発表年:1987年
ez的ジャンル:発展途上中ブルーアイド・ソウル
気分は... :いつ聴いても青春...
Aztec Cameraの2回目の登場です。
青春ネオアコの永遠の名盤『High Land, Hard Rain』(1983年)に続いて紹介するのは、1987年にリリースされた3rdアルバム『Love』です。
Aztec Cameraと言えば、デビュー・アルバム『High Land, Hard Rain』のインパクトが強すぎて、2nd以降の印象がイマイチ薄いグループですが、個人的には3rd『Love』も好きな作品です。
この頃には、リーダーRoddy Frameのソロ・プロジェクトと化したAztec Cameraですが、本作では初のアメリカ録音を敢行しました。
奥さんからの影響でRoddyが黒人音楽へのアプローチを志向したことから、アメリカ録音ということになったのだと思います。
Roddy Frame自身以外にRuss Titelman、Tommy LiPuma & David Frank(「Don't Disturb This Groove」でお馴染みのThe Systemの片割れ)、Michael Jonzun、Rob Mounsey(Roddy Frameとの共同プロデュース)といったロック系からジャズ/フュージョン系、R&B系まで多彩なプロデューサーが起用されています。
また、Marcus Miller(b)、Will Lee(b)、Steve Jordan(ds)、 Steve Gadd (ds)等の腕利きミュージシャンがサポートし、バック・ヴォーカル陣には、Tawatha Agee(Mtumeの官能女性ヴォーカリスト)、Dan Hartman(「Instant Replay」、「Relight My Fire」等のヒットでお馴染み)、Robin Clark(David Bowie『Young Americans』等に参加)、Lani Groves(Stevie Wonder三部作、Billy Joel『The Stranger』、Steely Dan『Gaucho』等に参加)等Aztec Cameraのイメージとは相当ギャップのあるシンガーが脇を固めています。
青春ネオアコの名残りも数曲で聴くことができますが、前述のメンツから想像できるように、アーバン・サウンドによるブルーアイド・ソウルな仕上がりです
きっとBlow Monkeysあたりがお好きな人は気に入るのでは?とは言っても、Dr.Robertのような徹底した黒人音楽への傾倒までには至らず、まだまだ発展途上といった雰囲気なのがRoddy Frameらしくて好感が持てます。
"Aztec Cameraは奇数アルバムを聴け"が僕の中の鉄則です。
まずは1st『High Land, Hard Rain』で青春ネオアコに浸り、次に3rd『Love』でブルーアイド・ソウルなRoddyに驚き、さらに5th『Dreamland』(1993年)で成熟したRoddyを実感する!というのが、オススメのAztec Camera体験パターンです。
ということで、本作では頑張ってブルーアイド・ソウルしようとしているRoddyを応援しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Deep & Wide & Tall」
僕のオススメその1。アルバムからの1stシングル。Roddy Framらしい青春メロディとシャープでクリアなサウンドの組み合わせは本作を象徴しているのでは?Tawatha、Dan Hartman、Lani Groves等のアダルティなバック・ヴォーカル陣のサポートもサイコーです。この曲を手掛けたのがRuss Titelmanというのが意外ですな。
http://jp.youtube.com/watch?v=D9W6yLTD9sw
「How Man Are」
アルバムからの2ndシングル。この曲はAOR/ブルーアイド・ソウルな仕上がりです。ヴォーカルは青臭いですが、Roddyのソウル志向がよく反映されたメロウ・チューンに仕上がっています。Robin Clarkがソウルフルなコーラスで盛り上げてくれます。Tommy LiPuma & David Frankプロデュース。
「Everybody Is A Number One」
明るく開放的な雰囲気がいかにもアメリカンな仕上がりです(笑)。Roddyの少し無理している気もしますが...。Russ Titelmanプロデュース曲。
「More Than A Law」
Roddy自身のプロデュース。従来からのAztec Cameraファンも気に入るであろう、ノスタルジックな青春ギター・ポップに仕上がっています。Roddyらしいメロディにグッときますね!
「Somewhere In My Heart」
UKシングル・チャート第3位のヒットとなったアルバムからの3rdシングル。キャッチーでコンテンポラリーなロックン・ロールに仕上がっています。Michael Jonzunプロデュース。
http://jp.youtube.com/watch?v=Yin6SNceoF4
「Working In A Goldmine」
僕のオススメその2。アルバムからの4thシングル。80年代ブラコン調の哀愁チューンに仕上がっています。Roddy Frame & Rob Mounseyプロデュース。
「One And One」
ラヴァーズ好きにはお馴染みのUKのレゲエ・シンガーCarroll Thompsonとのデュエットです。Roddy Frame & Rob Mounseyプロデュースによるダンサブルな仕上がりです。青春ネオアコなAztec Cameraのイメージと一番かけ離れた曲かもしれません。Roddyの歌い方はまるでBoy George(Culture Club)のように聴こえます。
「Paradise」
僕のオススメその3。Tommy LiPuma & David Frankプロデュース。アーバン度合いはこの曲が一番だと思います。David Frank(key)、Marcus Miller(b)、Steve Gadd (ds)というバック陣、Lani Groves , Robin Clark等のバック・コーラス陣に支えられ、成長したRoddyのヴォーカル&ギターを堪能できますよ。
「Killermont Street」
ラストは青春ネオアコなAztec Cameraで締め括ってくれます。過ぎ去っていく季節を懐かしむかのようなノスタルジーがたまりません。
青春ネオアコと言うよりブルーアイド・ソウルなアルバムですが、それでもAztec Cameraを聴いていると"青春"の二文字が脳裏を過ぎります。
"Aztec Camera奇数アルバムの法則"に則り、次は坂本龍一プロデュースのN.Y.録音作品『Dreamland』(1993年)を紹介しますね(笑)
もし生まれ変わったならこういうロックンローラーにわたしはなりたいです。
ありがとうございます。
Aztec Cameraは高校時代に聴いた『High Land, Hard Rain』の青春ネオアコの初々しいイメージが強いのですが、本作の頃のRoddy Frameはかなり凛々しいですね!