2009年02月23日

XTC『White Music』

ニューウェイヴ然としたデビュー・アルバム☆XTC『White Music』
White Music
発表年:1978年
ez的ジャンル:ひねくれ系ニューウェイヴ
気分は... :Andyもかつてはイケメンだった?

英国を代表するシニカルなポップ/ロック・グループXTCの4回目の登場です。

これまで当ブログで紹介したXTC作品は以下の3枚。
 『English Settlement』(1982年)
 『Mummer』(1983年)
 『Oranges & Lemons』(1989年)

4回目の今日は1978年リリースのデビュー・アルバム『White Music』です。

個人的には『Oranges & Lemons』『Skylarking』(1986年、Todd Rundgrenプロデュース)あたりのひねくれポップ・センス全開のXTCが一番好きです。

それらの作品と比較すると、今日紹介するデビュー・アルバム『White Music』はかなり異なる印象を受けるアルバムですね。まさにニューウェイヴの典型のようなアルバムに仕上がっています。

元々The Helium Kidzとして活動していたAndy Partridge(g、vo)、Colin Moulding(b、vo)、Terry Chambers(ds)の3人にBarry Andrews(key)が加わり、バンド名がXTCとなります。そして、1977年に「Science Friction」を含むシングル『3D-EP』でデビューを果たします。

そして1978年にリリースされたのがデビュー・アルバムとなる本作『White Music』です。プロデュースはJohn LeckieRadiohead『The Bends』等も手掛けていますね)が務めています。

本作を聴くと、改めてXTCはニューウェイヴ・バンドなんだということを実感します。
一方でXTCがニューウェイヴ然としていたのは、Andy PartridgeBarry Andrewsという2つの個性があったからこそだという気がします。

どうしてもAndy Partridge中心のグループというイメージですが、初期2作におけるBarryの存在感はかなり大きかったと思います。残念ながら、2つの個性の共存は長くは続かず次作『Go 2』(1978年)リリース後にBarryはグループを脱退します(代わってDave Gregoryが加入)。

その意味では2nd『Go 2』までのXTCと、3rd『Drums and Wires』以降のXTCは、かなり異なる印象を受けるはずだと思います。

『Skylarking』あたりのXTCを聴き慣れている人にとって、このパンキッシュなニューウェイヴ・サウンドはいろんな意味でインパクトがあると思います。

この頃のAndyはなかなかイケメンだった?

全曲紹介しときやす。

「Radios in Motion」
躍動感溢れるオープニング。基本的には疾走感の中にもAndyらしいヒネリがスパイスとして効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=Y_6bprVMfd4

「Cross Wires」
Colin Moulding作品。パンキッシュな疾走感にアヴァンギャルドな魅力が加味された仕上がりです。その大きな要因はBarry Andrewsのオルガンでしょうね。初期XTCならではのカッチョ良さに溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=CFpNau6jyAM

「This Is Pop」
シングルにもなった初期の代表曲(シングルは別バージョン)。後の作品に引き継がれるAndy Partridgeらしいひねくれポップが炸裂しています。Andyが♪This Is Pop, yeah,yeah♪と歌うこと自体がひねくれてますよね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=TdfoEAOeYAE

「Do What You Do」
Colin Moulding作品。1分20秒にも満たない短い曲ながら、初期XTCの魅力が凝縮されています。もっとも、こういった曲を演奏したせいでコミック・バンドとの誤解を招いたのかもしれませんが...

「Statue of Liberty」
ニューウェイヴ感覚とポップ感覚がうまくバランスしたスカ・チューン。シングル・カットもされました(シングルは別バージョン)。歌詞に問題がありBBCでは放送禁止になった模様です。
http://www.youtube.com/watch?v=XXhY1GX5dhU

「All Along the Watchtower」
Bob Dylanの名曲カヴァー。この曲と言えば、当ブログでも紹介したJimi Hendrixのカヴァーが有名ですよね。個人的にも名盤『Electric Ladyland』の中でも一番のお気に入りです。そんな名曲をXTCは原曲のイメージを全く留めないホワイト・ファンク調のアレンジでカヴァーしています。オリジナル以上に初期XTCの持つアヴァンギャルドな魅力が発揮されているかもしれませんね。

Bob Dylan「All Along The Watchtower」
 http://www.youtube.com/watch?v=jkok1Z4WJuY

Jimi Hendrix「All Along The Watchtower」
 http://www.youtube.com/watch?v=ZQH8X4jkSxo

XTC「All Along The Watchtower」
 http://www.youtube.com/watch?v=KFdyd8oIVYU

ここまでオリジナルLPのA面です。

この後の7曲はCDのボーナス・トラックです。
iTunesやAmazon等の曲表示だと、オリジナルLPの後にボーナス・トラック7曲が表示されてしまいますが、(少なくとも)初期CDはオリジナルLPのA面とB面の間にボートラが収録されているのでご注意を!

「Science Friction」
XTCの記念すべきデビューシングル(『3D-EP』のタイトルでリリース)。パンキッシュな疾走感が前面に出ていますが、XTCらしいひねりも効いています。XTCに似つかわしくない言葉ですが、若さに溢れていますね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=9HJXW9XpxSg

「She's So Square」
「Dance Band」
前述の『3D-EP』B面収録曲。「She's So Square」はひねりの効いたポップ・チューンに仕上がっています。Colin作の「Dance Band」はスカ調のアヴァンギャルドな仕上がり。

「Hang on to the Night」
シングル「Statue of Liberty」のB面曲。疾走するスカ・チューン。

「Heatwave」
シングル「This Is Pop」のB面曲。一瞬、Jamヴァージョンでもお馴染みのMartha Reeves & The Vandellasのヒット曲カヴァーを期待した方もいるのでは?でもこれは同名異曲です。Colin作のレゲエ・チューンです。

「Traffic Light Rock」
パンキッシュにキメてくれます。

「Instant Tunes」
シングル「Are You Receiving Me?」のB面曲。スカを基調にしたカッチョ良い仕上がりです。

ここまでがボーナス・トラックです。

「Into the Atom Age」
ここからはオリジナルLPのB面です。初期Jamと一緒に聴きたくなるカッチョ良さをもった1曲ですね。Barry Andrewsのオルガンがサイコーですな。
http://www.youtube.com/watch?v=VK3be-0s4O8

「I'll Set Myself On Fire」
Colin作。後年のXTCを予感させる"ひねくれポップ"に仕上がっています。

「I'm Bugged」
アヴァンギャルド加減でいえば、アルバムの中でもこの曲が一番なのでは?エスニックな雰囲気もあって実に興味深い1曲です。

「New Town Animal in a Furnished Cage」
「Spinning Top」
Andyらしいひねりが効いた、小気味良い仕上がりの2曲。

「Neon Shuffle」
最後は初期XTCらしいテクノ・ポップ的な雰囲気で締め括られます。AndyのギターとBarry Andrewsのオルガンの応酬がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=eFYnIx9mjbQ

個人的にはボートラ7曲は多すぎますね。オリジナル12曲にシングル「Science Friction」を加えた13曲くらいで聴いた方が、本作の持つ魅力をより実感しやすいのではと思います。

また、Todd Rundgrenプロデュースの『Skylarking』(1986年)を紹介できませんでした。僕の場合、XTCに限らず必ずしも好きな作品から紹介しているわけではないので(笑)。まぁ、楽しみは後にとっておきましょ!
posted by ez at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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