2009年10月09日

Marvin Gaye『Trouble Man』

Marvinによるブラック・ムーヴィーのサントラ盤☆Marvin Gaye『Trouble Man』
Trouble Man
発表年:1972年
ez的ジャンル:ブラック・ムーヴィー系ニューソウル
気分は... :'M' Plays It Cool!

久々のMarvin Gayeです。
前回紹介した『Midnight Love』のエントリーが2007年01月15日だったので、2年半以上もMarvinを紹介していませんでした。反省!反省!

さて、『I Want You』(1976年)、『What's Going On』(1971年)、『Midnight Love』(1982年)に続き紹介する、4枚目のMarvin作品は『Trouble Man』(1972年)です。

この流れでいけば、『Let's Get It On』(1973年)あるいは『Here, My Dear』(1978年)あたりを紹介すべきなのでしょうが、素直ではない僕は少し外してみました(笑)

本作『Trouble Man』は、Isaac Hayes『Shaft』(1971年)やCurtis Mayfield『Superfly』(1972年)らと並び称されるブラック・ムーヴィーのサントラ盤です。

映画『Trouble Man(邦題:野獣戦争)』は、黒人ゲットー内のギャング抗争に巻き込まれた、主人公の私立探偵Mr.Tの活躍を描いたものです。監督はIvan Dixon、主演はMr.Tを演じるRobert Hooksです。邦題の『野獣戦争』は無いですよね。

サントラ盤ですので殆どがインスト曲であり、フツーのヴォーカル・チューンはシングルにもなったタイトル曲「Trouble Man」のみです。それ以外はブラック・ムーヴィーらしいジャズ・ファンク調の曲と、サントラらしいオーケストレーションが聴かれる曲で構成されています。

『What's Going On』の次の作品が殆どヴォーカルなしのサントラということで、当時は肩透かしを食った方も多かったのでは?

そんなことも含めて、『What's Going On』(1971年)、『Let's Get It On』(1973年)という2大名盤の間に挟まれ、しかも殆どインスト曲で占めれたアルバムということで、やや見劣りするアルバムという印象を抱かれてしまう作品かもしれませんね。

むしろ、本作に対する支持が高いのはHip-Hop世代の若いリスナーかもしれません。
オールド・ファンの方はご存知ないかもしれませんが、本作収録の「"T" Plays It Cool」「"T" Stands for Trouble」といったインスト曲は、Hip-Hop世代の人気曲になっています!

そうした新たな視点で聴くと、なかなか楽しめるアルバムです。
個人的にはやり過ぎ感さえある、Marvinのけばけばしいムーグの音色がたまらなく好きだったりします(笑)

全曲紹介しときやす。

「Main Theme from Trouble Man, Pt.2」
ブラック・ムーヴィーのサントラ独特の不穏な空気が溢れています。嵐の前の静けさといった感じですね。ここではDale Oehlerがアレンジを担当しています。Bobby Hutchersonをはじめとする70年代のジャズ作品でよく見かける人ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7rJpAQF5UYY

「"T" Plays It Cool」
本作のハイライトその1。Hip-Hop世代の若いリスナーの方は冒頭のリズムを聴いただけでグッとくるジャズ・ファンク調のファンキー・グルーヴ!ドラムブレイクはカッチョ良すぎ!けばけばしいムーグプレイもハマるとクセになります。
http://www.youtube.com/watch?v=dZfCbOH9iZQ

DJ Jazzy Jeff & Fresh Prince「A Touch Of Jazz」、Gang Starr「Take A Rest」、Powerule「Smooth」等でサンプリングされています。

DJ Jazzy Jeff & Fresh Prince「A Touch Of Jazz」
 http://www.youtube.com/watch?v=iZyBDwmji_E
Gang Starr「Take A Rest」
 http://www.youtube.com/watch?v=RbllAQ4NZow
Powerule「Smooth」
 http://www.youtube.com/watch?v=kuTjPZvp6PY

「Poor Abbey Walsh」
サックスとストリングスによるサントラらしい仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=7l3nzKXegXw

「The Break In (Police Shoot Big) 」
不穏な前半と哀愁の後半といった感じでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=SilWViKqwHs

「Cleo's Apartment」
スキャットによるMarvinのコーラスが印象的な哀愁モードの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=8SRpf4bIFaQ

「Trouble Man」
本作のハイライトその2。タイトル曲のみフツーのヴォーカル・チューンです。シングルとして全米シングル・チャート第7位、同R&Bチャート第4位のヒットとなりました。この曲だけは多くの方がご存知なのでは?Marvinらしい魅惑のファルセット・ヴォーカルとスウィンギーなリズムの組み合わせがカッチョ良いですな。ここでもDale Oehlerがアレンジを担当しています。
http://www.youtube.com/watch?v=NbHeNkqRWtI

多くのアーティストがカヴァーしていますが、ここではAngie Stone、Neneh Cherryのカヴァーを紹介しておきます。

Angie Stone「Trouble Man」
 http://www.youtube.com/watch?v=BhTf2EDNCr4
Neneh Cherry「Trouble Man」
 http://www.youtube.com/watch?v=twxEtfdw82Y

「Theme from Trouble Man」
似たようなタイトルの曲が多いのでややこしいです(笑)。サックスとストリングスによる黄昏モードな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=WeNxm4iUh7M

「"T" Stands for Trouble」
本作のハイライトその3。パーカッシヴなリズムと不穏な空気を醸し出すムーグの音色にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=aHtlFK2x2ck

Ice Cube「Who's The Mack」、Brand Nubian「Meaning Of The 5%」等のサンプリング・ネタになっています。

Ice Cube「Who's The Mack」
 http://www.youtube.com/watch?v=_eiKTp3VdE0
Brand Nubian「Meaning Of The 5%」
 http://www.youtube.com/watch?v=YLAmKnCfAnw

「Main Theme from Trouble Man, Pt.1」
Pt.2同様、ブラック・ムーヴィーらしい不穏な空気感にグッときます。この曲ではGene Pageがストリングス・アレンジを担当しています。
http://www.youtube.com/watch?v=BsNJ76rZC5Y

「Life Is a Gamble」
タイトル曲以外でヴォーカル比重が最も高い曲。そう思うと貴重かも(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=W2CCXqBBGxw

「Deep-In-It」
やり過ぎ感のあるムーグ音ですが、僕は結構好きだったりします。
http://www.youtube.com/watch?v=RKi0p5xZ9rc

「Don't Mess with Mister "T"」
哀愁のジャズ・ファンク・チューンといった感じがいいですね。Stanley Turrentineがアルバム・タイトル曲としてカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=DMtJnTtuRu0

「There Goes Mister "T"」
ラストはサックスをフィーチャーし、Marvinのコーラスと共にハードボイルドな雰囲気で幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=dWbLqIGAZEE

映画を観たことがないので、機会があれば観てみたいですね。
posted by ez at 06:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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