2009年02月15日

Stevie Wonder『Fulfillingness' First Finale』

三部作のフィナーレを飾る名盤☆Stevie Wonder『Fulfillingness' First Finale』
Fulfillingness' First Finale
発表年:1974年
ez的ジャンル:ミラクル・ソウル/R&B
気分は... :Stevieはミラクルな存在であって欲しい!

久々にStevie Wonderの紹介です。

これまで紹介してきたStevie作品は以下の3枚。
 『Talking Book』(1972年)
 『Innervisions』(1973年)
 『Songs In The Key Of Life』(1976年)

4枚目に紹介する作品は『Fulfillingness' First Finale』(1974年)です。

『Talking Book』(1972年)、『Innervisions』(1973年)と並ぶ三部作の1枚です。

多くのファンが指摘する通り、この三部作と『Songs In The Key Of Life』あたりがStevieの音楽的ピークであったと思います。

とにかく出す作品全てがミラクル!というのがこの時期のStevieであったと思います。

それだけに最近のSteveを観るたびに寂しい思いがしてしまいますね。
数日前にも書きましたが、今年のグラミーでJonas Brothersと共演するStevieの姿は、かつてのオーラは薄れ、イベントの客寄せパンダのようにしか観えませんでした。

そんな思いもあって、ミラクルなStevie作品を紹介したくなった次第です。

『Fulfillingness' First Finale』(1974年)は、"ファースト・フィナーレ"のタイトル通り、三部作の締め括りとなるStevie劇場第1幕のフィナーレを飾る作品です。

1年前に交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ったStevieでしたが、見事に復活して本作のリリースにこぎつけました。精神性の高い崇高な楽曲が目立つのは、そういった体験も影響しているのかもしれませんね。

プロデュースはStevie Wonder自身とRobert MargouleffMalcolm Cecilという三部作不動の布陣です。

ゲストにはPaul AnkaJackson 5The PersuasionsMinnie RipertonDeneice WilliamsSyreeta Wrightらがバック・ヴォーカルとして参加しています。

本作はグラミー賞の最優秀アルバムおよびベスト・ポップ男性ボーカルの2部門を受賞しています。
他の三部作同様に捨て曲ナシ全曲クラシックという充実作です。

全曲紹介しときやす。

「Smile Please」
邦題「やさしく笑って」。タイトルの通り、優しく穏やかなStevieの歌声とメロディに癒されます。♪Bum bum di ti bum〜♪の部分のコーラスが印象的ですね。パーカッシヴな仕上がりが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=eR6PKtgEL_w

「Heaven Is 10 Zillion Light Years Away」
邦題「1000億光年の彼方」。普通のアーティストが1000億光年なんて歌うと陳腐に聴こえてしまうかもしれませんが、この時期の神がかりなStevieならば壮大なスケール感がフィットしますよね。Stevieらしいシンセ・サウンドが印象的ですし、Paul Anka、Syreeta Wrightらが参加しているパワフルなバック・ヴォーカル陣もグッド!Richard Pageがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=yIE6unjkXmc

「Too Shy to Say」
ピアノとスティール・ギターの絡みが素晴らしい美バラード。聴いているだけで心が浄化され、ピュアな気持ちに戻ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=d_j-MxKALFU

Walter Jackson、Diana Rossがカヴァーしています。

Diana Ross「Too Shy to Say」
 http://www.youtube.com/watch?v=IViuJCDgPCc

「Boogie on Reggae Woman」
アルバムからの2ndシングル。全米ポップチャート第3位、R&Bチャート第1位の大ヒットとなりました。タイトルから想像てきるように、Stevieがジャマイカ旅行中に作った曲です。でもレゲエではなくファンク・チューンに仕上がっているところが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ylQMhYqSntk

Pat Rhoden、Yami Bolo, Sly & Robbie といったレゲエ・カヴァーをはじめ、Stanley Turrentine、Marcus Miller、Chuck Brown & The Soul Searchers(「Boogie On Go-Go Woman」のタイトルでカヴァー)、Phish等がカヴァーしています。

Marcus Miller「Boogie On Reggae Woman」 (Live)
 http://www.youtube.com/watch?v=EWg1D-TwBrk

「Creepin'」
フリーソウル・ファンにも人気の1曲ですね。このミステリアスな雰囲気がたまらく好きです!バック・コーラスはMinnie Ripertonです。
http://www.youtube.com/watch?v=6gkqGCnK-nw

Kenny Rankin、Tamiko Jones、Luther Vandrossあたりのカヴァーが有名だと思います。個人的にはフリーソウル・クラシックとなっているTamiko Jonesのヴァージョンをよく聴きます。それ以外にもKenia、Danny Williams、Blue Michell、Herbie Mann、Laura NyroStanley Turrentineらもカヴァーしています。ブラジリアンAORなKeniaやBlue Michellのヴァージョンもグッド!だと思います。

Kenny Rankin「Creepin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=jA0z5gpjB8w

Luther Vandross「Creepin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=RFR0tq8laQ4

「You Haven't Done Nothin'」
アルバムからの1stシングル。全米ポップ・チャート、R&Bチャート共に第1位の大ヒットとなりました。「Superstition」と同タイプのファンク・チューン。Jackson 5がバック・コーラスで参加しています。イントロのシンセの音色を聴いただけでStevieワールド全開といった感じですよね。初めてStevieを聴いた頃、本曲の邦題「悪夢」は「迷信(Superstition)」と並んでインパクトありました。Stevieから見て当時のニクソン政権は悪夢だったのでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=Ji2ma2mfyhU

3rd Bass「Pop Goes The Weasel」、Strange Fruit Project「Makin' My Way」、Pete Rock & 9th Wonder「Watch Me」等のサンプリング・ネタになっています。

Strange Fruit Project「Makin' My Way」
 http://www.youtube.com/watch?v=mHu4rEMEPH8

Pete Rock & 9th Wonder「Watch Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=sqFNDC8fcAA

「It Ain't No Use」
味わい深いバラード。切ないメロディにグッときます。Minnie Riperton、Deneice Williamsらの女性コーラズ陣による♪Bye bye bye bye bye〜♪のパートが印象的ですね。それだけに「愛あるうちにさよならを」という邦題が妙にしっくりきますな。
http://www.youtube.com/watch?v=WBVD24d7V5E

当ブログで紹介したKenny Lattimoreのカヴァー(アルバム『Timeless』収録)やRainbow feat.Will Boulwareのクロスオーヴァーなカヴァーもグッド!
Rainbow feat.Will Boulware
 http://www.youtube.com/watch?v=LWFsFhjCGuM

「They Won't Go When I Go」
邦題「聖なる男」。Stevieの高い志を象徴する1曲。この頃のミラクルStevieがこのような曲を歌うとホント、ハマりすぎですな。
http://www.youtube.com/watch?v=H5tT3JS4myE

George Michael、Kevin Max等がカヴァーしています。

George Michael「They Won't Go When I Go」
 http://www.youtube.com/watch?v=6UmoCbWIZBY

「Bird of Beauty」
ブラジリアン・フレイヴァーなボッサ・チューン。歌詞の一部がポルトガル語ですが、その部分はSergio Mendesが訳したらしいです。この時期のStevieは積極的に他ジャンルのエッセンスを取り込んでいましたが、本曲もそういったアプローチの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zuy6QSVPsus

この曲は数多くのカヴァーがありますね。主なところを挙げると、SOL、Herbie Mann、Rune Gustafsson、Esther Satterfield、Ernestine Anderson、Hank Marvin、Stanley Turrentine、Svante Thuresson、Eliane Elias、Mash feat.Hazel Fernandes、Marilyn Scott、Nnenna Freelon、Cecil Brooks III with Gene Ludwig、Catia、Angelique等。 個人的にはSOLのラテン・カヴァーやEliane Eliasによるブラジリアン・ジャズ・カヴァーがお気に入りです。

Ernestine Anderson「Bird Of Beauty」
 http://www.youtube.com/watch?v=A9_h-4L0Hyw

Eliane Elias「Bird Of Beauty」
 http://www.youtube.com/watch?v=xdVNpuORQcw

「Please Don't Go」
ラストはヒューマンな感動に溢れる1曲。三部作の締め括りに相応しいミラクルなパワーに満ちた出来栄えだと思います。Stevieの素晴らしいハーモニカも存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Rf71XpAot8I

本作で華々しく第1幕のフィナーレを迎えたStevieは、更なる進化を遂げ『Songs In The Key Of Life』(1976年)という、さらにミラクルな大作で第2幕をスタートさせます。
posted by ez at 03:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ezさんこんにちは。久し振りに書き込みます。
ブログのタイトルはSTEVIEの名作から拝借したと過去ログで読みました。それだけに最近のSTEVIEに対する”叱咤激励”もEZさんの思いれが感じられました。
私は80年代のSTEVIEが原体験なので、最盛期以降の作品も決して嫌いではないです。
改めて4年前の"TIME 2 LOVE"も聴いてみたのですが、レベルの高さは変わらないなと思うのが個人的な感想です。時代が変わって今のUSの音楽シーンを牽引する力がないのは仕方のないこととも思いますが。
いつか書かれるであろう”MUSIC OF MY MIND"のレビューを楽しみにしています。
それではまた。
Posted by shu0610 at 2009年02月15日 10:39
☆shu0610さん

ありがとうございます。

最近のStevie作品が決して悪いとは思いませんが、求めているレベルが他のアーティストとは違うので、ついつい辛口になってしまうのかもしれませんね。今さらそうしたものを求めること自体が無理なことは百も承知しているのですが...

> ”MUSIC OF MY MIND"のレビューを楽しみにしています。

『Music of My Mind』の記事を書くのは当ブログのフィナーレになるような気がします(笑)
Posted by ez at 2009年02月16日 00:00
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