発表年:1998年
ez的ジャンル:孤高の官能R&Bシンガー
気分は... :新作を購入すべきか?
孤高の官能R&BシンガーMaxwellです。彼の紹介は2回目になります。
『Maxwell's Urban Hang Suite』(1996年)に続いて紹介するのは、2ndスタジオ作『Embrya』(1998年)です。
数日前に待望の新作『BLACKsummers'night』がリリースされました。
前作『Now』(2001年)以来、約8年ぶりの新作となります。
2007年頃から『BLACKsummers'night』のタイトルで新作が出ると言われていましたから、苦節3年ようやくリリースまで漕ぎ着けたといったところでしょうか。
『BLACKsummers'night』
その『BLACKsummers'night』ですが、購入するか否か迷っている状態です。
「Pretty Wings」(From『BLACKsummers'night』)
http://www.youtube.com/watch?v=9RBfjHXfvrk
「Bad Habits」(From『BLACKsummers'night』)
http://www.youtube.com/watch?v=iuzRtalasxQ
「Cold」(From『BLACKsummers'night』)
http://www.youtube.com/watch?v=brnHRhHWcOw
良く言えば、R&Bシンガーとして成熟したMaxwellに出会えるアルバムという気もしますし、悪く言えば、昔のような圧倒的な個性が薄れてしまったような気がします。
そこで昔の作品を改めて聴いてみようと思い、CD棚から『Embrya』(1998年)を引っ張り出した次第です。
デビュー作『Maxwell's Urban Hang Suite』(1996年)の成功で、ネオ・ソウル世代の官能R&Bシンガーとして一躍注目の存在となったMaxwellが、スタジオ・ライブ『MTV's Unplugged』(1997年)を挟んでリリースしたスタジオ2作目が『Embrya』です。
『Maxwell's Urban Hang Suite』は、"男性版Sade"と称されたほど、アーバン&スタイリッシュなサウンドが印象的でした。
それと比較した場合、本作『Embrya』はサウンド面よりも、真実の愛を求めて、自らの内面を掘り下げていく、哲学的・内省的な世界観が大きく支配しているアルバムという印象が強いですね。サウンド面で言えば、ストリングスも含めた官能グルーヴが目立ちますね。官能グルーヴと言っても、何処か寂しげなのですが...
その意味でMarvin Gayeの持つ官能の世界と、Princeの持つ孤独かつ内省的な世界をネオ・ソウル感覚で仕上げたアルバムといったところでしょうか。
本作も『Maxwell's Urban Hang Suite』同様、全曲セルフ・プロデュースしています(Stuart Matthewmanとの共同プロデュースを含む)。
Maxwellの世界観が全面的に打ち出されたアルバムであり、好き/嫌いが明確に分かれる作品かもしれませんが、彼の持つ圧倒的な個性に出会うことができます。
全曲紹介しときやす。
「Gestation: Mythos」
オープニング曲に先立つ序章として、詩のみが示されています。
「Everwanting: To Want You To Want」
Maxwellのファルセットにグッとくる官能的なミッド・グルーヴ。単にセクシーというだけではなく、クールな雰囲気の中に内省的なものを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=MOF6RWKO6Og
「I'm You: You Are Me and We Are You (Pt. Me and You) 」
♪僕は君、君は僕♪僕達は二人で一つ♪と歌う、本作の世界観を象徴する哲学的なラブソング。サウンド的には重心の低いベースと優雅なオーケストレーションが印象的なミッド・ファンクに仕上がっています。美しくも何処か寂しげなのは何故?
http://www.youtube.com/watch?v=mdd63ga3NCw
「Luxury:Cococure」
アルバムからの1stシングル。真実の愛を探求する内省的なラブソング。どんどん内なる世界へと向かっていくのがMaxwellらしいかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=4YW-aqJZUNM
「Drowndeep: Hula」
ヘヴンリーな幸福感に包まれるラブソング。それまでの3曲に比べて、穏やかで安らいだ雰囲気があるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DmLJQ7Leyc4
「Matrimony: Maybe You」
一番のお気に入り曲。2ndシングルにもなりました。美しく官能的なラブソングに仕上がっています。本作を支配する哲学的・内省的な雰囲気はあまり感じないので最も聴きやすいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=oukYoxmt2bE
「Arroz Con Pollo」
「Matrimony: Maybe You」からシームレスに続くインスト。官能的なギターがリードするファンク・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=WOlKerkyoeg
「Know These Things: Shouldn't You」
良くも悪くもヘヴィな雰囲気が支配するラブ・バラード。官能のファルセットで心の奥へと向かいます。
http://www.youtube.com/watch?v=fjaYL837reI
「Submerge: Til We Become the Sun」
静かなる疾走感が心地好い1曲。時計の秒針のように刻まれるリズムをバックに、官能のファルセット・ヴォーカルが波のように押し寄せてくる感じがたまりません!
http://www.youtube.com/watch?v=m5N8lh9Nm6g
「Gravity: Pushing to Pull」
哀愁モードのミッド・ファンク。オーケストレーションも含めて、なかなかスケール感の大きな1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Cr-m4ffKG08
「Each Hour Each Second Each Minute Each Day: Of My Life」
Maxwellのセクシーな魅力が存分に堪能できるミディアム・スロウ。クドいくらい長いタイトルがMaxwellらしい(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=RHQOu4xXiI4
「Embrya」
タイトル曲は不協和音のストリングスと逆回転テープのループによる実験的なインスト。この訳のわからない感じこそが本作の世界なのでしょう(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=myvm1HI-fVM
『BLACKsummers'night』の購入は...もう少しよく考えます。