発表年:2009年
ez的ジャンル:UKジャズ・ファンク
気分は... :選曲にニンマリ!
今日はDan Baker(g、org)、Rich Baker(ds)、Chris Pedley(g、b)というトリオ編成のUKジャズ・ファンク・グループThe Baker Brothersの最新作『Avid Sounds』です。
この新作を聴きながら、7月の来日公演を心待ちにしている方もいるのでは?
The Baker Brothersの紹介は『Transition Transmission』(2008年)に続き2回目になります。
前作『Transition Transmission』は、『ezが選ぶ2008年の10枚』にセレクトしたほどのお気に入り作だったので新作を待ちわびていたのですが、意外と短いスパンで最新作『Avid Sounds』が届けられ嬉しい限りです。
4thアルバムとなる本作はファンク・チューンを中心としたカヴァー集です(1曲のみオリジナル)。レア・グルーヴ好きの人は、曲リストを眺めただけでも思わずニンマリしてしまうはずです。
『Transition Transmission』からの流れでヴォーカル入りの曲が多く、その分聴きやすい作りになっています。
基本的にはオリジナルの雰囲気を受け継いだ演奏が多いですね。勿論、そこに今時のUKジャズ・ファンクらしさが加味されていますが。
カヴァー・アルバムの中には安易な企画のものもありますが、本作や先日紹介したLeela Jamesの全曲カヴァー・アルバム『Let's Do It Again』等は、カヴァー・アルバムでありながらしっかりアーティストの個性が出ているのがいいですね。
その意味で『Avid Sounds』にはBaker Brothersらしい熱いファンキー・ミュージックがぎっしり詰まっています。
オリジナルを知っている方は聴き比べてみるのと楽しいし、知らない方はこれを機会にオリジナルも聴いてみると楽しさ倍増になると思います。
全曲紹介しときやす。
「Family Tree」
オリジナルは女性ヴォーカリストSharon BrownをフィーチャーしたFamily Treeによるファンク・チューン(1976年)。 ガラージ・クラシックとして人気が高く、Norman CookによるDisco Editもリリースされています。
本カヴァーでは西ロンドンのクラブシーンではお馴染みの女性ヴォーカリストVanessa Freemanをフィーチャーしています。オリジナルと比べて、よりスマートな仕上がりになっています。フルートの音色が印象的ですね。
Family Tree feat. Sharon Brown「Family Tree」
http://www.youtube.com/watch?v=pa135zzqf3w
「Shack Up」
オリジナルはBanbarraによるファンキー・ソウル(1975年)。定番ドラムブレイクとしてお馴染みですね。あるいはA Certain Ratioによるカヴァーでお聴きの方もいるのでは?本カヴァーではカッチョ良いオルガン・グルーヴに仕上がっています。Rich Bakerによるブレイクもばっちりキマっています。
Banbarra「Shack Up」
http://www.youtube.com/watch?v=Q8Y5J3WkgZs
「Couldn't Get It Right」
オリジナルはClimax Blues Bandによる1976年のヒット曲。サビの少しイナたい感じがいいですよね。オリジナルがお好きな方ならば本カヴァーも気に入るはず!
Climax Blues Band「Couldn't Get It Right」
http://www.youtube.com/watch?v=BgjSEbyWDeI
本作とは関係ありませんが、Climax Blues Band「I Love You」の動画がYoutubeにあったので紹介しておきます。僕にとっては青春の思い出が詰まった1曲なもので...
Climax Blues Band「I Love You」
http://www.youtube.com/watch?v=sZub3M3jSdw
「Space Funk」
オリジナルはレア・グルーヴ・ファンやHip-Hopファンに人気のManzelによるスペイシー・ディスコ(1977年)。本カヴァーはシンセの音色がスマートな分、多少オリジナルとは異なる雰囲気の仕上がりかもしれません。ボーナス・トラックとしてFreefall Collectiveによるリミックスも収録されています。こちらもなかなかの出来です。
Manzel「Space Funk」
http://www.youtube.com/watch?v=9LJKlY7E8OU
「Street Player」
Rufus & Chaka Khanのヴァージョンでもお馴染み、Chicago作品のカヴァー(1977年、アルバム『Chicago 13』収録)。リミックスはガラージ・クラシックとしても人気がありますね。本カヴァーは、クラブ系リスナーに人気のデュオTalcをフィーチャーしており、実にスタイリッシュな出来栄えです。オリジナル同様、ホーン隊が大活躍しているのは勿論のこと、後半のブラジリアン・フュージョン的な展開も僕好みです。
Chicago「Street Player」
http://www.youtube.com/watch?v=zO80gvxPvBs
Chicago「Street Player(Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=F9mdQjmHxbs
「Rock Creek Park」
The Blackbyrdsのカヴァー(1975年、アルバム『City Life』収録)。レア・グルーヴやサンプリング・ネタとしてお馴染みの1曲ですね。本カヴァーは女性ヴォーカルをフィーチャーした爽快な仕上がりです。
The Blackbyrds「Rock Creek Park」
http://www.youtube.com/watch?v=Z9YgWDMsAEI
「Lady Day & John Coltrance」
当ブログでも紹介したGil Scott-Heronの名曲カヴァー(1971年、アルバム『Pieces Of A Man』収録)。オリジナル同様、心地好い疾走感を堪能できます。
Gil Scott-Heron「Lady Day & John Coltrance」
http://www.youtube.com/watch?v=cMFN2e4wMnw
「Fly Like An Eagle」
Steve Miller Bandの1977年の大ヒット曲をカヴァー。若い世代のリスナーの方にはサンプリング・ネタとしてもお馴染みですね。Chris Pedleyのヴォーカルがオリジナルの雰囲気にそっくりです。今までさほど好きな曲ではなかったのですが、本カヴァーを聴いていたら素晴らしい曲だと思いはじめているので不思議です(笑)
Steve Miller Band「Fly Like An Eagle」
http://www.youtube.com/watch?v=6zT4Y-QNdto
「Cola Bottle Baby」
オリジナルはEdwin Birdsongが1979年にリリースしたファンキー・ディスコ・チューン。Daft Punk「Harder, Better, Faster, Stronger」の元ネタ、つまりKanye West「Stronger」の元ネタの元ネタ(ややこしい?)としてお馴染みですね。Daft Punkのイメージが強いので、本カヴァーを聴いていると生演奏による人力Daft Punkって感じに聴こえて面白いですな。
Edwin Birdsong「Cola Bottle Baby」
http://www.youtube.com/watch?v=sklZ-f6Wstw
「The Mexican」
Ennio Morricone作品(映画『夕陽のガンマン』より)。本カヴァーはBabe Ruthによるカヴァー(1972年)がベースになっていると思います。Katie Holmesの女性ヴォーカルをフィーチャーしたスパニッシュなファンク・チューンに仕上がっています。
Babe Ruth「The Mexican」
http://www.youtube.com/watch?v=LPVI73Ocxg8
「Blandford Super Fly」
ラストは本作唯一のオリジナル。本作唯一メンバーのみの演奏によるスペイシーなインスト。各メンバーのソロを堪能できます。
今日から大型連休みたいですね。
周囲に大型連休となる人がいないので全然ピンときませんが...
僕も今日はフツーに仕事です(泣)