揮されています。美しく心地好いトラックに昇天してしまいます。Chris Boernerのギターもいいアクセントになっています。
http://jp.youtube.com/watch?v=WdLSYuuX088&feature=related

「Valediction」
美しく深い哀愁感が漂ってきます。Phonteのヴォーカルって哀愁トラックにハマりますね。
http://jp.youtube.com/watch?v=Q5Uz9tf8ezc&feature=related

「If She Breaks Your Heart」
Stevie Wonderのカヴァー(オリジナルはアルバム『Jungle Fever』収録)。Phonteの亡くなった義父がいつもこの曲をプレイしていたのだとか。Zo!がプロデュースを担当し、4 HeroのMarc Macがストリングス・アレンジを手掛け、Yahzarahのヴォーカルをフィーチャーするという気合いの入った制作陣になっています。そんな思い入れもの強さも手伝ってか素晴らしいカヴァーに仕上がっています。
http://jp.youtube.com/watch?v=XxehYxBWzjk

「If This Is Love」
この曲もYahzarahのヴォーカルをフィーチャー。ブラジリアン・フレイヴァーの効いたクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。かなり僕好みです。
http://jp.youtube.com/watch?v=R7ELR-W7BKs

「Something To Behold」
Darien BrockingtonとMuhsinahをフィーチャー。ここで久々にPhonteのラップを聴くことができます。男女ヴォーカル&ラップという三者の息の合った絡みがサイコーです。僕の一番のお気に入り曲。
http://jp.youtube.com/watch?v=onxi35uiuAM&feature=related

「Leave It All Behind」
エンディング曲はさり気ないエレガントさが魅力です。
http://jp.youtube.com/watch?v=glaGq5pMFAg&feature=related

Disc2はインスト集になっています。また、国内盤にはボーナス・トラックとしてMuhsinahによる「Sweeter Than You」のリミックス、Nicolayによる「If This Is Love」のリミックスが収録されています。
posted by ez at 02:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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