発表年:1998年
ez的ジャンル:名人芸系Hip-Hop
気分は... :グラミーが終わりましたが...
昨日はグラミー賞の授賞式でしたね。
主要3部門はRobert Plant & Alison KraussがRecord Of The Year、Album Of The Yearの二冠に輝き、Song Of The YearはColdplayが受賞しました。
今年の主役はRobert Plant & Alison Kraussになったわけですが、受賞スピーチで二人と共にプロデューサーのT-Bone Burnetteがエラく目立っていたのが印象的でしたね。
ここ数年毎年感じることですが、各年の優れた音楽作品を表彰する賞としてのグラミーの威厳は低下しているように思います。例えば、主要部門のノミネート一覧を見ても、音楽シーンの今は見えてこない気がします。その理由の1つには、現在のポピュラー音楽は多様化・細分化が一段と進展しており、ポップ、ロック、R&B、Hip-Hop、カントリー、ジャズ等の幅広いカテゴリーの音楽をグラミーという1つのイベントで扱うことが限界に達しているのだと思います。
2つ目には、ベテラン・アーティストやカントリー系アーティストのウケが良い、グラミーの保守化傾向があると思います。過去の音楽シーンへの功労も含めて賞を決めるのであれば納得できますが、そういった基準でもないと思うので...
なんて文句ばかり書いていますが、音楽イベントとしてのグラミーは楽しいと思います。新旧様々なアーティストのパフォーマンスや意外なコラボを観ることができるのは嬉しいですね。
今年のパフォーマンスの中では、Justin TimberlakeとAl Greenによる「Let's Stay Together」が最高でした(バック・コーラスを務めていたBoyz II Menが寂しげでしたが)。Al Greenはプレゼンターも含めて、かなりノリノリでしたね(笑)
一方、Jonas Brothersと共演するStevie Wonderの姿を観ていて少し悲しくなりました。最近のStevieはイベントの客寄せパンダとして利用されすぎていると思うのは僕だけでしょうか。
受賞スピーチの中では、やはりJennifer Hudsonが感動的でしたね。スーパーボウルの国家斉唱に続いて涙ウルウルで観ていました。
あとミーハー感覚で言えば、プレゼンターで女優のEmily Procter(『CSI:マイアミ』のカリー役)が登場したのが嬉しかったですねぇ!
さて、今日はグラミーに全く関係なく、GuruとDJ Premier(Primo)から成る90年代Hip-Hopシーンの最強ユニットGang Starrです。
Gang Starrの紹介は、4thアルバム『Hard to Earn』(1994年)、3rdアルバム『Daily Operation』(1992年)に続き紹介する作品は、5thアルバム『Moment of Truth』(1998年)です。
前作『Hard to Earn』(1994年)で頂点を極めてしまった感のある彼らだったので、本作まで約4年のブランクが開いたのは仕方が無かったのかもしれませんね。
その間、GuruはJazzmatazzプロジェクトの第二弾『Jazzmatazz Vol II:The New Reality』(1995年)をリリースし、PrimoはGroup Home『Livin' Proof』(1995年)、Jeru The Damaja『Wrath of the Math』(1996年)といったプロデュース・ワークで引っ張りだこでした。
そんな二人が再び集結し、創り上げたアルバムが『Moment of Truth』(1998年)です。相当のプレッシャーの中で制作されたと思いますが、出来上がった作品はそんなプレッシャーをはねのけ、さすがGang Starr!といった内容になっています。
特に数々のプロデュースワークで磨きのかかったPrimoのトラック作りは名人芸といった域なのでは?
全20曲、Primoの名人芸トラックとGuruの円熟ラップを堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「You Know My Steez」
僕のオススメその1。アルバムからの1stシングル。ジャジーなループと硬質なリズムでカッチョ良くキメてくれます。クラシックの貫禄十分な仕上がりです。擦り具合いも相変わらずいい感じです。Joe Simon「Drowning in the Sea of Love」、Les McCann「Music Lets Me Be」、Grandmaster Flash「Flash is on the Beatbox」、 GZA「Shadowboxin'」、Greg Tate「What is Hip Hop?」、Big Noyd「Episodes of a Hustla」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=8O8oV1ATfH0&feature=related
「Robbin Hood Theory」
シンプルさが魅力の1曲。Guruの淡々としたラップとそれを際立てるPrimoのトラックとのバランスがグッド!George Duke「Capricorn」ネタ。
「Work」
僕のオススメその2。Big Lをフィーチャー。ソウルフルなテイストがカッチョ良い人気曲。Fleetwood Mac「Prove Your Love」ネタのドラムブレイクがカッチョ良すぎ!The Manhattans「Devil in the Dark」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=GSszWXkDHa8&feature=related
「Royalty」
僕のオススメその3。K-Ci & Jojoをフィーチャーしたクラシック。Gang Starrらしいクールなカッチョ良さとK-Ci & Jojoのホットな歌の組み合わせがグッド!Latimore「Let's Do it In Slow Motion」、Gang Starr「DWYCK」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=hDuoK-7nd6Y&feature=related
「Above the Clouds」
僕のオススメその4。Inspectah Deckをフィーチャー。John Dankworth「Two Piece Flower」ネタのループが印象的ですね。研ぎ澄まれたトラックには神の域に達したPrimo先生の凄みを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=PxqUHp4YFL4&feature=related
「JFK 2 LAX」
The Supremes「It's Time to Breakdown」ネタのトラックがキマっていますね。
「Itz a Set Up」
Hannibalをフィーチャー。Les McCann「Beyond Yesterday」ネタのジャズ・ファンク・テイストのトラックがいい感じです。
「Moment of Truth」
僕のオススメその5。ノスタルジックなソウル・テイストと心地好いリズムが最高のタイトル・チューン。そんな抜群のトラックの雰囲気をうまくフロウにもつなげているGuruもグッド!Billy Paul「Let's Fall in Love All Over Again」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=lH3hrtp1T84&feature=related
「B.I. Vs. Friendship」
僕のオススメその6。M.O.P.をフィーチャーしたハードコア・チューン。M.O.P.が入った途端、こんなにもハードになるのが面白いですね。アルバムの中でいいアクセントになっていると思います。Isaac Hayes「Come Live With Me」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=kv44GeBMovk
「The Militia」
僕のオススメその7。アルバムからの2ndシングルにもなりました。Big Shug & Freddie Foxxxをフィーチャーした男気溢れる1曲。疾走するトラックがサイコー!スクラッチもばっちりキマっています。Robert Cobert「Dark Shadows (Main Theme)」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=nSh1dLlBaHw&feature=related
「The Rep Grows Bigga」
この曲はひたすらPrimoの素晴らしい仕事ぶりに耳を傾けましょう。Jeff Beck「Come Dancing」、The Beatnuts「Off The Books」、Wu-Tang Clan「C.R.E.A.M.」、I.N.I.「Fakin' Jax」 、Non Phixion「Refuse to Lose」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=IwRkpE2UDIE
「What I'm Here 4」
僕のオススメその8。Young-Holt Unlimited「Little Green Apples」ネタのエレガントなピアノにグッとくるトラックとGuruのラップの絡み具合がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=C2xekkyEmJA
本曲をお好きな方は、本曲をサンプリングしたRoyce Da 5'9 & Common & Chino Xl「Enough Beef」もぜひチェックを!
Royce Da 5'9 & Common & Chino Xl「Enough Beef」
http://www.youtube.com/watch?v=H-Jc3oJUAIk
「She Knowz What She Wantz」
僕のオススメその9。メロウネスで言えば、MFSB「Sunnin' and Funnin'」、De La Soul「Itzsoweezee (HOT)」ネタのこの曲が一番かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=s9koEWoHu4c
まぁ、この曲に限って言えば、元ネタの2曲が良すぎる!という気もしますが...
MFSB「Sunnin' and Funnin'」
http://www.youtube.com/watch?v=a88b5uWz5gk
De La Soul「Itzsoweezee (HOT)」
http://www.youtube.com/watch?v=KaLxbByTdW0&feature=related
「New York Strait Talk」
EPMD「It's My Thang」、Ruthless Bastards「Bastards」ネタの重心の低いトラックが印象的です。
「My Advice 2 You」
「Make 'Em Pay」
メロウなトラックの2曲。「My Advice 2 You」はLydia Pense & Cold Blood 「I Love You More Than You'll Ever Know」、Special Ed「Think About It」ネタ。「Make 'Em Pay」(Krumbsnatchaをフィーチャー)はGroup Home「Livin' Proof」、Five Special「You're Something Special」ネタ。
「The Mall」
G-Dep & Shiggy Shaをフィーチャー。硬派な雰囲気に仕上がっています。
「Betrayal」
僕のオススメその10。Scarfaceをフィーチャー。War「Deliver the Word」ネタの哀愁トラックがいいですね。ScarfaceとGuruという個性の対比も面白いですね。。
http://www.youtube.com/watch?v=iRDkkldhPf4&feature=related
「Next Time」
Monk Higgins「A Good Man is Gone」ネタの哀愁トラックがいい感じです。LL Cool J 「I Shot Ya (Remix)」ネタ。
「In Memory Of...」
ラストはまったりモードで...Paul Horn「Here's that Rainy Day」、The Notorious B.I.G.「You're Nobody (Til Somebody Kills You)」ネタ。
これだけ曲数が多いと全曲コメントするのも一苦労ですな(笑)