2009年10月18日

Free Design『Kites Are Fun』

Chris Dedrick率いるFree Designのデビュー作☆Free Design『Kites Are Fun』
Kites Are Fun
発表年:1967年
ez的ジャンル:ミラクル・コーラス系ソフト・ロック
気分は... :凧揚げは楽しいね!

Chris Dedrickを中心とした兄弟グループFree Designの2回目の登場です。

3rd『Heaven/Earth』に続いて紹介するのは、デビュー・アルバム『Kites Are Fun』(1967年)です。

ソフト・ロック好き、サバービア好きから根強い人気を誇るFree Designですが、4th『Stars/Time/Bubbles/Love』(1970年)と並んで人気が高い作品が、今日紹介するデビュー作『Kites Are Fun』(1967年)ですね。個人的には『Heaven/Earth』(1969年)が一番好きなのですが。

中心メンバーChris Dedrickの近年の仕事に関して、彼がプロデュースを担当したカナダの女性ヴォーカリストLori Cullenの4thアルバム『Buttercup Bugle』(2007年)を約2ヶ月前に記事にしました。

その記事を書く際に、久々にCD棚から『Kites Are Fun』を手にしたので、その流れで記事にするタイミングを計っていた次第です。Free Designは春もしくは秋が似合うグループという気がするので...なんて書きながら前回の『Heaven/Earth』は思い切り真冬に記事投稿していました(笑)

さて、『Kites Are Fun』ですが、本作時点のメンバーは、次男Chris、長男Bruce、長女Sandy(Sandra)の3人です。妹Ellenは次作『You Could Be Born Again』(1968年)からの参加となります。

全12曲のうち、3曲がカヴァーでそれ以外はChrisまたは他の兄弟によるオリジナルです。プロデューサーは発売元Project 3のオーナーEnoch Light、アシスタント・プロデューサーは後のCBSレコード社長のTony Mottola 、エンジニアはPhil Ramoneという裏方メンツは強力です。

Chrisを中心に美しいコーラスワーク、センス溢れる曲作りとアレンジ等々、グループの持つ豊かな才能が存分に発揮されたデビュー作となっています。素晴らしいコーラスワークは当然ですが、ロック、フォーク、ポップス、ジャズ、クラシック、映画音楽等の要素をバランスよく取り入れたアレンジ・センスが本作の魅力になっている気がします。

まぁ、ソフトロック好きの人であれば、鉄板の1枚でしょう。

全曲紹介しときやす。

「Kites Are Fun」
大人気のタイトル曲が本作のハイライトかもしれませんね。リコーダーの音色と彼らの美しくソフトなコーラスが実にマッチしています。Chris Dedrickの溢れる才能に一発でKOされてしまうオープニングです。シングルとして全米チャート114位を記録しています(これがグループ最大のヒット)。
http://www.youtube.com/watch?v=pm1iblowMgs

「Make the Madness Stop」
60年代後半らしいヒッピーな雰囲気とFree Designらしいエレガント&ドリーミーなコーラスが見事に融合しています。
http://www.youtube.com/watch?v=6xiL3Kse0Sk

「When Love Is Young」
Sandyのピュアなヴォーカルをフィーチャーしたジェントルなバラード。そのまま夢の世界に誘われていきそうですね。バックのギターもなかなかグッときます。

「The Proper Ornaments」
ソフト・ロック好きの人ならば歓喜の雄叫びをあげたくなるドリーミーなコーラスワークを堪能できる。トランペット、チェロ、ハープシコードを配したバロック調のアレンジも絶品です。

「My Brother Woody」
僕の一番のお気に入りはコレ。「Now Is the Time」『Heaven/Earth』収録)と並んで最も頻繁に聴いているFree Designソングかもしれません。Woodyとは当時8歳であったDedrick兄弟の弟Jasonのことなのだとか。ピュア&ドリーミーな魅力に溢れた名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=g8seuWdiQNQ

「59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) 」
Simon & Garfunkelの名曲をカヴァー。S&Gのオリジナルや有名なHarpers Bizarreのカヴァーと比較すると、テンポを落としたFree Designヴァージョンはかなり異なる印象を受けるかもしれません。ジャズ風のアレンジは、ビッグ・バンドでトランペットを演奏していた父Art Dedrickの影響でしょうね。

「Don't Turn Away」
ジワジワと盛り上がってくる美しいバラード。淡々として展開の曲で、これだけ聴かせてしまう彼らの力量に改めて驚かされます。

「Umbrellas」
コーラスグループのしての技巧を存分に駆使した軽妙かつポップな仕上がり。グループの持つスタイリッシュな側面に惹かれる人は気に入るのでは?

「Michelle」
Beatlesの名曲カヴァー。バロック調イージーリスニングといった雰囲気の仕上がりですね。それなりに楽しめます。

「Never Tell the World」
「My Brother Woody」と並ぶ僕のお気に入り。彼らのオリジナルですが、キュートなガールズ・ポップをFree Design風の美しいコーラス・ワークでアレンジしたような雰囲気に仕上がっています。

「A Man and A Woman」
Francis Laiによる映画『A Man and A Woman(邦題:男と女)』の主題歌カヴァー。この曲にFree Designの絶品コーラスがハマることはある程度想像できるので、その意味で正攻法な仕上がりは少し面白みに欠けるかも?

この曲については今秋のうちにオリジナル・サントラ『Un Homme Et Une Femme』を記事にしたいと思っています。

「Stay Another Season」
イントロが60年代ロックしていますね。美しいコーラスを聴かせるというより、歌そのものを聴かせるように仕上げています。その意味で他の曲と少し異なる雰囲気かも?

若いリスナーの方は、Free Designを敬愛するアーティスト達がリミックスを手掛けたアルバム『The Now Sound Redesigned』(2005年)も楽しいかも? Belle & SebastianStereolabHigh LlamasMadlib、The Mars Volta等興味深いメンバーが参加しています。

『The Now Sound Redesigned』(2005年)
The Now Sound Redesigned

「Kites Are Fun」(Remix By Mellow )
http://www.youtube.com/watch?v=5IRVqk9Pdak
posted by ez at 06:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。
フリーデザインは大好きなグループです。どれもが質の高いアルバムで、一番は決めがたいですが、しいて言えば『Stars/Time/Bubbles/Love』かな。
この『Kites Are Fun』も独特の魅力を放っており、たまに無性に聴きたくなります(笑)
リンクのリミックスヴァージョン、初めて聴きましたがなかなかイイですねぇ。
Posted by bobby at 2009年10月20日 22:11
☆bobbyさん

ありがとうございます。

Free Designを初めて聴いた時は大感動でしたね。
当時は渋谷系サウンド大好き!だったので相当ツボでした。
その意味ではジャケもお洒落な『Kites Are Fun』はグッときます。

リミックス・アルバムは参加メンバーも含めて惹かれますね。
Free DesignとStereolab、High Llamasの出会いというだけでそそられます。
Posted by ez at 2009年10月20日 23:58
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック