2009年08月03日

Ry Cooder『Chicken Skin Music』

テックス・メックス、ハワイアンを取り入れた意欲作☆Ry Cooder『Chicken Skin Music』
チキン・スキン・ミュージック<紙ジャケット仕様>
発表年:1976年
ez的ジャンル:ボーダレス系ルーツ音楽探求
気分は... :宮里藍、2週連続Vなるか!

昨晩、遅ればせながら映画『おくりびと』をTVで観ました。

さすがアカデミー受賞作品ですね。人の死の尊さを改めて考えさせられました。
特に"死は終わりではなく、門である"というセリフが印象に残りましたね。

引き続き、ゴルフの全英女子オープンをTV観戦中!
宮里藍の優勝を願っていますが、ビミョーな状況ですね。
でも、最後まで頑張って欲しいものです。

今回は、当ブログ初登場となるRy Cooderの1976年リリース作品『Chicken Skin Music』です。

Ry Cooderは、1947年カリフォルニア州ロサンゼルス生まれのギタリスト/シンガー。

1960年代にCaptain Beefheart、Taj MahalThe Rolling Stones等のレコーディングに参加し、スライド・ギターの名手として注目されます。特にThe Rolling Stonesとのレコーディングについて、Ry自身が"「Honky Tonk Women」のフレーズをStonesに盗まれた"と主張したことでも話題になりましたね。

1970年に『Ry Cooder』でソロ・デビュー。2nd『Into the Purple Valley』(1972年)、
3rd『Boomer's Story』(1972年)とブルース、カントリー、フォーク等古き良きアメリカのルーツ音楽を探求する作品で存在感を示しました。

『Paradise and Lunch』(1974年)以降はさらに幅広い音楽を探求し、テックス・メックス、ハワイアン、ジャズ、R&B/ソウル等にアプローチしていった。また、80年代に入るとWim Wenders監督作品など映画音楽を積極的に手掛けました。

また、1997年にキューバのベテラン・ミュージシャン達と制作したアルバム『Buena Vista Social Club』は、空前のアフロ・キューバン・ミュージックのブームを巻き起こしました。本作をベースとした映画(Wim Wenders監督『Buena Vista Social Club』)も大ヒットしましたね。

Ry Cooderって、僕の中では説明するのがかなり難しいミュージシャンです。

Ry Cooderが評論家の評価がすこぶる高く、ミュージシャンの評価が高い"ミュージシャンズ・ミュージシャン"であるということは、洋楽を聴き始めた頃から認識していました。しかし、Ryのアルバムは決して聴きやすいものではなく、その良さがわかるまでに結構時間を要する気がします。

例えば、Ry Cooderの代表作であると同時に名盤の誉れも高い『Paradise and Lunch』(1974年)を、今から約30年前に購入しましたが、未だにこの名盤に馴染めない僕がいます。

また、前述の『Buena Vista Social Club』に関して、キューバ音楽の魅力を多くの人に知らしめたRy Cooderの功績は大きいと思いますが、正直Ry Cooder自身は案内役に止まり、自身がアルバムに参加する必要は無かったのでは?なんて思わないでもありません。

実際、僕は『Buena Vista Social Club』以上に、Ry不参加のAfro-Cuban All Stars『A Toda Cuba Le Gusta』(1997年)及び『Distinto Diferente』(1999年)、Ibrahim Ferrer『Buena Vista Social Club Presents Ibrahim Ferrer 』(1999年)といった関連作品を聴く頻度が多いですね。

このように書くと、いかにもRy Cooderが好きではないような印象を与えてしまいますが、好きな作品は好きなんですよ!

そんな好きな1枚が今日紹介する『Chicken Skin Music』(1976年)です。
テックス・メックスを代表するアコーディオン奏者Flaco Jimenez、ハワイアンギターの大御所Gabby Pahinuiの参加が目を引くように、テックス・メックス(テキサスのメキシコ系音楽)、ハワイアンを取り入れた楽曲が特徴的な作品です。

流れで言えば、『Paradise and Lunch』の次にリリースされた作品であり、同作のアプローチを一歩推し進めたアルバムとも言えなくありません。しかし、僕の中では『Paradise and Lunch』は野暮ったいアルバム、本作『Chicken Skin Music』は小粋なアルバムという気がするんですよねぇ...

Flaco JimenezGabby Pahinui以外では、Chris Ethridge(b)、Jim Keltner(ds)、Milt Holland(ds、per)、Russ Titelman(banjo)、Bobby King(vo)等がレコーディングに参加しています。

夏の昼下がりにのんびり過ごすにはピッタリの作品ですよ!
特に昼間からビールが飲みたい気分の時には(笑)

全曲紹介しときやす。

「Bourgeois Blues」
Huddie Ledbetter作。1930年代に作られた作品ですが、1950〜60年代にフォーク・シンガーが好んで取り上げていた曲らしいです。ここではカントリー・ブルース調の仕上がりですが、RyがFlaco Jimenezから学んだばかりのアコーディオンを披露しています。

「I Got Mine」
一歩間違えると僕の苦手な野暮ったさが目立ってしまうトラディショナルの演奏ですが、何とか寸止めで収まっています(笑)

「Always Lift Him Up/Kanaka Wai Wai」
オリジナルはAlfred Reed作のマウンテン・チューンであり、僕の苦手なイモ臭い音楽の典型です。そんな楽曲をハワイ・スタイルの小粋な1曲に仕上げています。このあたりは、さすがはRy Cooderと思わせる仕事ぶりです。

「He'll Have to Go」
カントリー歌手Jim Reeves、1959年のヒットの曲(Joe Allison/Audrey Allison作品)。Flaco Jimenezのアコーディオンをフィーチャーした雰囲気のあるテックス・メックスに仕上がっています。昼からビールでも飲みながら聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7U733KO0TPc

「Smack Dab in the Middle」
カッチョ良さで言えば、R&B調の本作で一番でしょうね。Little Feat『Dixie Chicken』がお好きな方ならば、絶対に気に入ると思います。Bobby King以下のコーラス隊がサイコーです。Ray Charlesも歌っていたChuck Calhoun作品。

「Stand By Me」
お馴染みBen E. Kingの大ヒット曲のカヴァー。この名曲をテックス・メックス調に仕上げています。ノスタルジック・ムード満点なのがいいですね。Flaco Jimenezのアコーディオンが泣けます。

「Yellow Roses」
Gabby Pahinui参加のハワイ録音その1。Ryがハワイアンのスラック・ギターに挑戦しています。甘く味わい深いGabby Pahinuiのギターを堪能しましょう。皆さんのイメージするハワイアン以上の奥深さがありますよ!また、

「Chloe」
Gabby Pahinui参加のハワイ録音その2。こちらは軽快です。次回スタジオ作 『Jazz』 に通じる雰囲気を持っているのが面白いですね。

「Goodnight Irene」
「Bourgeois Blues」と同じくHuddie Ledbetter作品(1932年作)。Flaco Jimenezのアコーディオンをフィーチャー。テックス・メックスのルーツであるノルテーニャのスタイルに近いのだそうです。確かにメキシコの田舎町で流れていそうな雰囲気がありますね。

本作を受けて、RyはFlaco Jimenezも参加したライヴ・ツアーChicken Skin Revueを敢行し、その模様を収めた初のライブ・アルバム『Show Time』(1977年)をリリースしています。
『Show Time』(1977年)
ショー・タイム(ライヴ)<紙ジャケット仕様>

本作の次のスタジオ作 『Jazz』(1978年)も僕のお気に入り。こちらはタイトルの通り、古き良きジャズを探求した作品であり、小粋なノスタルジック・ムードを満喫できます。

(追記)
11月にNick Loweと共に来日公演を行うみたいですね。
posted by ez at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック