発表年:1979年
ez的ジャンル:ショートストーリー系AOR
気分は... :君はピナコラーダが好き?
メリー・クリスマス!
皆さん、クリスマスをいかがお過ごしですか?
僕の場合、ビミョーに良い事、悪い事が重なり、ビミョーなクリスマスといった感じです。
ということで今日はビミョーな男女の恋模様を描いたAOR作品Rupert Holmes『Partners in Crime』(1979年)です。
Rupert Holmesは1947年生まれ。イギリス出身ですが6歳の時にN.Y.へ移っており、N.Y.のシンガー・ソングライターという見方で良いと思います。
ソロ・デビュー前のHolmesの仕事は当ブログでも紹介したThe Cuff Linksのアルバムで確認することができます。1st『Tracy』(1969年)ではアレンジ&キーボードで大きく貢献し、2nd『The Cuff Links』ではヴォーカルまで披露しています。
そして、1974年のアルバム『Widescreen』でソロ・デビューを果たします。その後『Rupert Holme』(1975年)、『Singles』(1976年)といったアルバムをリリースしますが大きな成功を収めることはありませんでした。しかし、Barbra Streisand『Lazy Afternoon』(1975年)のプロデュースを任される等その手腕は評価されていたようですね。
そんなRupert Holmesが一気にブレイクしたアルバムが本作『Partners in Crime』(1979年)です。
ヒットはしませんでしたが、前作となる4thアルバム『Pursuit of Happiness(邦題:浪漫)』(1978年)の充実ぶりを受けて、本作『Partners in Crime』のヒットにつなげたといった流れです。『Pursuit of Happiness(邦題:浪漫)』はAORファンの評価が高いアルバムですね。
さて『Partners in Crime』ですが、何と言っても「Escape(The Pina Colada Song)」 (全米第1位)、「Him」(全米第6位)という大ヒット・シングル2曲でしょうね。
僕も当時この2曲はラジオでよく聴きました。
ただし、中学生だった僕にはHolmesが描くラブ・コメディ的な世界の魅力を理解できず、単によく耳にしたという程度の印象でした。
なので、それ程気になるアーティストではなかったのですが、30歳を過ぎてようやくこの作品の持つ魅力がわかってきました。とにかく都会の男女の恋模様を軽妙に描くショート・ストーリー的な歌詞のセンスが抜群ですね。
サウンドの方も、歌詞とマッチするN.Y.らしいアーバンなAORサウンドに仕上がっています。
クリスマスにビミョーな恋模様のアルバムを聴くのも楽しいのでは(笑)
全曲紹介しときやす。
「Escape(The Pina Colada Song)」
前述のように全米シングルチャートNo.1になった代表曲。サブタイトルのPina Colada(ピナコラーダ)とはパイナップル&ココナツ&ラム酒のカクテルのことです。歌詞の中にそのピナコラーダも登場する倦怠期のカップルの逃避行を描いた歌です。
倦怠期のカップルが互いに内緒で逃避行のパートナーを探し、密会してみるとなんと彼氏と彼女だった...新たな側面を知った二人の絆は深まり、素敵な逃避行へ...といった内容です。初めて聴いた中学生の時にはピンと来ませんでしたが、今聴き直すと彼のストーリー・センスを感じます。
そんな歌詞内容に合わせるかのように、サウンドも実に軽妙かつスタイリッシュです。
http://jp.youtube.com/watch?v=QVdhZwK7cS8
「Partners in Crime」
NYらしい洗練されたグルーヴ感がカッチョ良いですね。Steely Danがお好きな方ならば気に入る仕上がりだと思います。
「Nearsighted」
タイトルの通り、"近視"をテーマにしたラブ・バラード。ロマンティックな雰囲気にグッとくる名曲だと思います。個人的にはStephen Bishop「One More Night」、「Lookin' for the Right One」あたりと一緒に聴きたいですね。
確かに、ぼやけて見える方が世の中いいのかもしれません。でも、大切な人だけは視力2.0で見ないとね(笑)
「Lunch Hour」
大忙しの昼休みのラブ・ロマンスをHolmesらしい軽妙なタッチで描いた1曲。サウンドもどことなくコミカルです。
「Drop It」
レゲエ調のリラックス・チューン。Donald Fagen「I.G.Y.」とBobby Mcferrin「Don't Worry, Be Happy」を足して2で割った雰囲気ですね。
「Him」
「Escape(The Pina Colada Song)」と並ぶ代表曲。全米シングルチャート最高第6位を記録しました。彼女の家で見つけたタバコの箱から自分の知らない男(Him)の存在知り...そんな男女の三角関係をテーマにした歌です。そのせいかサウンド&ヴォーカルも重めです(笑)男の複雑な恋心と哀愁がヴォーカル&サウンドで見事に表現されていますね。リアルタイムで聴いた時よりも今の方がグッときます。
http://jp.youtube.com/watch?v=tUygQh0iaf8&feature=related
「Answering Machine」
「Nearsighted」と並ぶ僕のお気に入り曲。留守番電話で彼女に愛の告白をするはずが...と男女の噛み合わない恋のやりとりがコミカルに歌われています。サウンドも僕好みのメロウ&ポップな仕上がりです。DJ Vadim「The Nuisance Caller」でサンプリング・ネタにもなっています。
「The People That You Never Get to Love」
もしかしたら人々の中に運命の人がいたかもしれないのに...という歌です。そんな事思い返したって遅いのにね(笑)そんなモヤモヤ感がサウンドにも表れています。
「Get Outta Yourself」
リラックス・ムードがいいですね。隙間だらけの音空間が小粋でグッド!
「In You I Trust」
AOR好きの人はグッとくるメロディアスなロック・チューン。AORらしい疾走感がいいですね。Dean Bailinのギター・ソロも聴きもの。
ピナコラーダ飲みたいですな!