2009年04月13日

King Sunny Ade『Synchro System』

ワールド・ミュージックの先駆者!☆King Sunny Ade『Synchro System』
Synchro System
発表年:1983年
ez的ジャンル:ジュジュ・ミュージック
気分は... :衝撃のトーキング・ドラム...

今日はワールド・ミュージックの先駆者King Sunny Adeの世界デビュー第2弾アルバムKing Sunny Ade『Synchro System』(1983年)です。

King Sunny Adeは、1946年ナイジェリアのヨルバ族の王家に生まれました(彼が広く世に知らしめた"Juju Music"は、ヨルバ族によって創り上げられた音楽です)。1974年には自らのレーベルを立ち上げ、ナイジェリア国内で多くの作品をリリースするようになります。

1982年にはIslandから世界デビュー作『Juju Music』、さらに翌年には第二弾『Synchro System』をリリースし、一躍世界中の注目を浴びる存在となります。1985年には来日公演も果たし、日本でも大いに盛り上がりました。

IslandのChris Blackwellは、Bob Marleyの死(1981年)を受けて新たな第三世界のヒーローを探しており、白羽の矢を立てたのがKing Sunny Adeでした。

1980年代後半のワールド・ミュージック・ブームの頃には、Youssou N'DourSalif Keita等の後続アーティストの陰に隠れてしまいましたが、現在も活動を続ける"ジュジュの王様"です。

本作『Synchro System』は、当時高校生だった僕にとってもかなり衝撃的な1枚でしたね。

僕が聴いた最初のアフリカン・ミュージックであり、とにかくトーキング・ドラムの響きに鳥肌が立った記憶があります。同時に、ロック、ソウル、ジャズ、レゲエ以外にも素晴らしいポピュラー・ミュージックがあることを認識することができました。

音楽評論家がこぞって大絶賛していましたね。当時僕が愛読していた某音楽雑誌では、殆どの評論家が年間ベスト10に『Juju Music』又は『Synchro System』をピック・アップしていました。

ナイジェリア出身のミュージシャンと言えば、King Sunny Ade以前にもFela Kutiがいます。しかしながら、この両者はかなり異なる印象を受けます。

Fela Kutiには、政府との対決姿勢を鮮明にした"反逆の異端児"というイメージがあります。一方、King Sunny Adeは"ジュジュ・ミュージックのエンターテイナー"というイメージですね。

サウンド的にも、Fela Kutiのアフロ・ビートが煽動的なブラック・ミュージックのイメージに対して、King Sunny Adeのジュジュ・ミュージックはワールド・ミュージックという言葉が似合う気がします。

King Sunny Adeの世界デビューに際しては、ワールド・ミュージックの仕掛人Martin Messonierがプロデュースを務めています。ナイジェリアのジュジュ・ミュージックと西洋の最新テクノロジーを駆使したサウンドが合体した音楽を、"シンクロ・システム(Synchro System)"とAde自身は呼んでいました。

このMessonierの関与を"Ade本来の魅力を半減させてしまう"ということで嫌う人もいますが、僕は全然気になりません。Papa Wemba『Papa Wemba』Cheb Khaled『Kutche』Amina『Yalil』等Martin Messonierプロデュース作は基本的に嫌いじゃないので。

ワールド・ミュージック的な聴き方をしなくても、アフロ・エレクトロなダンス・ミュージックとして十分楽しむことができると思います。

全曲紹介しときやす。

「Synchro Feelings - Ilako」
アフロ・エレクトロなこのオープニングでヤラれてしまいます。トーキング・ドラムの響きは民族楽器という古臭いイメージではなく、フューチャー・サウンドという印象がありましたね。今聴いてもその印象は全く変わりません。

「Mo Ti Mo」
レゲエやカリプソにも通じる楽園モードな1曲。アフリカ音楽の温かみを感じる仕上がり。

「Penkele」
アフリカン・ミュージックの伝統を継承しつつも、コズミックな広がりがあるのがいいですね。

「Maajo」
僕が最初に聴いたジュジュ・ミュージックがFMラジオで聴いた本曲でした。Messonierによる電子サウンドとトーキング・ドラムの絡みが独特のダイナミズムを生み出すサイコーのダンス・ミュージックだと思います。♪マジョー、マジョー♪の連呼は空耳アワーにも使えそう(笑)

「Synchro System」
タイトル曲はアフロ・コズミックとして人気の1曲。まさにジュジュ・ミュージックと西洋の最新テクノロジーが見事に合体した"シンクロ・システム"になっています。

「E Saiye Re」
今聴くと、一番カッチョ良いのはこの曲かも?ギターとパーカッションが生み出す覚醒的なグルーヴは、今時リスナーが聴いてもグッとくると思います。

「Tolongo」
この曲も覚醒的なグルーヴ感に溢れていますね。エレクトロではないのに、エレクトロ的な魅力に溢れている不思議な曲。

「E Wele」
トロピカル・モードな1曲。基本的にAdeの音楽って聴いているだけで、明るく陽気になれるのがいいですね。晴れモードの音楽としてサイコー!

「Synchro (Reprise) 」
タイトル曲のリプライズ。このあたりはMessonierらしいですね。

最近はアフリカの音楽動向を殆ど把握していませんが、たまにCDショップでアフリカ音楽のコーナーを覗き、適当に試聴してみると新旧問わず(ダンス・ミュージックとして)結構面白い作品があります。

アフリカ音楽については、ワールド・ミュージック・ブームの頃に買い漁った作品の中に結構お気に入り作品があるので、ボチボチ紹介していきたいと思います。ただし、アーティストや作品に関する情報が殆どないので、記事にするのが大変そうですが...
posted by ez at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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