2009年08月28日

Pigbag『Dr. Heckle and Mr. Jive』

ポスト・パンク以上の魅力を持ったUKジャズ・ファンク☆Pigbag『Dr. Jeckle And Mr. Jive』
Dr. Heckle and Mr. Jive
発表年:1982年
ez的ジャンル:ポスト・パンク系UKジャズ・ファンク
気分は... :CM曲のイメージだけではありません...

今日はThe Pop Groupの流れを汲むグループの1つ、Pigbagのデビュー・アルバム『Dr. Jeckle And Mr. Jive』(1982年)です。

Pigbagと言えば、元Pop GroupのベーシストSimon Underwoodが率いたグループとして有名ですね。ただし、Simon UnderwoodがPigbagを結成した訳ではありません。グループ自体は1980年にChris Hamlinが結成したものであり、1981年になってPop Group分裂後のSimonが加入したというのが経緯です。

1981年にシングル「Papa's Got A Brand New Pigbag」でデビュー。タイトルは勿論、James Brownの人気曲「Papa's Got a Brand New Bag」に因んだものです。このデビュー曲は当時ホンダのスクーター「リード」のCM曲にも使われていたので知っている方は意外に多いのでは?

1982年に今日紹介するデビュー・アルバム『Dr. Jeckle And Mr. Jive』をリリースし、再リリースされた「Papa's Got A Brand New Pigbag」がUKシングル・チャート第3位の大ヒットとなりました。

「Papa's Got A Brand New Pigbag」
http://www.youtube.com/watch?v=gNDccgakPvo

その後2ndアルバム『Lend An Ear』(1983年)をリリースしますが、同年にグループは分裂してしまいます(分裂後もPig Bag名義のアルバムが何枚かリリースされています)。

ブリストル出身のポスト・パンクの最重要グループPop Groupが分裂して、メンバーがRip Rig & PanicPigbagMaximum Joyといったグループへ分散していきましたが、認知度が最も高いのはPigbagでしたね。

当時の僕は"PigbagよりもRip Rig & Panicでしょ!"というスタンスでした。Rip Rig & Panicには、Pop Groupの持つポスト・パンクなアヴァンギャルド性を継承しているグループというイメージがあったもので。また、The SlitsのAri UpやNeneh Cherryが参加していた点も大きかったかもしれません。

当時は軽視していたPigbagでしたが、今聴いてみると僕が甘かったと反省せざれるを得ません。「Papa's Got A Brand New Pigbag」からイメージされるサウンドは、Pigbagの一側面に過ぎませんでした...

ジャズ・ファンクをベースに当時流行のファンカラティーナやトライバルなエッセンスも取り入れたアバンギャルド・サウンドは今聴いても十分刺激的です。特に時代を相当先取りしたトライバル・サウンドの先進性には驚かされます。

ポスト・パンク好きの方以外に、Fela Kutiのアフロ・ビートやトライバル・ハウスが好きな方が聴いても楽しめると思います。

本作『Dr. Jeckle And Mr. Jive』時点のメンバーは、Simon Underwood(b、vln、cello)、Chip Carpenter(ds、per)、James Johnstone(as、g)、Rodger Freeman(tb、key、p)、Ollie Moore(ts、cl)、Chris Lee(tp、per)の6名。さらにオリジナル・メンバーのChris Hamlinがボーナス・トラック「Papa's Got A Brand New Pigbag」にのみ参加しています。

全曲紹介しときやす。

「Getting Up」
シングルにもなったオープニング。Haircut 100に代表されるポップなファンカラティーナとは異なる、苦味の効いたジャズ・ファンク風味のファンカラティーナといった感じです。

「Big Bag」
アルバム中でも一、二を争う格好良さ!スリリングかつアヴァンギャルドなジャズ・ファンク・チューンに仕上がっています。

「Dozo Don」
妖しいトライバル・サウンドが今聴くと相当いいですね。当時はこのあたりのアバンギャルド性に対する認識が低かったのかもしれません。

「Brian The Snail」
1920〜30年代の雰囲気がだんだんダーク・ムードに包まれ、一気にトライバルなアヴァンギャルド・ワールドへ...Pop Group好きの人にはたまらない雰囲気なのでは?

「Wiggling」
個人的にはアルバムのハイライト。完璧にハウスを先取りしたサウンドですね。トライバル・ハウス好きの人が聴くとグッとくると思います。エレクトリック・マイルスとポストパンクとハウスが出会ったような楽しさがあります。

「Brazil Nuts」
タイトルはブラジルですが、それ程ブラジルっぽくありません(笑)。むしろ、Fela Kutiのアフロ・ビートあたりと一緒に聴きたくなる曲ですね。

「Orangutango」
「Wiggling」と並ぶ僕のお気に入り。トライバル・ハウスのプロトタイプのようにも聴こえるスリリングなジャズ・ファンク。アシッドなリズムには中毒性があります。

「As It Will Be」
ラストはダビーなファンカラティーナとでも表現したくなるアヴァンギャルドな仕上がり。Pop Group好きの人はこういった曲が好みなのでは?

CDには「Whoops Goes My Body」「Sunny Day (12" Version) 」「Another Orangutango (remix) 」「Papa's Got A Brand New Pigbag」の4曲がボーナス・トラックとして収録されています。

特に1stシングル「Papa's Got A Brand New Pigbag」、2ndシングル「Sunny Day (12" Version) 」が嬉しいですね。

「Sunny Day (12" Version) 」
http://www.youtube.com/watch?v=aDdc7IGdtj4

順序が逆になってしまいましたが、The Pop Groupもそのうち紹介しますね。
posted by ez at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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