発表年:2009年
ez的ジャンル:北欧系クラブ・ジャズ
気分は... :北欧が面白い...
当ブログでも紹介したRosalia De Souza『D'Improvviso』、Annett Louisan『Teilzeithippie』はじめ、今年に入ってから(UK以外の)欧州モノの新譜購入が多くなっています。
きっと僕自身がロック、ソウル/R&B以外の音楽を強く欲しており、そんな嗜好の反映かもしれません。ロック、ソウル/R&Bはもちろん好きですが、もっとスタイリッシュな音楽を欲しているのでしょう。周囲でウケがいいのもクラブジャス/クロスオーヴァー、ジャジーHip-Hop、ブラジル、ラテンだし...
そんな流れで最近よく聴いているのがIngela Jansson『All These Choices』、The Quiet Nights Orchestra『Chapter One』という2作品です。共にスウェーデン出身の新人アーティストであり、前述の作品が(世界)デビュー・アルバムとなります。
Ingela Janssonは、昨年ブレイクしたスウェーデン出身のキーボード奏者Roman Andrenの作品にも参加しているシンガーソングライターであり、『All These Choices』ではそのRoman Andrenがミックスを手掛けています。この情報だけで欲しくなる人もいるはず!
そして、もう1組が今日紹介するThe Quiet Nights Orchestraです。
The Quiet Nights Orchestraは、ストックホルムを拠点に活動するトロンボーン奏者Peter Fredrikssonを中心に結成されたアコースティック・ジャズ・バンド。
当初は3管(tb、tp、s)、リズム・セクション(p、b、ds)、パーカッション(per)という7人編成で活動し、『Prologue』、『Chapter One』という2枚の自主制作CDを国内リリースしていました。そして、女性ヴォーカリストSofie Norlingを加えた8人編成へパワーアップし、制作されたのが世界デビュー・アルバムとなる本作『Chapter One』です。
本作におけるメンバーは、Peter Fredriksson(tb)、Jonne Bentlov(tp、fl)、Magnus Dolerud(s)、Philip Neterowicz(key)、Peder Waern(b)、Carl Ottosson(ds)、Jacob Johannesson(per)、Sofie Norling(vo)の8名。
"フィンランドのThe Five Corners Quintetに対するスウェーデンからの回答"
というキャッチコピーで売り出しているようですが、確かにThe Five Corners QuintetやNicola Conteあたりがお好きな人であれば、間違いなく気に入る1枚だと思いますよ。
特に、全14曲中7曲でSofie Norlingの女性ヴォーカルが入っており、聴きやすく、メリハリもあります。
基本がストレート・アヘッドな演奏をベースとしたジャズ・バンドというのがいいですね。ベースがしっかりしたメンバーが、21世紀スタイルのモダンなクラブジャスを聴かせてくれるという点にグッときます。
今年のマイベスト10の有力候補となりそうな1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Looking East」
オススメその1。オープニングはアフロ・キューバンなラテン・ジャズ。低音ピアノとホーン隊のコントラストがいい感じ。昔ながらのラテン・ジャズに21世紀ジャズならではのスタイリッシュさが加わった感じがいいですね。
「Chapter One」
オススメその2。Sofie Norlingのピュアなヴォーカルが光るモーダルなワルツ・チューン。Sofieの素朴なヴォーカルはジャズ好きのみならず、SSW好きにもグッとくると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=cGjMyuaxmf0
「Swell」
オススメその3。アルバムで一番好き!クロスオーヴァー系クラブ・ミュージック好きにはたまらないハウシーなボッサ・ジャズ。エレガントな演奏にSofieのヴォーカルが彩りを添え、トランペット・ソロもキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=SFW3TpvAweU
「The Search」
オススメその4。みんな大好き!軽快なブラジリアン・ジャズ。ブラジリアン・フレイヴァーといっても、しっかりジャズしているところがいいですね。パーカッション・メンバーの存在が光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=iR-maHF3JzI
「New Friend」
ストレート・アヘッドな仕上がり。クラブジャズではなく、普通にジャズ・アルバムとしても楽しめます。
「Green Eyes」
Magnus Dolerudのサックスをフィーチャーしたロマンティックなバラード。うまく言えませんが、北欧ならではのロマンティック・ムードが伝わってきます。
「Stockholm」
Sofieのヴォーカル入りのモーダル・チューン。落ち着いた雰囲気が大人の夜を演出してくれそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=tmRnEkaB4WE
「The Aggressive」
オススメその5。ラテン・フレイヴァーのファンキー・チューン。60年代ジャズ・ロックに21世紀スタイルのスタイリッシュさが加わった感じですね。
「Sun」
オススメその6。クラブジャズ好きは気に入るであろうジャズ・ボッサ・チューン。タイトルの通り、太陽を光を浴びながら聴きたい1曲ですね。Sofieのヴォーカルも絶好調です。
http://www.youtube.com/watch?v=6_OUOkunSU8
「Helsinki」
オススメその7。アルバムからの先行シングルにもなった1曲。モーダルな中にボッサなスパイスが効いている、センス溢れる仕上がりです。パーカッシヴな感じがいかにも僕好み!
http://www.youtube.com/watch?v=n1-1ts337As
「Fly Me To The Moon」
オススメその8。Frank Sinatra、Anita O'Dayから宇多田ヒカル、椎名林檎まで数多くのアーティストが取り上げている超有名スタンダード・ナンバー(Bart Howard作品)。『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディング・テーマとしてもお馴染みですね。
そんな超有名曲をQuiet Nights Orchestraを大胆なアレンジでスタイリッシュに聴かせてくれます。ピアノとSofieのヴォーカルのみのスタンダード然とした出だしから、モーダル・チューンに切り換わる瞬間のスリリングなこと!その後のミステリアスな展開にもウットリです。これぞ21世紀ジャズ!という感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=xCvnLjsWdSo
「The Runner」
オススメその9。クラブジャズDJによって再評価が高まったLars Lystedt Sextetによる演奏のカヴァー(オリジナルはLars Lystedt Sextet『Jazz Under The Midnight Sun』収録、Berndt Egerbladh作品)。クラブジャズ好きには間違いないスリリングな1曲でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=nIE2d6fVdBA
「Quiet Nights」
オススメその10。Sofieのヴォーカルをフィーチャーしたクワイエット・ナイトな1曲。エレガントな雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bBrzPhuz-pk
「Helsinki(Nils Krogh Reworks)」
オススメその11。日本盤にはボーナストラックとして「Helsinki」のリミックスが収録されています。手掛けるのはスウェディッシュ・クラブジャズの旗手Nils Krogh。当ブログでも彼のデビューアルバム『Disposition』を紹介し、『ezが選ぶ2007年の10枚』に選出したほどお気に入りの1枚でした。そんな彼が手掛けた「Helsinki」のリミックスは、エレガントながらもフロアライクな仕上がりです。さすがですな。
Ingela Jansson『All These Choices』も近々紹介したいと思います。
欧州が面白いと言えば、今日からサッカーのUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝ですね。ちょうど今、「マンチェスターU対ポルト」、「ビジャレアル対アーセナル」を同時並行でTV観戦中!
アーセナルに勝ち進んで欲しいですが、ビジャレアルに先制点を奪われ苦戦中...大丈夫かいな?