2006年02月10日

Van Morrison『Tupelo Honey』

ロック界の激シブオヤジ☆Van Morrison『Tupelo Honey』
Tupelo Honey (Exp)
発表年:1971年
ez的ジャンル:R25系激シブ・ロック
気分は... :ダサいがカッチョ良い!

昨日グラミー中継を観ていて、仕事で外出しようと思っていた矢先にいきなりSly Stoneが登場!Steven Tylerの紹介で登場したSly(現在63歳)はモヒカン頭にサングラス姿で、おもむろに「I Want To Take You Higher」を歌い、演奏が終わると疾風のようにステージから去っていった。一瞬の出来事に大興奮でテレビに釘付けになってしまい、危うくミーティングに遅刻しそうでしたヤレヤレ☆

さて、今日はそんなSlyにも負けないキャリアを誇るロック界の孤高のシンガーVan Morrisonの一番のお気に入り作『Tupelo Honey』っす。Slyが60年代後半から70年代前半の短期間に燃え尽きたアーティストだとすれば、Van MorrisonはThem脱退後の60年代後半にソロ活動を開始以来、現在に至るまで決してブレイクすることはない一方で、そのスタンスを変えることなくゆっくり歩み続ける稀有なアーティストだ。

以前も書いたけど、Van MorrisonはElvis Costelloと並んで、僕のCD保有枚数が最も多い男性ロックアーティストっす。中学生の頃から、ロック史研究に熱心だった僕はVan Morrisonが多くのミュージシャン仲間から絶賛されるスゴイ存在だということは知っていた。でも実際に彼のアルバムを聴いたのは、それから7〜8年後だった。

ロックにカッチョ良さを求めていた思春期に、ブサイクなオッサンのレコードを買いたいとは思わなかったし、さすがに周囲のロック小僧達も“オレVan Morrison好きだぜ!”なんて奴は皆無だったしねぇ。

でも、大学を卒業して社会人になり、だんだんVan Morrisonを聴きたい気分になってきた。カッチョ良い音楽やオシャレな音楽ばかりではなく、時にはカッチョ悪い音楽を聴きたくなったんだよね。そんな時に“今こそ、あのブサイクオヤジの音楽を聴く時だ”と思い立ち、『Astral Weeks』(1968年)、『Moondance』(1970年)、『Tupelo Honey』(1971年)のCD3枚をまとめ買いしたのが、僕のVan Morrisonコレクションの始まり。

この3枚のうち、一般的には『Astral Weeks』、『Moondance』の2枚が同点でVan Morrisonの最高傑作として紹介されることが多いと思うけど、僕的には『Tupelo Honey』の方が気に入った。なんか他の2枚よりも激シブの愛に溢れたアルバムに思えたんだよね。

実際、『Tupelo Honey』は、(このジャケ写真ではわかりづらいけど)柔らかい日差しの中で白馬に乗る恋人JanetとVan Morrisonの二人が写っているジャケットのように、二人の幸福な時間を反映した愛のアルバムだ。ただし、そこらの甘ったるいラブソング集ではなく、ビタースウィートな大人の愛のアルバムっす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Tupelo Honey」
何と言っても、このアルバムはこの曲に尽きます。僕がこのアルバムが好きなのも、この1曲が入っているのが理由っす。とにかく、シブく美しい名バラードっす。例の独特の節回しや強弱を巧みにコントロールするVanのボーカルが全身にしみわたってきます。うまい赤ダシの味噌汁のような曲っす。僕は最近まで知らなかったんだけど、TupeloはElvis Presleyの生まれ故郷の町の名前なんだって。

「Wild Night」
シングルカットもされたソウルフルなナンバー。ホーンセクションなんかも含めてアトランティックなカンジっす。でも、ソウルフルとは言っても、Vanの場合はソウルシンガーに憧れてますってカンジではなく、自分の音楽の1つの要素としてソウル/R&Bを自然に消化しているカンジがするね!

「(Straight To Your Heart) Like A Cannon Ball」
ワルツ調のダサカッチョ良いナンバー。この一見ぶっきらぼうなカンジだけど、繰り返し聴いているうちにコクが出てくるのが、この人の音楽のスゴイところだね。

「Old Old Woodstock」
タイトル通りウッドストックでの生活をテーマにした小粋なジャス・テイストの曲。ジャズと言えば、このアルバムの約半分の曲にModern Jazz QuartetのドラマーConnie Kayが参加してマス。

「You're My Woman」
Vanのボーカルを堪能できるバラード。Vanのボーカルって、胸キュンではなく、腹にズシリと感動できるのがイイっす。

「When That Evening Sun Goes Down」
Rolling Stones『Let It Bleed』あたりにも通じるカントリー・テイストなナンバー。Stonesのようにカッチョ良くなく、ダサく決めるところが逆に魅力っす。

「Moonshine Whiskey」
Vanらしいアイリッシュ・トラッドとソウルが混ざった不思議な曲。芳醇な香りとコクのあるナンバー。特に後半の盛り上がりはサイコーっす。

前述の3枚をはじめとする70年代前半までの作品に評価が集中するけど、僕は80年代後半から90年代前半あたりの作品も好きっす。特に、お気に入りは『Avalon Sunset』(1989年)デス。このアルバム収録の「Hava I Told You Lately」は、いつでも涙腺をウルウルさせてくれる僕的名曲っす。
posted by ez at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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