発表年:1985年
ez的ジャンル:Trevor Horn流R&B
気分は... :この大口ならば...
モデル出身のクール・ビューティーGrace Jonesの2回目の登場です。
『Nightclubbing 』(1981年)に続き紹介するのは、『Slave to the Rhythm』(1985年)です。
本作『Slave to the Rhythm』では、『Warm Leatherette』(1980年)『Nightclubbing 』(1981年)、『Living My Life』(1982年)と3作続けてプロデュースしてきたALex Sadkinに代わり、Trevor Hornがプロデューサーに起用されています(さらにZTT RecordsのStephen Lipsonがアシスタント・プロデューサーとして参加)。
当時のTrevor Hornと言えば、UK音楽シーンを象徴するトップ・プロデューサーでしたね。自らのグループThe Bugglesによる「Video Killed the Radio Star」(1979年)の大ヒットを皮切りに、Yes復活のきっかけとなった世界的なビッグ・ヒット「Owner of a Lonely Heart」(1983年)、Trevor Hornが立ち上げたZTT Recordsより送り出したFrankie Goes to Hollywoodによるセンセーショナルな大ヒット「Relax」(1983年)などを生み出していました。
そんなTrevor Hornプロデュース作の中でも、今日ベストワークの1つとして評価が高い作品がGrace Jones『Slave To The Rhythm』(1985年)です。
Grace Jonesのアルバムと言うよりは、Grace JonesをフィーチャーしたTrevor Hornのアルバムと言った方が適切かもしれません。
Grace Jonesのアルバムのお楽しみと言えばアルバム・ジャケですが、本作における顔写真の頭部と口腔部を裁断して再構築した、超縦長顔Graceも相当インパクトがありますね。
このアートワークは『Nightclubbing 』、『Living My Life』に続きJean Paul Goudeが手掛けています。
アートワーク同様、中身も"Slave To The Rhythm"というマテリアルを、Trevor Hornが一度分解して、それを再構築したような作りになっています。アルバム全体で"Slave To The Rhythm"というテーマの曲を構成している印象ですね。
シングル「Slave To The Rhythm」はGrace Jonesの代表曲であり、クラブ・クラシックとして今日でも人気の高い曲です。
しかし、我々がシングル「Slave To The Rhythm」として聴いている曲に最も近いのは、本作における「Ladies And Gentlemen: Miss Grace Jones」であり、(本作における)「Slave To The Rhythm」ではないので注意しましょう。
そのせいか、通常のアルバムというよりもミニ・アルバムや様々なリミックスが収録された12インチ・シングルを聴いている感覚に近いかもしれません。そのあたりに物足りなさを感じる方もいるかもしれませんが、僕はそんな構成を結構楽しんでいます。
まずはシングル「Slave To The Rhythm」を聴いてみて、それが気に入った人はアルバムも通しで聴いてみて下さい。
シングル「Slave To The Rhythm」
http://www.youtube.com/watch?v=QPgnmmqUym0
リミックス的な発想でコンセプチュアルな作品に仕上げたという点で、なかなかユニークなアルバムではないかと思います。
楽曲単位ではなく、アルバム全体として聴くべき作品であり、各曲のコメントが書きづらいのでが...一応、全曲紹介しときやす。
(オリジナルLPとCDで曲順が異なりますが、オリジナルLPの曲順で紹介します。)
「Jones The Rhythm」
オープニングは直線的なノリで突っ走ります。ジャケの超縦長顔Graceのように、かっ飛んでいます!
「The Fashion Show」
エレガントなイントロから、お馴染みのあのリズムへと展開されます。シングル「Slave To The Rhythm」のインスト・ヴァージョンのような位置づけでしょうか。
「The Frog & The Princess」
テクノ/ニューウェイヴ的な仕上がり。リズムのピコポコ感が印象的です。
「Operattack」
気合いの入った掛け声のコラージュといったところでしょうか。音楽的ではありませんが面白いですね。
「Slave To The Rhythm」
皆さんご存知の「Slave To The Rhythm」とは異なる印象の「Slave To The Rhythm」です。より重厚でドラマティックなTrevor Hornらしいサウンドに仕上がっています。
「The Crossing (ooh the action...) 」
アルバムの中で唯一穏やかな印象を受ける仕上がり。エキゾチック&コズミックです。
「Don't Cry - It's Only They Rhythm」
次の「Ladies And Gentlemen: Miss Grace Jones」を盛り上げるための繋ぎの1曲といった感じです。
「Ladies And Gentlemen: Miss Grace Jones」
皆さんお馴染みのあのリズム&ヴォーカルをようやく堪能できます。このラストで盛り上がるために、それまでの7曲があったのでは?と思われる構成です。
僕自身全くフォローできていませんが、シングル「Slave To The Rhythm」自体にも様々なリミックスが存在します。
本作をiTunesに取り込んだら、オリジナルLPとCDで曲順が異なるせいか、曲名と実際の楽曲が異なっているものがいくつかありました。こういうのって気を付けたいですね。
私は「Art Of Noise」や「Propaganda」あたりをよく聴いとりました。
でも曲単位でいうと「Slave To The Rhythm」が一番のお気に入りだったかも?
いま聴いてもカッコいいですよね〜。
(このアルバムの他の曲はほとんど聴いてないような..)
そう言えば、Grace姉御、昨年20年ぶり位に復活してましたね!
ありがとうございます。
ZTTは僕もArt Of Noiseの印象が強いですね。
> このアルバムの他の曲はほとんど聴いてないような..
本作はアルバム全体で「Slave To The Rhythm」みたいな作りですからね。
その意味では特異な作品だと思います。
> Grace姉御、昨年20年ぶり位に復活してましたね!
未聴ですが、ジャケは大人しいですね(笑)