発表年:2009年
ez的ジャンル:スウェディッシュSSW
気分は... :シンプル&ナチュラル
今日はスウェーデン出身のシンガーソングライターIngela(Jansson)のデビュー・アルバム『All These Choices』です。
以前にThe Quiet Nights Orchestra『Chapter One』の記事でも少し触れた、期待の若手シンガーソングライターです。
Ingela Janssonを語るうえで欠かせないのが、Roman Andrenの存在かもしれませんね。本人は迷惑かもしれませんが(笑)
昨年ブレイクした同じスウェーデン出身のキーボード奏者Roman Andrenのアルバム『Juanita』にIngelaは参加しています。本作『All These Choices』でも、そのRoman Andrenがミックスを手掛けています。
ただし、Roman Andren作品のような、思い切りブラジリアン・フュージョンしているサウンドを期待すると、肩透かしを喰うかもしれません。
一部、ブラジリアン・サウンドの曲もありますが、ジャズ、フォークの要素が強いシンプル&ナチュラルなシンガーソングライター・アルバムに仕上がっています。
話が少し逸れますが、スウェーデンと言えば、デザイン先進国として知られています。
IKEA、H&Mといった日本進出で話題になっているスウェーデン企業も、優れたデザインと低価格を同時実現することで成功を収めていますよね。
そんなデザイン力に強みを持つスウェーデン企業を取材したTV番組が昨晩放送されていましたが、いろいろな意味で興味深い内容でした。
単に形がスタイリッシュというのではなく、機能性や使い心地を重視したシンプルなデザインがスウェディッシュ・デザインが特徴といったところでしょうか。
そんなスウェディッシュ・デザインに通じる、シンプル&スタイリッシュな魅力が本作『All These Choices』にも溢れています。
US、UKのシンガーソングライターには無いフレッシュな印象を受ける1枚ですよ!
全曲紹介しときやす。
「When I Just Want You」
オープニングはブラジリアン・フォーキー・チューン。クラブ系の音が好きな人ならば、間違いなく気に入るフォーキー・グルーヴだと思います。途中のエキゾチック&ミステリアスな展開はIngelaの個性かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=PgmMu-S_4dY
「Don't Give Me Up」
Ingelaのシンプル&ナチュラルな魅力がよく出た1曲。Yael Naim(AppleのCM曲で注目されたフランス出身、イスラエル育ちのSSW)を引き合いに出されることが多いIngelaですが、この曲あたりはそんな雰囲気があるかもしれませんね。
「All These Choices」
タイトル・チューンは憂いを帯びたトラッド・フォーク的な仕上がり。この淡々とした哀愁感が新鮮に聴こえるから不思議です。
「In A Strong Womens Shoes」
本作にRoman Andrenのような音を求める人であれば、一番フィットするのが本曲。僕もなんだかんだ言っても、このブラジリアン・グルーヴが一番のお気に入りです。
「Life Goes On」
ジャズ・テイストもIngelaの持ち味のようです。このスウィンギーな魅力は先日紹介したThe Quiet Nights Orchestraに通じるものがあります。
「Sun Came」
幻想的な雰囲気が魅力の1曲。音数の少なさが実に効果的だと思います。北欧で眺める太陽って幻想的なのかもしれませんね。
「Talking Eyes」
この曲もシンプル&ミステリアス。ジャケ・デザイン同様、余白を味わう曲という印象を受けます。
「Misery Maker」
この曲もYael Naim的な雰囲気の曲ですね。iPodあたりのCMに流れていても違和感ないかもしれませんね(笑)
「Black Pepper Song」
この曲は絶品ですね。アコギの弾き語りでこれだけ独特の雰囲気を出せるあたりにIngelaの才能を感じます。リズム隊やホーン隊が加わり徐々に盛り上がっていく中盤以降の展開もグッド!
「Your Words」
ラストは気だるいジャジー・チューンで締めくくります。美しいピアノと悲しげなホーン隊をバックに歌うIngelaの声を聞いていると、僕にはRickie Lee Jonesの歌声が重なります。
音楽もビジネスもスウェーデンから目が離せませんね。