発表年:1966年
ez的ジャンル:女性ボサノヴァ・コーラス
気分は... :変幻自在!
今日は女性コーラス・グループQuarteto Em Cy の3rdアルバム『Quarteto Em Cy』(1966年)です。
Quarteto Em Cyはブラジル出身の女性コーラス・グループ。Cyva(1939年生まれ)、Cybele(1940年生まれ)、Cynara(1945年生まれ)、Cylene(1946年生まれ)というDe Sa Leite四姉妹がオリジナル・メンバーです。
当初は地元のバイーア州で活動していましたが、1960年代前半にリオデジャネイロに進出し、Carlos Lyra、Vinicius de Moraesと親交を持つようになります。Quarteto Em Cyというグループ名を授けたのもこの二人のようです。
1963年に映画『Sol Sobre a Lame』のサントラで初レコーディングを経験し、翌1964年にプロとしての正式デビューを飾っています。
Formaよりデビュー・アルバム『Quarteto Em Cy』、Tamba Trioと共演した2ndアルバム『Som Definitivo』をリリースした後にElencoへ移籍します。Elencoへの移籍と同時期に末妹のCyleneが結婚のためにグループを脱退し、Cyregina(Regina Werneck)が新メンバーとして加わっています。
Elencoからは『Quarteto Em Cy』(1966年)、『De Marre De Cy』(1967年)、『Em Cy Maior』(1968年)という3枚のアルバムをリリースしています。また、The Girls From Bahia名義でUSマーケット向けアルバムもリリースするなどグループは最初の黄金期を迎えます。その間、CynaraとCybeleはCynara E Cybeleというデュオを結成し、グループを脱退します。代わりにBimba、Sonyaがメンバーに加わりました。
その後70年代に入るとグループは一旦解散状態に陥りますが、1972年にCyva、Cynara、SonyaにDorinha Tapajosを加えたメンバーでグループを再編します。このメンバーによる新生Quarteto Em Cyは70年代に第二の黄金期を迎えますが、1980年にDorinha が白血病のため急逝してしまいます。このためCybeleをメンバーに呼び戻し、Cyva、Cybele、Cynara、Sonyaの4人が不動のメンバーとして現在も活動を続けているようです。
長いキャリアを誇るQuarteto Em Cyの歴史を短くまとめるとこんな感じでしょうか。
今回記事を書くにあたって初めて整理したので、誤っている点があるかもしれませんのでご留意願います。
僕の場合、彼女たちの全体像を把握しているとは言い難いのですが、Elencoからの第一作である本作『Quarteto Em Cy』(1966年)からは、変幻自在な女性ボサノヴァ・コーラスという印象を受けます。
ジャケ写真にはCyreginaも含めた再編後のメンバーが写っていますが、全13曲中8曲はCyleneの居たオリジナル・メンバー時の録音のようです。
Oscar Castro-NevesとUgo Marottaがアレンジを担当しており、本作の魅力向上に大きく貢献しています。ブラジル音楽ファンはご存知の通り、Oscarは以前に紹介したMario Castro-Nevesの弟です。
Elencoからの三作目『Em Cy Maior』(1968年)あたりと共にQuarteto Em Cyの入門編としては最適な1枚なのでは?
普段ブラジル音楽を聴かない人でも、女性コーラス・グループのアルバムとして十分楽しめると思いますよ。
全曲紹介しときやす。
「Vamos Pranchar」
Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作品。エレガントかつダイナミックなストリングスをバックに、ミュージカル映画のようなハツラツとしたコーラスを聴かせてくれます。
「Espere Um Pouco」
Ugo Marotta/Vica作品。これぞボッサ・コーラス!といった美しいハーモニーを聴かせてくれます。
「Canto de Ossanha」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作品。当ブログでもお馴染みの曲であり、少し前に紹介したばかりのElis ReginaヴァージョンやTamba 4ヴァージョンを紹介しています。いつ聴いてもスケールの大きな名曲だと思いますが、Quarteto Em Cyヴァージョンも例外ではありません。
「Samba Torto」
Antonio Carlos Jobim作品のカヴァー。エレガントかつチャーミングなアレンジがいいですね。エンディングはキュートな♪ア〜ン♪にグッときます(笑)
「Caminho Do Mar」
Sergio Ricardo作品。哀愁のボッサ・コーラスを聴かせてくれます。
「Segredinho」
Carlos Coquejo/Maria Eugenia作品。Ugo Marottaのアレンジ・センスが光る1曲。僅か1分半の曲ですがもっと長尺で聴きたいですね。
「Amaralina」
Carlos Coquejo/ Francisco de Assis作品。キュートなボッサ・コーラスあり、ピュアなアカペラ・コーラスありとQuarteto Em Cyの魅力を存分に堪能できます。
「Morrer de Amor」
Oscar Castro-Neves/Luverci Fiorini作品。オルガンとギターのみのバックに美しいコーラスを聴かせてくれます。コーラス・グループとしての実力を実感できる仕上がりです。
「Pedro Pedreiro」
Chico Buarque作によるヒット曲。本作のハイライトかもしれませんね。歌の中身はプロテスト・ソングのようですが、曲自体はテンポ良く心地好い仕上がりです。
「Inutil Paisagem」
2曲目のAntonio Carlos Jobim作品カヴァー。当ブログでは以前にTenorio Jr.のヴァージョンを紹介しました。ロマンティックな仕上がりという点ではアルバムで一番かも?
「Ate Londres」
Oscar Castro-Neves作品。若いリスナーが一番グッとくるのは全編スキャットのこのサンバ・グルーヴなのでは?
「Ultimo Canto」
Francis Hime/Rey Guerra作品。ひたすら美しい哀愁のボッサ・コーラスを堪能できます。
「A Banda」
ラストは「Pedro Pedreiro」に続くChico Buarque作品。本アルバムの2ndプレスから追加収録されるようになったらしいです。楽隊の行進風の仕上がりです。
彼女たちのアルバムは未聴のものばかりなので、もっといろんな作品を聴いてみたいですね。
ご無沙汰しています。
以前ブログにコメントをいただいたDonkey Punchです。
Quarteto Em Cy大好きです(Tamba Trioも)。久しぶりに聞きましたが、やっぱりいいですねー。
ところで突然ですが、10月31日(土)に新宿で、ハロウィンパーティーを開催します! 時間のご都合などつきましたら、ぜひ遊びに来てくださいね。
詳しくは、こちら↓
http://blog.livedoor.jp/donkeypunch/archives/51255423.html
よろしくお願いします!
ありがとうございます。
Quarteto Em Cyの変幻自在なコーラスは、
僕のボサノヴァ観を広げてくれました。
ぜひ多くの方に聴いて欲しいボサノヴァ・コーラスですね。
ハロウィンパーティーですか!
楽しそうですね。
詳細は後ほど確認させて頂きます。
頑張ってくださいね。