2009年02月19日

Bruce Springsteen『Darkness On The Edge Of Town』

こんな時代だからこそBossの叫びが胸に響く!☆Bruce Springsteen『Darkness On The Edge Of Town』
闇に吠える街(紙ジャケット仕様)
発表年:1978年
ez的ジャンル:アメリカン・リリシズム系ロック
気分は... :バッドランドを立て直そう!

BossことBruce Springsteenの4回目の登場です。

先月最新作『Working on a Dream』をリリースし、健在ぶりを示してくれたBruce Springsteen & The E Street Band

ワーキング・オン・ア・ドリーム
ワーキング・オン・ア・ドリーム

2週間前のNFLスーパーボウルのハーフタイムショーでBruce Springsteen & The E Street Bandの演奏を観たのがきっかけで、ここじばらくSpringsteen作品を何度となく聴いています。
Superbowl XLIII Halftime Show
http://www.youtube.com/watch?v=qjbSD6OImjU

これまで当ブログで紹介したBoss作品は以下の3枚です。

 『Greetings From Asbury Park, N.J.』(1973年)
 『The River』(1980年)
 『Nebraska』(1982年)

今日紹介するのは1978年リリースの4thアルバム『Darkness On The Edge Of Town』です。

前作『Born To Run』(1975年)が大ヒットし、遂に大ブレイクしたSpringsteenでしたが、マネージャー&プロデューサーMike Appelから訴えられ、レコーディング延期を余儀なくされます。

こうしたゴタゴタを経て制作されたアルバムが『Darkness On The Edge Of Town』です。

プロデュースはBossとJon Landau。レコーディング・メンバーはBoss以下、Roy Bittan(p)、Clarence Clemons(sax)、Danny Federici(org)、Garry Tallent(b)、Steve Van Zandt(g)、Max Weinberg(ds)というThe E Street Bandのメンバーのみです。

その意味では、初めてライブのダイナミズム、臨場感をスタジオ・レコーディングに反映したアルバムと言えるのでは?

但し、曲調はダークなものが多く、サウンドも贅肉を削ぎ落としたシンプルなものが多くなっています。

それだけにBossの発する一言一言、E Street Bandの奏でる一音一音に魂が宿っている気がします。

僕が一番好きなBoss作品は昔も今もはダントツで『The River』(1980年)ですが、二番手以降は年月と共にビミョーに変化してきています。

本作『Darkness On The Edge Of Town』は正直ここ数年殆ど聴いていませんでした。しかし、前述のスーパーボウル・ハーフタイムショーの後、CD棚を眺めて一番最初に手にした作品が『Darkness On The Edge Of Town』でした。

きっと今のような世知辛い世の中に最もフィットする作品として、自然に本作に手が伸びたのでしょうね。

本作では辛い人生、虚しい人生、不条理な人生を送っている主人公が多く登場します。そういった人生の"闇"に焦点を当て、それらを代弁してくれるBossの歌声、メッセージに今だからこそ共感できるという方も多くいると思います。

どんなに辛くても、どんなに虚しくても、どんなに不条理でも人は生きていかねばならない...
Bossの雄叫びを聴いて、心の導火線に火をつけてみては?

全曲紹介しときやす。

「Badlands」
訴訟トラブルの作品への影響を懸念したファンへの一発回答。苦悩しつつも突き進む若者の心情を歌った力強いロックン・ロール。若者の思いを熱く代弁してくれるのが、BossのBossたる所以ですな。こんな世の中だからこそ、Bossのメッセージに勇気付けられる思いですね。シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=LxCsKw4J_Ws

さぁ、バッドランドを立て直すため、みんなで大合唱しましょう!
 ♪Badlands, you gotta live it everyday,
 ♪Let the broken hearts stand
 ♪As the price you've gotta pay,
 ♪We'll keep pushin' till it's understood,
 ♪and these badlands start treating us good

生きていることが素晴らしいと感じることが罪ではないと思いを胸の奥に刻んだ者たちのために...

「Adam Raised a Cain」
邦題「アダムとケイン」。親子の悲しいさだめを旧約聖書のアダムとケイン(ケインはアダムとイブの息子だが、弟のケイン殺しエデンを追放される)をなぞって描かれています。その歌詞内容に合わせて重苦しいロック・チューンに仕上がっています。

「Something in the Night」
やるせない若者の生き様を描いたSpringsteenらしいリリシズムに溢れたバラード。
Bossのウォーという雄叫びが全てを物語っている気がしますね。
Bossの発する一言、一言がズシリと心に響いてきます。
 ♪世間がまともに思われる瞬間を探して、
 ♪俺は夜の神秘の真っ只中へ裂け入っていく...
http://www.youtube.com/watch?v=az3nqPClKaU

「Candy's Room」
疾走するロック・チューン。Bossの溜めに溜めてから一気に噴き出すヴォーカルとE Street Bandの無駄なくシャープな演奏にグッときます。

「Racing in the Streets」
ファンの間では人気の高い名曲ですね。聴き終わる頃には涙腺がユルユルになる、人生の夢が破れた男女の物語です。♪しかし彼女の美しい夢のすべては破れ、生まれたことを呪う者が持つ目を持って夜を一人見つけている♪という一節には目を胸が締め付けられる思いです。歌の内容を邪魔しないシンプルなバックも大正解ですね。
 ♪今夜、彼女と俺は海へ行き、これらの罪をすべて洗い落とそう...
http://www.youtube.com/watch?v=0HFht4MPiPs

「The Promised Land」
この曲も定番の1曲ですね。BossとE Street Bandの一体感のある演奏が堪能できます。いつ聴いても勇気をパワーをもらえる名曲ですね!
 ♪吹き飛ばせ 俺を引き裂くすべての夢を
 ♪吹き飛ばせ 俺の望みを砕くすべての夢を
 ♪吹き飛ばせ 俺を打ちのめすすべての嘘を
 ♪俺は約束の地を信じている
ライブで聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7lPzWPXhbVI

Youtubeに本曲をJackson Browneと共に歌うBossの映像がありました。僕が青春時代に最も影響を受けた二人の共演だけに今見ても感慨深いものがありますね。
Bruce Springsteen & Jackson Browne「The Promised Land」
http://www.youtube.com/watch?v=ONG5UOwbpu4

「Factory」
工場で働く労働者の歌。♪It's the working, the working, just the working life♪の歌詞が心に刺さります。

「Streets of Fire」
引きずられるような重苦しさが印象的な仕上がり。このどん詰まり感もBossらしいですね。

「Prove It All Night」
シングルにもなった人気曲。邦題「暗闇へ突走れ」。夢を持ちながらも、まっとうな生き方をすることができない男の物語。♪もし夢が実現したらなんていいことだろう♪でも今夜俺達がしていることは夢ではない♪生きるって難しいよね。
http://www.youtube.com/watch?v=xAzPaUxULyA

Bossのギターソロから始めるライブ映像もファンにはたまりませんね。
「Prove it all night」(Live)
http://www.youtube.com/watch?v=eGMPNGCrn5A&feature=related

「Darkness on the Edge of Town」
ラストはタイトル曲「闇に吠える街」。まさに闇の中からの叫びのようなBossのシャウトにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=c23Zh7HaNFc

先日のグラミー賞を観ていて初めて知ったのですが、The E Street BandのDanny Federici(org)が昨年亡くなっていたのですね。実に残念です。そのため、新作『Working on a Dream』は彼に捧げられています。
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰しております。
以前はジャクソン・ブラウンの「Everywhere I Go」にちなんだeverywhereというHNでコメントをしておりましたが、ブログの開設とともに勝手ながら昔の名前に戻しました。今後とも宜しくお願い申し上げます。
取り上げられた『Darkness On The Edge Of Town』の「The Promised Land」では「俺は約束の地を信じている」と歌われていました。「アメリカの夢」と同義語と言って良いこの「約束の地」という言葉はスプリングスティーンの歌の世界では見逃せないものです。私もこの歌から元気を与えられたことがありました。
さて、オバマ大統領誕生ということで彼の夢が叶ったようですが、その大統領が経済でも外交でも苦境に立たされているようです。さらに苦手なボウリングの腕前について、「障害者のオリンピックみたいだ」と例える失言。スプリングスティーンはどのように思っているのでしょうかねぇ。少々心配です。
Posted by Backstreets at 2009年03月21日 15:43
☆Backstreetsさん

ありがとうございます。

新作リリース&NFLスーパーボウル・ハーフタイムショーと今年のBossは勢力的です。苦しむ人々の代弁者を強く求めているアメリカの社会・経済情勢とずばりリンクしている感じですね。

さすがのオバマ大統領も苦戦していますが、偽りの約束の地を押し付けたブッシュ政権に比べれば、はるかに約束の地への希望が持てるのでは?どこかの国に比べれば、政策決定・実行のスピード感も全く違いますし、Bossの歌のように一気に突っ走ることを期待しています。
Posted by ez at 2009年03月22日 02:16
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