
発表年:1974年
ez的ジャンル:偉大なるロック詩人
気分は... :偉大なる復活...
偉大なるロック詩人Bob Dylanの5回目の登場です。
これまで当ブログで紹介したDylan作品は以下の4枚です。
『Bringing It All Back Home』(1964年)
『Highway 61 Revisited』(1965年)
『The Basement Tapes』(1975年)
『Hard Rain』(1976年)
5枚目に紹介するのは、70年代におけるDylan復活の第一歩となった作品『Planet Waves』(1974年)です。
熱心なDylanファンではない僕ですが、今日は無性に70年代のDylan作品を聴きたい気分です。
以前にも書きましたが、個人的にはBob Dylanの全キャリアの中で『Planet Waves』(1974年)、『Before the Flood』(1974年) 、『Blood on the Tracks』(1975年)、『Desire』(1976年)、『Hard Rain』(1976年) という70年代中期の5作品が一番好きです。
70年代のDylanは、『Self Portrait』(1970年)、『New Morning』(1970年)、『Pat Garrett & Billy the Kid』(1973年)、『Dylan』(1973年)とアルバムをリリースしていましたが、どこか物足りなさの残る活動状況でした。
そんなDylanが完全復活への道を歩み始めたのが、本作『Planet Waves』(1974年)です。
『Planet Waves』は、CBSからAsylumへ移籍した直後の移籍第一弾アルバムであり、The Bandが全面バックアップしたアルバムです。1960年代からセッションを重ねてきたDylanとThe Bandですが、正式リリースされる作品でガッチリとタッグを組んだのは本作が初めてでした。
本作のリリース直後に、The Bandを従えた約8年ぶり全米ツアーを開始します。結果、アルバムはDylan初の全米アルバム・チャート第1位に輝き、ツアーも史上最大規模の動員を記録しました。こうしてDylanは"偉大なる復活"を遂げ、充実の70年代を突き進んでいくことになります。
やはり、The Bandの全面バックアップというのが魅力ですね。気心知れたメンバーをバックに、リラックスしつつも、前進することを決意したDylanの姿を感じ取れる作品だと思います。阿吽の呼吸で素晴らしい演奏を聴かせてくれるThe Bandの演奏もサイコー!
派手な作品ではありませんが、確かな手応えがある作品だと思います。
当時のDylanは占星術に凝っており、その影響が『Planet Waves』というタイトルにも反映されています。
全曲紹介しときやす。
「On a Night Like This」
邦題「こんな夜に」。シングルにもなったオープニング。軽快なカントリー調の仕上がり...と僕の嫌いなパターンなのはずですが、Dylanが歌うとホンワカした芋臭さが打ち消されるのでO.K.です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=GEdbALYVTY8
「Going, Going, Gone」
再び歩み始めたDylanの決意表明のような1曲。噛み締めるようなDylanの歌と、それに呼応するかのようなRobbie Robertsonのギターに相当グッときます。アルバムで一番好きな曲かも?
http://www.youtube.com/watch?v=5xXdwOGNn0E
Richard Hell & the VoidoidsやSon Voltがカヴァーしています。
Richard Hell & the Voidoids
http://www.youtube.com/watch?v=hPuFM7GDDZ8
「Tough Mama」
Dylanらしい曲作りが堪能できるロックン・ロール。Garth Hudsonのオルガンがアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=-b-F_RtIIXA
「Hazel」
ストレートなラブソング。♪僕にとても欠けてるものが君にはある...♪ベタな感じですが好きです!
http://www.youtube.com/watch?v=RDmX5-BpGlg
「Something There Is About You」
これぞDylanとThe Bandの共演!という感じのアーシーなロック・チューン。Dylanのクセのある歌い方がたまりません。邦題「君の何かが」。
http://www.youtube.com/watch?v=lRaKB0RJ_N4
「Forever Young」
本作のハイライトとなる名曲中の名曲。この代表曲はDylanの息子のために書かれたものだそうです。スロー・ヴァージョンとファスト・ヴァージョンがありますが、こちらはスロー・ヴァージョン。♪いつまでも若く♪いつまでも若く♪かつてはこのフレーズを他人事のように聴いていた僕ですが、気付くと相当グッとくる歳になってしまいました(笑)。個人的にはThe Band『The Last Waltz』での演奏の印象が強いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HIhutqd2WYY
Bob Dylan & The Band「Forever Young/Baby Let Me Follow You Down(Live)」
http://www.youtube.com/watch?v=1TLygQpSiyU
再結成後のThe Bandが再びレコーディングしています(アルバム『High on the Hog』収録)。また、Joan Baez、Johnny Cash、The Pretenders、Diana Ross、Patti Labelle等数多くのアーティストがカヴァーしています。Rod Stewart「Forever Young」はどのように説明したらいいのですかね(笑)
Patti Labelle「Forever Young」
http://www.youtube.com/watch?v=Nbb5bLuYtrg
「Forever Young (Continued) 」
こちらはファスト・ヴァージョン。オリジナルLPで言えば、スロー・ヴァージョンがA面のラスト、このファスト・ヴァージョンがB面1曲目となります。
http://www.youtube.com/watch?v=kvTkspOc36Q
「Dirge」
邦題「悲しみの歌」。タイトルの通り、悲しげな仕上がりです。Robbie Robertsonの哀愁ギターが味わい深いです。
http://www.youtube.com/watch?v=eu9DNP1R-RM
「You Angel You」
邦題「天使のような君」。このカントリー調のラブソングもかなり好き。DylanとThe Bandによる息の合った演奏を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=oO42wAH5Kp8
Manfred Mann's Earth BandやThe Alpha Band(T-Bone Burnettがいたグループ)などがカヴァーしています。
The Alpha Band「You Angel You」
http://www.youtube.com/watch?v=Aii2uZFoqnU
「Never Say Goodbye」
邦題「さよならと云わないで」。この曲もカントリー調のラブソングに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=8OFhAWtrkCs
「Wedding Song」
タイトル通りの求愛ソングです。ギターとハーモニカのみの弾き語りでぶっきらぼうに歌われますが、かなり熱烈な求愛です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=uH6kDgUysKA
The Bandを従えた約8年ぶり全米ツアーの模様は、ライブ・アルバム『Before the Flood』(1974年)に収録されています。
YouTubeでボブ・ディランの『Planet Waves』が全曲聴けるとはいい世の中になったものです。
さて、このアルバムが発表された時、昔からの熱狂的なディランのファンからは「ディランがザ・バンドを率いているのではなく、まるでザ・バンドのメンバーになってしまったような印象だ」と批判的な見解が示されたそうです。ディランもザ・バンドも好きな私のような人間はこのアルバムに好感を持ったものですが、昔ながらのディランの信者はそう簡単に納得できなかったようですね。
ニュー・ライダーズ・オブ・ザ・パープル・セージも『You Angel You』をカヴァーしていました。これもなかなか味のあるカヴァーだと思います。
ありがとうございます。
> まるでザ・バンドのメンバーになってしまったような印象だ
『Planet Waves』って、同じ70年代作品の中でも『Blood on the Tracks』、『Desire』あたりと比べて評価が低い感じがするのですが、そのあたりが影響しているのですかね。僕はどの作品も同じように好きですが。
> ニュー・ライダーズ・オブ・ザ・パープル・セージも
そうですね。New Riders Of The Purple Sageのカヴァーもありますね。
Dylan作品はどの曲も有名・無名を含めて数多くのカヴァーがあるので、
どのカヴァーが好きかを挙げると各々の嗜好が出て楽しいですね。