2009年02月20日

Maria Rita『Maria Rita』

Elis Reginaの娘のデビュー作。第5回ラテングラミー賞「ベストMPBアルバム」受賞☆Maria Rita『Maria Rita』
Maria Rita
発表年:2003年
ez的ジャンル:新世代MPB
気分は... :もうすぐリオのカーニバル!

日本では相変わらず寒い日が続きますが、地球の裏側のブラジルではもうすぐリオのカーニバルが始まります。そんなことも手伝って、ここ1週間ほどブラジル音楽を聴く頻度が高くなっています。

ということで、Elis Reginaの娘Maria Ritaの2回目の登場です。

3rdアルバム『Samba Meu』(2007年)に続いて紹介するのは、デビューアルバム『Maria Rita』(2003年)です。

ブラジルの国民的女性シンガーであった故>Elis Reginaと名ピアニストCesar Camargo Marianoの娘として1977年サンパウロで生まれたMaria Ritaは、これまで1st『Maria Rita』(2003年)、2nd『Segundo』(2005年)、3rd『Samba Meu』(2007年)という3枚のアルバムをリリースしています。

前回紹介した3rdアルバム『Samba Meu』(2007年)は『ezが選ぶ2007年の10枚』にセレクトしたほどのお気に入りアルバムでした。このアルバムのおかげで僕のブラジル音楽への興味が久々に高まったと言っても過言ではありません。

サンバ・アルバムでカラフルな印象の『Samba Meu』と比較した場合、今日紹介するデビューアルバム『Maria Rita』は一聴すると少し地味な印象かもしれません。ジャケも少しオバちゃんぽいイメージだし(笑)

しかしながら、聴けば聴くほど味わい深くなり、ずっぽりMaria Ritaワールドにハマるアルバムだと思います。全体的にジャズ・テイストの演奏をバックに様々な表情を見せるMariaのヴォーカルの素晴らしさに魅了されるはずです。

また、母Elis Reginaと縁のあるMilton NascimentoRita Leeや、人気ロックバンドLos HermanosのリーダーMarcelo Camelo、シーンを牽引するトップランナーLenineといった楽曲提供者の顔ぶれを見るだけで、ブラジル音楽ファンはもグッとくるのでは?

本作は、第5回ラテングラミー賞で「最優秀新人賞」「ベストMPBアルバム」等3部門受賞に輝いています。

母親譲りの天賦の才に惚れ惚れする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「A Festa」
オープニングはMilton Nascimento提供曲。第5回ラテングラミー賞「Best Brazilian Song (Portuguese Language)」受賞曲です。Nascimentoらしいナチュラルな魅力を持った楽曲ですね。Mariaも母親譲りのヴォーカルでNascimento作品に輝きを与えてくれます。ラテングラミー受賞も頷ける素晴らしい出来栄えですね。
http://www.youtube.com/watch?v=QKVKVgBnWjA

1966年、Mariaの母Elis Reginaが彼の楽曲「Cancao do Sal」を取り上げたことでNascimentoが脚光を浴び、その38年後、NascimentoがElisの娘Maria Ritaに手を貸し、彼女の華々しいデビューをアシストする...実に美しいストーリーですね。

「Agora So Falta Voce」
ブラジル・ロック界の女王Rita Leeの作品。Rita Leeは母Elis Reginaと親しい間柄ということもあり、取り上げたのかもしれませんね。Mariaの堂々とした歌いっぷりがいいですね。シンプルながらも小粋なバックもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=NCHzJtql6uU

Rita Lee「Agora So Falta Voce」(2008 Tour PIC NIC)
 http://www.youtube.com/watch?v=Osi2b7bvxPE

「Menininha Do Portao」
Nonato Buzar/Paulinho Tapajosというベテラン・コンビの作品。エレピをバックにやや抑えたMariaのヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=u8iSqZEY-1k

Paulinho Tapajos「Menininha Do Portao」
 http://www.youtube.com/watch?v=G-hRM1Ac1wU

「Nao Vale A Pena」
JeanとPauloのGarfunkel兄弟の作品。Garfunkel兄弟自身のバージョンは1994年にリリースされています。最近で言えば、Marcia Salomonも本曲を取り上げていますね。Mariaのバージョンはジャズ・スタンダード風な仕上がりです。
 http://www.youtube.com/watch?v=S1LtIULGGDM

「Dos Gardenias」
『Buena Vista Social Club』(1997年)収録曲としてお馴染みの曲ですね(Isolina Carrillo作品)。アルバムの中でもいいアクセントになっている1曲です。哀愁モードのラテン・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=DHS6h-aaMqo

「Cara Valente」
Marcelo Camelo作品。Marceloは若者から圧倒的な人気を誇るリオ出身の人気ロックバンドLos Hermanosのリーダーです(Los Hermanosは2007年より活動休止中)。おそらく本作で一番人気のある曲なのでは?MPBならではの不思議な爽快感を堪能できる仕上がりです。Mariaのヴォーカルがかなりお茶目です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Jcmdv6giRdA

昨年リリースされたMarcos Valleの新作ライブ『Conecta Ao Vivo No Cinemateque』の中でも本曲が取り上げられています(Marcelo Cameloとの共演)。

「Santa Chuva」
この曲もMarcelo Camelo作品。ジャジーなサウダージ気分を味わうことができる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=7ADedu_HsOo

Marcelo Camelo自身のバージョンは『Nos』(2008年)に収録されています。
Marcelo Camelo「Santa Chuva」
 http://www.youtube.com/watch?v=V5m5OjNICSs

「Menina Da Lua」
美しいピアノをバックにリリカルなヴォーカルを堪能できるジャズ・テイストの仕上がり(Renato Mota作品)。
http://www.youtube.com/watch?v=I4mOPHFAObw

「Encontros e Despedidas」
2曲目のMilton Nascimento作品。Nascimento自身のオリジナルは『Encontros e Despedidas』(1985年)に収録されています。Simoneもカヴァーしていますね。壮大なスケール感を感じる1曲です。エレガントなアレンジも素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HxVQlk5XeII

Simone「Encontros e Despedidas」
 http://www.youtube.com/watch?v=NkOUYi54LaM

「Pagu」
2曲目のRita Lee作品。この曲は2000年にZelia Duncanと共作したもの。表情豊かなMariaのヴォーカルとジャズ・テイストの小粋なバックの一体感が抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=5CK620UTg5o

Rita Lee e Zelia Duncan「Pagu」
 http://www.youtube.com/watch?v=TmtLaFLa9vw

「Lavadeira Do Rio」
現在のブラジル音楽シーンを牽引するトップランナーLenine作品のカヴァー。Lenineのオリジナルは『Falange Canibal』(2002年)に収録されています。ミステリアスな躍動感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=FUp7hC8uGGI

「Veja Bem Meu Bem」
Marcelo Camelo作品の3曲目。エレガントな大人の雰囲気に溢れた仕上がりです。思わずワインが飲みたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=3dStUpEZ40Q

Los Hermanos「Veja Bem Meu Bem」
 http://www.youtube.com/watch?v=NDf_A02vH_Q

「Cupido」
MPBを代表する男性シンガーソングライターIvan Linsの息子Claudio Linsの作品。淡々とした中にも味わい深いものがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=MnIK7hSH2JM

"Elis Reginaの娘"という説明が不要なほど素晴らしいアルバムだと思います。さすがラテングラミー賞「ベストMPBアルバム」受賞の充実作ですな。
posted by ez at 06:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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