発表年:1974年
ez的ジャンル:ソウル&ジャズ&ブラジル系カリビアン男性シンガー
気分は... :心の眼を輝かせて!
今日はJon Lucien『Mind's Eye』(1974年)です。
Jon Lucien(1942-2007年)は、カリブ海ヴァージン諸島のトルトラ島生まれのシンガー/ソングライター。
1960年代半ばからN.Y.でミュージシャンとして活動するようになり、1970年に1stアルバム『I Am Now』をリリース。続く『Rashida』(1973年)、『Mind's Eye』(1974年)、『Song For My Lady』(1975年)といった作品では、Larry Rosen & Dave Grusinの強力コンビが制作を手掛けています。
1980年代後半のUKクラブシーンで再評価が高まり、日本でも『Rashida』、『Mind's Eye』の2枚はフリーソウル・ファンで人気の作品となりました。2007年8月に惜しくも逝去。
ジャズとソウルとブラジル音楽が融合した独自のサウンドと、 Nat King ColeやLou Rawlsを彷彿させるバリトン・ヴォーカル&スキャットは、1990年代にクラブジャズ/レア・グルーヴ/フリーソウルの流れと見事にリンクしました。よくやく時代がJon Lucienの音に追いついたのかもしれませんね。
僕もフリーソウルのコンピでJon Lucienの名を知り、その後『Rashida』、『Mind's Eye』の2枚をゲットしました。そのブラジリアン・フレイヴァーのサウンドから、てっきりブラジル人だと思い込んで聴いていました(笑)
今回、『Rashida』、『Mind's Eye』のどちらにするか迷いましたが、人気曲「Listen Love」 が聴きたかったので『Mind's Eye』をセレクト。
『Mind's Eye』(1974年)は、グラミー賞にノミネートされた『Rashida』(1973年)に続く3rdアルバムです。『Rashida』よりも開放的な仕上がりが特徴ですね。
全曲Jon Lucienのオリジナルです。Larry Rosenがプロデュースし、Dave Grusinがストリングス等を手掛けています。Jon Lucien(vo、b、g)以下、Cameron Brown(b)、 Steve Thornton(conga)、Richard Harrigan(ds)、 Mitch Kerper(p)というメンバーを中心に、Billy Butler(g)、John Tropea(g)、Ralph MacDonald(per)等もレコーディングに参加しています。
クラブジャズ・ファンも、ソウル・ファンも、ブラジル音楽ファンも魅惑のバリトン・ヴォーカル&スキャットを堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「A Sunny Day」
爽快なブラジリアン・グルーヴ。お得意のスキャットも存分に堪能できます!本作の持つ開放的なイメージを象徴する1曲なのでは?
「A Prayer for Peace」
ラブ&ピースなブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・ソウル。ブラジル音楽とニューソウルの素敵な融合ですね。ソウルフルな女性コーラス陣の絡みがグッド!
印象的なイントロはアシッド・ジャズの人気グループGalliano「Earth Boots」のネタにもなっています。
Galliano「Earth Boots」
http://www.youtube.com/watch?v=EstWQQukPLk
「Adoration」
Jonのバリトン・ヴォーカル&スキャットとアコースティック・ギターの響きがよくマッチしたフォーキー・チューン。Dave Grusinによるストリングスがニューソウル的なムードを醸し出します。
「So Little Time」
『Rashida』収録の人気曲「Would You Believe in Me」と一緒に聴きたくなるグルーヴィーなソウル・チューン。かなりグッとくる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=0Yvqq2zaJX4
「Listen Love」
本作のハイライト。パーカッシヴなサンバのリズムが洪水のように押し寄せる、スピード感溢れるブラジリアン・フュージョン。クラブジャズ好きの人にはたまらない人気曲ですね。Jonの魅惑のスキャットを堪能しましょう!
http://www.youtube.com/watch?v=WT2ZTNjtZ24
この曲と言えば、United Future Organizationによるカヴァーも忘れちゃいけません!UFOらしく格好良くキメてくれます。
United Future Organization「Listen Love」
http://www.youtube.com/watch?v=-rMAM9ilhCA
「The Pleasure of Your Garden」
楽園モードの爽快なサンバ・チューン。アコースティック・ギターの優しいグルーヴ感がたまりません。ブラジル音楽好きの人はグッとくる 1曲だと思います。
「World of Joy」
憂いのあるアコースティック・ソウル。このミステリアスな雰囲気はDave Grusinによるものでしょうね。
「The Ghetto Song」
「Listen Love」、「So Little Time」と並ぶ人気曲。Curtis Mayfield的なカッチョ良さを持つリズミックなファンキー・ソウル。ソウル・ファンならば、この曲が一番グッとくるのでは?
「Soul Chant」
『Rashida』収録の人気曲「Kuenda」がお好きな人ならば気に入るであろうアコースティックなスキャット・チューン。
「When the Morning Comes」
だたただ美しいエンディング。Jonのバリトン・ヴォーカルとDave Grusinによるストリングスが素晴らしい朝の訪れを演出してくれます。
『Rashida』(1973年)もそのうち紹介したいと思います。
この魅惑のバリトン・ヴォイスでナレーションとかやると相当ハマったでしょうね。
その3年後にフリー・ソウル・ブームで「Rashida」と「Mind's Eye」が発売された時に、迷わずゲットしてファンになりました。
黒人っぽい濃い歌い方も控えめで、さまざまな音楽的バックグラウンドが絶妙にブレンドされているヴォーカル・スタイルは、彼ならではの個性ですよね。
その「中庸」な感じは、日本人ウケするはずだと思うんですが・・・。
「ブーム」が去ったあとは、とんと彼の名前を聞く機会がなくなってしまいましたよね。残念。
ありがとうございます。
ジャズ好きの方はDave Grusin経由で本作に辿り着くんですね。
魅惑のヴォーカル&スキャットにいつ聴いてもグッときます。
おっしゃる通り、ジャズ、ソウル、ブラジルが絶妙にブレンドしたスタイルは、
日本人の嗜好にピッタリだと思います。
昨年、『Rashida』、『Mind's Eye』が紙ジャケ仕様で再発されているので、
より多くの人に聴いて欲しいですね。