発表年:2000年
ez的ジャンル:2000年代R&Bの最高傑作
気分は... :このグルーヴにはヤラれマス!
異論も多くあるかもしれないけど、現時点で僕が選ぶ2000年代最高傑作R&BアルバムはD'Angelo『Voodoo』デス。
1995年のデビューアルバム『Brown Sugar』は新しいR&Bの方向を決定付けた傑作だと思うし、日本独自企画のライブアルバム『Live At The Jazz Cafe,London』(1996年)もCurtis Mayfield『Curtis/Live!』、Donny Hathaway『Live』といった名作ライブに迫るものだったと思う。
でも、この『Voodoo』でのD'Angeloはさら1ランク上のステージに進化している気がしたねぇ。このアルバムはNYにあるElectric Ladylandスタジオで、ジャムセッションによる録音を中心に制作された。Electric Lady Landはご存知の通り、D'Angeloも大きく影響を受けた伝説のギタリストJimi Hendrixの名作3rdアルバム『Electric Ladyland』のタイトルだ。
Jimi Hendrixが当時の音楽シーンで革命児であったように、このアルバムでD'Angeloとメンバー達は、Jimiの魂がのり移ったように、既存R&Bを軽々と超えてしまったと思いマス。詳しくは知らないけど、アルバムタイトルの『Voodoo』も、Jimiの『Electric Ladyland』収録曲「Voodoo Child」からきているのでは?
メンバーもD'Angelo以外にRaphael Saadiq、DJ Premier、?uestlove(The Roots)、Pino Palladino、Roy Hargrove、James Poyser、Charlie Hunter、Methodman、Redman、Q-Tipというツワモノが集結して、この名盤誕生に関わっていマス。
このアルバムの凄さは、Curtis Mayfield、Marvin Gaye、Stevie Wonderといった伝説の70年代ニューソウルと、80年代のブラック・ヒーローPrinceのような孤高なカリスマ性と、90年代を象徴する黒人音楽であるHip-Hopが実に自然に融合している点だと思いマス。
ちなみに第43回グラミー賞でアルバム『Voodoo』が最優秀R&Bアルバムを、アルバムからのシングル「Untitled (How Does It Feel)」が最優秀R&Bボーカル・パフォーマンスを受賞していマス。でも、そんな説明ナシでも間違いなく傑作だとわかる作品っす!こんな音楽を作れるのはD'Angelo以外に考えられない!
全曲紹介しときやす。
「Playa Playa 」
Electric Lady Landスタジオ録音の必然を感じさせる“Voodoo”なナンバー。この1曲でD'Angeloの呪術にかかってしまったようだ。何と言っても、 ?uestloveとPino Palladinoが生み出す大きくうねるグルーヴが凄すぎっす。
「Devil's Pie」
DJ Premierとのコラボで話題になった本アルバムのハイライト曲の1つ。本アルバムに先行して1998年の映画『Belly』のサントラに収録されていた。D'AngeloとPrimoが組むと聞けば、自ずと期待が高まるが、その期待以上のドス黒いナンバーっす。
Primoの生み出す極太&硬質ベースラインのループに、D'Angeloのラップのようなボーカルが絡み、剥き出しなカンジの極上クールネスに仕上がってマッスル。聴いているうちに陶酔してきマス。
「Left & Right 」
Methodman、Redmanをフィーチャーしたシングル・カット曲。Hip-Hopとニューソウルのハイブリッドを楽々とこなしてしまうのはさすがD'Angeloだけど、前の2曲に比べるとフツーかも?地味にQ-Tipも参加してマス。
「The Line」
“やっぱり「Brown Sugar」がスキ!”という人には、あのセクシー・ファルセットが堪能できる1st路線のナンバーっす。
「Send It On」
当時の奥方Angie Stoneとの共作ナンバー。これはニュー・クラシック・ソウルらしい、しっかり70年代しているスマートな曲デス。
「Chicken Grease」
即興的なジャムセッションによる一体化したグルーヴ感が最高にカッチョ良い曲。本アルバムの大きな成果の1つだと思いマス。
「One Mo' Gin」
決して甘くないホロ苦スロー。D'Angeloらしい不思議な浮遊感が漂うサウンドが少し不気味なカンジっす。
「The Root」
Charlie Hunterのジャジーなギターが印象的な、D'Angeloらしくニューソウルを消化しているナンバー。
「Spanish Joint」
タイトルの通り、スパニッシュなグルーヴ・ナンバー。爽快なグルーヴという点でアルバム中最もオシャレな曲かもね?ここでもCharlie Hunterのギターが大活躍デス。
「Feel Like Makin' Love」
Roberta Flackの1975年の大ヒット曲のカヴァー(Eugene McDaniels作品)。以前投稿したように、この曲については、Roberta Flack、Marlena Shaw、George Bensonの3人のメロウなバージョンが僕のお気に入りっす。D'Angeloのバージョンは、グルーヴ重視でファンキーな仕上がりになってマス。これはこれで悪くないっす。
「Greatdayndamornin'/Booty」
Angie Stoneソングライティング参加曲。これも、ライブ録音による一体化したグルーヴ感が堪能できマス。
「Untitled (How Does It Feel) 」
前述のグラミー受賞曲であり、「Devil's Pie」と並ぶ本アルバムのハイライトと言えるRaphael Saadiqとの共作による名バラード。特に、後半の盛り上がりはスバラシイ!の一言☆この曲はPrince殿下へのオマージュであり、少し変態チックなファルセット・ボイスが殿下っぽいよね!あと、鍛えられた上半身を剥き出しで歌うPVもインパクトあったよね。
「Africa」
タイトル通り、アフリカンなパーカッションが印象的な曲。僕の密かなお気に入りっす。と言うのも、僕の大好きなパーカッション奏者Ralph MacDonaldの名曲「In The Name Of Love」に似ているからっす。そう思うと、サウンドもRalph MacDonaldっぽいでしょ?
まだ、隠遁生活を送るには若すぎる!そろそろ新作出してくれないかなぁ?
ご返信がおそくなり大変申し訳ございません。
コメントを見落としておりました。
大変失礼致しました。
最初はイマイチでもある時急に自分にフィットする音ってありますよね。自分自身の音楽嗜好も少しずつ変化するし・・・私が当ブログで取り上げている作品にもそういったものが多数あります。
D'Angelo『Voodoo』に関しては、最初に聴いたときからかなり衝撃を受けました。21世紀を目前にして、新世紀の新たなR&Bの到来にかなり興奮したものです。
記事をエントリーしてから16年が経ちますが、今聴いてもD'Angeloのカリスマ性に圧倒される1枚だと感じます。