2009年05月13日

Caron Wheeler『UK Blak』

UKソウル/クラブ・ミュージックの金字塔☆Caron Wheeler『UK Blak』
Caron Wheeler.jpg
発表年:1990年
ez的ジャンル:UKソウル/クラブ・ミュージック
気分は... :BlackよりもBlak!

今日は90年代のUKソウル/クラブ・ミュージック好きであれば、マストな1枚Caron Wheeler『UK Blak』(1990年)です。

Caron Wheelerは1963年生まれのジャマイカ系イギリス人女性シンガー。

Soul II Soulの世界的大ヒット「Keep On Movin'」「Back to Life (However Do You Want Me)」のリードヴォーカルを務めたことで一躍注目を浴びたCaronですが、音楽活動のスタートはジャマイカ系イギリス人らしくレゲエ・ヴォーカル・グループBrown Sugarでした。

ちなみにBrown Sugarには当ブログでも紹介したKofiも在籍していました。そして、Caronに続きKofiSoul II Soulの3rdアルバム『Volume III Just Right』(1992年)でフィーチャーされ、フリーソウル・クラシックとしても有名なDionne Warwick「Move Me No Mountain」のカヴァーを歌っています。

Caronに話を戻すと、「Keep On Movin'」「Back to Life (However Do You Want Me)」の大ヒットおよびグラミー受賞を置き土産にグループを離れてソロ活動を開始し、Caron Wheeler『UK Blak』(1990年)、2nd『Beach of the War Goddess』(1993年)という2枚のアルバムをリリースしています。、

今日紹介するソロ第1作『UK Blak』(1990年)は相当インパクトがありましたね。

僕の場合、同じく今でも愛聴しているUKソウル、Mica Paris『Contribution』と共に毎日のように聴いていた記憶があります。これら2枚を聴いたせいで、当時のUSのR&B作品が陳腐に思えた時期があったほどでした。

多くの方はSoul II Soulの延長線にあるグラウンドビートおよびUKクラブ・ミュージックを期待していたと思いますが、出来上がった作品はその期待を遥かに上回るものだったのでは?

ロンドンのみならずN.Y.やジャマイカから、UKソウル、クラブ・ミュージック、レゲエ、ハウス、Hip-Hopの各方面からプロデュース/リミックス陣を集め、ジャンルの壁を超えたUKソウル/クラブ・ミュージック作品を創り上げたという感じですね。当時の最新クラブ・ミュージックが凝縮された1枚と呼べるのでは?

さらに黒人としてのアイデンティティやアフリカへの想いを、最新クラブ・ミュージックと見事に結合させている点も本作を名盤に押し上げている大きな要因だと思います。タイトルにもそんな思いが反映されていますよね。

今聴いてもワクワクするUKソウル/クラブ・ミュージックの金字塔だと思います。

全曲紹介しときやす。

「UK Blak」
タイトル曲は、UKアーバン・ファンクを代表するグループLoose EndsのメンバーCarl McIntoshがプロデュースし、Twilight Firmがリミックスを担当しています。多くのファンが彼女に期待していたであろうグラウンドビートに仕上がっています。Steely & Clevieによるレゲエのリミックス(Steely & Clevie Ragga Rub)もありました。
http://www.youtube.com/watch?v=Mw9ZfpiY4J8

「Livin' In The Light (The Remix) 」
後述するJungle BrothersAfrika Baby BambaataaがプロデュースしたオリジナルにBlacksmithがリミックスを施したもの。もしかしたら、オリジナル以上にUKソウルらしいこちらのリミックスの方がお馴染みかもしれませんね。UKソウル/クラブ・ミュージック好きの人であればBlacksmithのリミックスというだけでグッときますからね。
http://www.youtube.com/watch?v=0jl4PPFSB2M

本曲のリミックスと言えば、N.Y.ハウスのトップ・プロデューサーDavid MoralesによるThe Larger Than Light Mixもあります。

「Blue (Is The Colour Of Pain)」
Soul II Soulの流れを汲むグラウンドビート。後年Roisin Murphyと男女デュオMolokoを結成し、ロンドンのクラブ・シーンで人気を博したMark Brydonがプロデュース。よりフロア仕様になったリミックスSpecial FX 12も僕のお気に入り。
http://www.youtube.com/watch?v=yV5g2YRFlGI

本作からは脱線しますが、当ブログでMolokoを紹介する機会は滅多にないと思うので何曲が紹介しておきますね。
Moloko「The Time Is Now」
 http://www.youtube.com/watch?v=kl8mpAvTm_Y
Moloko「Familiar Feeling」
 http://www.youtube.com/watch?v=7Sxa8kca05A

「No Regrets」
かなりのお気に入り曲。NJS調のファンク・チューン(Blacksmithプロデュース)。あくまでもテイストはUKソウル/クラブ・ミュージックって感じがグッド!このあたりはさすがBlacksmithって感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=uToQxYpmTqY

「This Is Mine」
MC Mell'O'のラップをフィーチャーしたBlacksmithプロデュース曲。いかにもUKクラブ・ミュージックらしい仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=-oVy7MJAOmI

「Don't Quit」
ジャマイカ系イギリス人のCaronらしい汎カリブ的フォーキー・チューン。Aswad、Steel PulseというUKレゲエを代表する2大グループに在籍していたギタリストJimmy Haynesがプロデュースしています。そのJimmy HaynesよるリミックスThe Livin' Bella Mixもオリジナルとは異なる雰囲気で楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=S6P-5cI7PG8

「Enchanted」
Raymond Simpsonがプロデュースし、ヴォーカルでも参加しています。Raymond Simpson(Ray Simpson)はValerie Simpson(Ashford & Simpson)の弟であり、「YMCA」でお馴染みVillage Peopleのメンバー(2代目Policeman)です。こんなことを書くと先入観ができてしまうかもしれませんが、アーバン&セクシーなミッド・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=SW0V2rg9SZo

「Never Lonely」
前述の黒人としてのアイデンティティが当時の最新クラブ・サウンドとうまく結びついていた典型。Twilight Firmプロデュース。

「Song For You」
Jimmy Haynesプロデュースによるバラード。単なるソウル・バラードではない、ヒューマンな感動があります。

「Somewhere」
アルバムの中でも異色の仕上がり。アカペラによる素晴らしいコーラスワークを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=NG_lmlGpI_8

「Proud」
レゲエ・シーンを代表するジャマイカ人プロデュース・チームSteely & Clevieが手掛けたレゲエ・チューン。元Brown SugarのCaronにしてみれば、レゲエ・チューンはお手の物といった感じですね。

「Kama Yo」
Caronのアフリカへの想いが最も強く反映された曲。タイトルにもあるようにヨルバ語も登場します。よりフロア仕様になったリミックス(Club Rub)もグッド!Twilight Firmプロデュース。

「Jamaica」
Steely & Clevieプロデュース2曲目。タイトル通り、思い切りレゲエしています。ラヴァーズ・ロックがお好きな人であれば気に入ると思います。

「Livin' In The Light (The Original Story)」
先にBlacksmithのリミックスを紹介した「Livin' In The Light」のオリジナル。Afrika Baby BambaataaによるHip-Hopなオリジナルが、Blacksmithの手によりUKクラブ・ミュージックへ変貌し、それをDavid MoralesがN.Y.のクラブ仕様へ更に進化させる、というプロセスが実に興味深いですよね。この流れをみても本作が"ソウル"の範疇では語りつくせないことがわかると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=jnssai--_OA

本作に比べると一般的な評価が極めて低いですが、2nd『Beach of the War Goddess』(1993年)も大好きです。よりアフリカ的な要素が打ち出されていますが、如何せん地味な印象がマイナスなのでしょうね。その後のCaron Wheelerはフィーチャリング・ヴォーカリストとして見かけるぐらいで、フェードアウトしてしまいましたね。

Toshi(久保田利伸)によるGrover Washington Jr.「Just the Two of Us」のカヴァーでCaronがフィーチャーされたのは複雑でしたね。かつては久保田の大ファンでライブにも頻繁に行った僕ですが、何故かこのカヴァーは素直に聴けませんでした。今になって聴くと、これはこれで悪くないかなぁ、とも思います(笑)

Toshi feat. Caron Wheeler「Just The Two Of Us」
 http://www.youtube.com/watch?v=3vIMgQFTxrk
posted by ez at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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