
発表年:2009年
ez的ジャンル:メロウ&ソウルフル系アングラHip-Hop
気分は... :ムーヴメントを巻き起こせ!
スポーツネタはWBC一色ですが、サッカーUEFAチャンピオンズリーグの準々決勝の組み合わせも決まりました。
「リヴァプール対チェルシー」、「バルセロナ対バイエルン・ミュンヘン」の2カードは決勝でもおかしくない好カードですね。一方、マンチェスターUは上記の4チームと決勝まで対戦せず、かなり有利な組み合わせとなりました。組み合わせだけ眺めると、マンチェスターU連覇の条件が揃ったように見えますが、個人的には準決勝で「マンチェスターU対アーセナル」が実現し、アーセナルに連覇を阻止して欲しいですね。
さて、今年の新譜の中からアングラHip-Hopでお気に入りの1枚、Move.Meant『Meant To Move』です。
Move.Meantは2000年にカリフォルニアで結成されたHip-Hopユニット。メンバーはDJ Spider、 Just Beats、 Champの3人。
2002年にシングル「The Rebirth」でデビュー。その後2003年に「Move.Meant EP」、2005年に「The Good Money EP」をリリースします。特に「The Good Money EP」収録された「Problems」は、第78回アカデミー賞作品賞に輝いた映画『Crash』でも使用されました。2006年にはオーストラリアのレーベルから1stアルバム『The Scope of Things』がリリースしています。
本作『Meant To Move』は彼らにとっての2ndアルバムとなります。まぁ、本作を実質的な1stアルバムと呼んでも構わないのかもしれませんが...
本作に関して、"Sound Providersあたりがお好きな人にオススメ!"といった説明をよく目にします。
本作にSound Providersと共通するメロウ&ジャジーなトラックが含まれていることは事実ですが、個人的にはメロウ&ジャジーと言うよりメロウ&ソウルフルという表現の方がMove. Meantには似合う気がします。本ブログで紹介した作品で言えば、Nicolay & Kay『Time:Line』あたりに通じる魅力がありますね。
彼ら自身は白人のHip-Hopユニットですが、ポジティブなメッセージとピアノを中心にした胸揺さぶるサウンドは、ヒューマンな温もりに溢れ、十分ソウルフルだと思います。
アングラHip-Hopの良作を探し始めると限りがありませんが、こういった作品に巡り会えるから止められませんね。
全曲紹介しときやす。
「Shoestrings」
プロローグ的な1曲目。メロウな仕上がりにアルバム全体への期待が高まります。
「What Goes Around(radio edit)」
アルバムからの先行シングル。この1曲を聴けば、本作およびMove.Meantの魅力を実感できると思います。Move.Meantらしいピアノを基調としたメロウなHip-Hopチューンに仕上がっています。ピアノHip-Hop好きの日本人にはかなりグッとくるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=4jsftOax-vI
「Myself In You」
この曲もピアノ・リフが効果的に使われています。メロウなアングラHip-Hop好きにとって、ど真ん中の1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=OsJkrbKsK6A
「Relax」
Mike Anthonyのヴォーカルをフィーチャー。哀愁を帯びた美しきソウルフル・チューンに仕上がっています。
「Sunset Sunrise」
感動的なピアノHip-Hop。この曲も日本人の感性にマッチしそうな仕上がり。タイトルの通り、サンセット・モードの仕上がりですが、メロウ&ジャジーでは片付けられないプラスαがありますな。
「Alphabeta」
ピアノを基調としたトラックが多いアルバムですが、この曲はジャズ・ギターのループを中心にした攻撃的なトラックが印象的です。
「Someday」
Silo & Trek Lifeをフィーチャー。オーケストレーションも聴かれるヒューマンなテイストの仕上がり。
「Git It Now」
Blu & Trek Lifeをフィーチャー。ピアノを基調にしながらも、硬質なビート感が目立つ仕上がりです。メロウ一辺倒ではないのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=F0f-HCgdEDo
「Miracle」
メロウ&ソウルフルといった表現がピッタリのソウルフルな魅力に溢れた1曲。こういった歌心のあるHip-Hopチューンって大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=swoz03kcLvI
「Problems」
シンセ・サウンドを取り入れた力強いトラックはアルバムの中でも異質ですね。でも、重くうねるビート感とヤバそうな疾走感がサイコー!
「Aaron's Joint」
この曲はSound Providers好きの人向け。ジャジーHip-Hopとして間違いない1曲です。アーバン・ナイトなジャジーHip-Hopを堪能しましょう。
「Rock Steady」
タイトルの通り、オールドスクール・テイストの仕上がりです。白人メンバーがこういった曲に挑む限界はありますが、その姿勢は買いましょう。
本曲は日本が誇るプロデュースチームVolta Mastersのリミックスでもお馴染みですね。Dave Brubeck Quartetでお馴染み「Take Five」ネタのジャジーでパーカッシヴな仕上がりで、オリジナルとは全く異なる印象です。
Move.Meant & Volta Masters「Rock Steady Remix」
http://www.youtube.com/watch?v=D6keGs51vCM
「Heather」
アーシーなトラックが印象的です。切なくソウルフルな味わいを堪能しましょう。
「Yesterday」
哀愁漂うコズミックなトラックがいい感じです。Champのメッセージもグイグイ迫ってきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=UkKe4u48p2g
「Can't Call It」
彼ららしいヒューマン・テイストに溢れた1曲。単にメロウで心地好いHip-Hopで終わらないところがMove.Meantの魅力でしょうね。
国内盤にはボーナス・トラックとして「Myself In You(Michitaro from Cradle Orchestra Remix)」が収録されています。Cradle OrchestraのメンバーMichitaroによるリミックスです。感動的なオーケストレーションが素晴らしいリミックスに仕上がっています。
「Myself In You(Michitaro from Cradle Orchestra Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=fuvaYbcVUUA
Cradle Orchestraは、瀬戸智樹とDJ ChikaによるジャパニーズHip-HopユニットCradleによるオーケストラ編成のプロジェクトです。今年1stアルバム『Velvet Ballads』をリリースしています。
Cradle Orchestra『Velvet Ballads』
Velvet Ballads
