発表年:1969年
ez的ジャンル:エネルギッシュ&キュートMPB
気分は... :いつ聴いても元気をもらえます♪
MPBの女王Elis Reginaの3回目の紹介です。
『Elis Regina in London』(1969年)、『Em Pleno Verao』(1970年)に続いて紹介するのは、『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』です。
本作『Elis, Como e Porque』は、麦わら帽子姿で満面の笑みを浮かべるElisが写るジャケ写真が印象的であり、"麦わらElis"の愛称で親しまれている作品です。
1969年のElis Reginaは、ロンドン録音の『Elis Regina in London』、Toots Thielemans との共演作『Aquarela Do Brasil』、そして本作『Elis, Como e Porque』という3枚のアルバムをリリースしており、絶好調の1年だったようです。
そんな充実ぶりが本作『Elis, Como e Porque』でも堪能できます。
本作では、アレンジも務めるRoberto Menescal(g)率いるElis 5がサポートしています。メンバーはMenescal以下、Antonio Adolfo(p)、Jose Roberto(b)、Wilson Das Neves(ds)、Hermes Contesini(per)の5名。さらにストリングスについてはErlon Chavesが指揮しています。このバック陣とElisの相性が抜群であり、それが本作を魅力を高めていると思います。
Elisのエネルギッシュかつキュートな歌声は、いつ聴いても元気をもらえます。
やはり、これだけの"歌力"を持つシンガーはなかなか居ないですよねぇ。
夏バテなど無縁な栄養ドリンク剤のような1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Aquarela Do Brasil/Nega Do Cabelo Duro」
オープニングはサンバ・メドレー。「Aquarela Do Brasil(邦題:ブラジルの水彩画)」はディズニー映画『三人の騎士(The Three Caballeros)』にも用いられたAry Barroso作品。ElisとToots Thielemans との共演作『Aquarela Do Brasil』のタイトル曲にもなっています。「Nega Do Cabelo Duro」はRubens Soares作。Astrud GilbertoとWalter Wanderleyの共演盤『A Certain Smile A Certain Sadness』(1966年)でも演奏されています。
前半「Aquarela Do Brasil」ではエレガントはストリングスを配し、後半「Nega Do Cabelo Duro」ではElis 5の小粋な演奏がElisの歌を盛り上げてくれます。
「O Sonho」
本作と同じく1969年にデビュー作『Incluindo O Sonho』をリリースしたEgberto Gismontiの作品。才能あるコンポーザーの眼力に優れたElisらしい選曲ですね。Elisらしい情熱的なヴォーカルとスピード感のあるスリリングな演奏がキマっています。
「Vera Cruz」
Milton Nascimento作品。緩急のコントラストが見事な1曲。パーカッシヴなリズム隊がいいですね。
「Casa Forte」
Edu Loboの人気曲。Sergio Mendes & Brasil '66も取り上げていますね(アルバム『Fool On The Hill』収録)。リズム隊の見事なサポートに支えられElisのスキャットも絶好調です。
「Canto De Ossanha」
Baden Powell作品のカヴァー。当ブログでは以前にTamba 4のヴァージョンを紹介しています。クールな中にもElisの生き生きとしたヴォーカルを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Z5xHmklZM_4
「Giro」
Elis 5のメンバーAntonio Adolfoの作品。『Elis Regina in London』でも取り上げられているので、聴き比べるのも楽しいです。個人的には小粋に仕上がった本作ヴァージョンの方が断然好きですが...
http://www.youtube.com/watch?v=WTjQaUxSSnE
「O Barquinho」
邦題「小舟」。本作のアレンジを手掛けるRoberto Menescalと当時のElisの旦那様Ronaldo Boscoliによる名曲。この曲も『Elis Regina in London』で取り上げられています。ブラス・セクションも加わったダイナミックな仕上がりが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=vpFsSLFs78A
「Andanca」
Edmundo Souto/Danilo Caymmi/Paulinho Tapajos作品。少し抑えたヴォーカルによるエレガントな仕上がりです。
「Recit De Cassard」
フランス映画『シェルブールの雨傘(Les Parapluies de Cherbourg)』で用いられたMichel Legrandの有名曲をカヴァー。流暢なフランス語で小粋にキメてくれます。
「Samba Da Pergunta」
Marcos Vasconcellos/Pingarilho作。ロマンティックなバラードをしっとりと聴かせてくれます。
「Memorias De Marta Sare」
ラストはEdu Lobo作品。弾けんばかりのElisのパワー漲ったヴォーカルを堪能できます。Menescalのギター、Adolfoのピアノはじめ、バックもノリノリの雰囲気がサイコーです!
僕の持っているCDにはボーナス・トラックとして、「Deixa」、「A Noite Do Meu Bem(Le Nuit De Mon Amour)」、「Noite Dos Mascarados」、「Tristeza」の4曲が追加収録されています。
この4曲は1968年にパリで録音したものであり、Eumir Deodatoがアレンジを担当し、Amilson Godoy(p)、Jurandyr Meirelles(b)、Jose Roberto Sarsano(ds)というBossa Jazz Trioがバックを務めています。
Baden Powell作の「Deixa」、Pierre Barouhとのデュエット「Noite Dos Mascarados」、ラテン調のアレンジが印象的なHaroldo Lobo /Niltinho作の名曲「Tristeza」と、かなりお得感のある4曲です。