発表年:1996年
ez的ジャンル:ブルース系ハードコア・パンク
気分は... :44年前のDylanの映像を観ながら...
昨日、Bob Dylanの1963〜1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルの映像を観ました。やはり、1965年のステージの映像は何度観てもインパクトがありますね。悲しげに「It's All Over Now, Baby Blue」を歌うDylanの姿は忘れられません。
フォークを進化させるためのロックを採り入れた新しいサウンドを提示してみせたBob Dylanと、昔ながらのフォークを求めてDylanに容赦ないブーイングを浴びせる聴衆...新しい音楽が生まれた歴史的瞬間でした。
70年代のパンク/ニューウェイヴ、80年代後半のHip-Hopやハウス等を振り返っても、新しい音楽が生まれる時には新旧の価値観がぶつかるものです。音楽の嗜好なんて十人十色なので、何が良くて、何が悪いなんて野暮なことを言うつもりはありません。しかしながら、好き嫌いは別として、これらの音楽が一定以上の人に受け入れられ、1つの音楽ジャンルとして認知されたことは紛れもない事実だと思います。
新旧の音楽に対して扉を開けている、"音楽年齢不詳"の柔軟な感性を持っていたい!
44年前のDylanの映像を観ながら、改めてそんな思いを強くした次第です。
やはり、Dylanは偉大ですな。
さて、今日は僕のロック観に進歩をもたらしてくれたアーティスト、Jon Spencer(vo、g)、Judah Bauer(vo、g)、Russell Simins(ds)の3人によるハードコア・パンク・トリオThe Jon Spencer Blues Explosion(JSBX、現Blues Explosion)の3回目の紹介です。
『Extra Width』(1993年)、『Orange』(1994年)に続いて紹介するのは、4thアルバム『Now I Got Worry』(1996年)です。
ロック離れ傾向の強い僕ですが、カッチョ良い90年代アメリカン・ロックを聴きたい気分の時、ファースト・チョイスとして選ぶのがJSBXです。
当初、今回は実験的なブルース・サウンドが特徴の『Acme』(1998年)を紹介しようと思っていたのですが、聴き直してみて今の気分にフィットしなかったので、急遽『Now I Got Worry』(1996年)へ変更しました。今の気分は、よりハードなサウンドを求めているようです。
『Now I Got Worry』はブレイクした『Orange』(1994年)に続いてリリースされた作品であり、前作でのハードコア・パンクがブルースと化学反応して大爆発したハイテンション・サウンドに加え、Hip-Hop的アプローチのサウンドも聴かれる意欲作でした。
Beastie Boys作品等でお馴染みのプロデューサー/キーボード奏者Money Markや伝説のブルース/ソウル・シンガーRufus Thomas等がゲスト参加しています。
Hip-Hop的アプローチのオルタナ・ロックという点で、当時はG. Love & Special Sauceあたりと一緒に語られることが多い作品であったと記憶しています。今聴くと、Hip-Hop的アプローチの部分は一部であり、全体としては荒々しくハイテンションながらよく練られたアルバムという印象を受けます。また、ジャケのように全体を貫くダークなトーンも印象的です。
最初から最後までハイテンションで突っ走ります!
全曲紹介しときやす。
「Skunk」
ア〜ッ、アッ、アッ!の絶叫と共にアルバムを幕を開けます。全体としてはダークな雰囲気が支配しています。とにかくインパクト十分!
「Identity」
ハイ・スピードのハードコア・パンク!狂ったようなテンションの高さがJSBXらしいですね。
「Wail」
本作ならではの完成度の高さが窺えるよく練られた1曲。キャッチーなギターリフがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=YSsE65z5W0o
「Fuck Shit Up」
かつてはBeck等も在籍していたK Recordsを率いるCalvin JohnsonのグループDub Narcotic(D.N.S.S.:Dub Narcotic Sound System)のカヴァー。D.N.S.SとJSBXは後に共演作品もリリースしています。ブレイクビーツ的なアプローチによる意欲作に仕上がっています。
「2 Kindsa Love」
シングルにもなった曲。ハードかつノイジーなサウンドがいいですね。PVではテルミンを駆使するジョン・スペの姿も観ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=cbwxLGohUM0
「Love All of Me」
ストレートなパンク・チューン。ワイルドで荒々しいサウンドがたまりません。
「Chicken Dog」
Rufus Thomas、Money Mark参加の話題曲。チキンの雄叫びが響き渡るハードなブルース・チューンに仕上がっています。この曲に限らずJSBXってリフの創り方がサイコーにカッコ良いですね。
「Rocketship」
当時の僕のヘビロテだったお気に入り曲。ハイテンションの曲が多い中で、この曲だけは力の抜けたユルさが魅力になっています。
「Dynamite Lover」
ストレートなカッチョ良さが目立つロック・チューン。ハードながらもコンパクトかつキャッチーに仕上げるあたりがJSBXですね。
「Hot Shot」
90年代ロック持つカッチョ良さが2分強の中に凝縮された1曲。3人のみでこのサウンドを出してしまうのが凄いですな。
「Can't Stop」
Money Markがピアノで参加。Hip-Hop的なリズムが本作らしいのでは?
「Firefly Child」
この曲ではMoney Markがオルガンを弾いています。また、Justin Berryがサックスで参加しています。ダークな雰囲気のブルース・チューンに仕上がっています。
「Eyeballin」
淡々としたダークな展開が一転し、ブレイクビーツ的な展開が聴かれるのがサプライズ!
「B.L. Got Soul」
人力デジタル・ロックといった仕上がりの本作らしい1曲。あちこちへ電波が飛び交っている感じです(笑)
「Get over Here」
ハードさで言えば、アルバム随一なのでは?アドレナリン出まくりのハイテンション!
「Sticky」
ラストはかなり変てこな仕上がりです。訳のわからないまま終了!って感じ(笑)
今、MLB「ヤンキース対メッツ」のサブウェイ・シリーズで観ていますが、松井がメッツのエース、サンタナからHRを打ちましたね!今季イマイチ地味な松井でしたが、サンタナから完璧なHRを放ったことは大きな自信につながるのでは?