2009年11月04日

Todd Rundgren『Nearly Human』

Toddの埋もれた充実作☆Todd Rundgren『Nearly Human』
Nearly Human
発表年:1989年
ez的ジャンル:内省的偏屈ポップ
気分は... :80年代以降のToddも聴きましょう!

Todd Rundgrenの5回目の紹介です。

これまで紹介してきたTodd作品は以下の4枚です。

 『Runt:The Ballad Of Todd Rundgren』(1971年)
 『Something/Anything』(1972年)
 『Hermit Of Mink Hollow』(1977年)
 『The Ever Popular Tortured Artist Effect』(1983年)

5枚目に紹介するのは『Nearly Human』(1989年)です。

Toddの場合、どうしても『Something/Anything』に代表される70年代の作品の人気・評価が高く、80年代以降の作品は案外見落とされがちな気がします。

個人的には80年代にリリースされた4枚のオリジナル・アルバムは、どの作品も個性的な魅力を持った作品だと思います。

名曲「Compassion」を含むシリアスなメッセージ作品『Healing』(1981年)、ニューウェイヴ/エレポップからの影響が窺える『The Ever Popular Tortured Artist Effect』(1983年)、斬新なア・カペラ作品『A Cappella』(1985年)、ソウルへ接近した『Nearly Human』(1989年)とそれぞれ特徴的な色を持った4作品です。

その中で最も埋もれた作品が今日紹介する『Nearly Human』(1989年)だと思います。リアルタイムで聴いていた人以外あまり注目しない作品なのでは?

『Nearly Human』は前作『A Cappella』(1985年)から4年ぶりの新作であり、ワーナー移籍第一弾の作品です。

ワンマン・レコーディングだった『A Cappella』とは対照的に、本作では多くのミュージシャンが参加したライブ感覚のレコーディングが行われました。

サウンド的には前述のようにソウルへ接近した内容になっています。ただし、どこか屈折しているのがToddらしいところです。

その屈折ぶりはジャケにも反映されています、
6本指の人間の手形が描かれたジャケでは当時かなり物議を呼び起こしました。それが原因で国内盤は発売が遅れ、結果として5本指に修正されての発売となりました。僕が持っているのは6本指のままの輸入盤です。

ある程度Todd作品を聴いたことがある人ならば、思わずニヤリとするアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Want of a Nail」
このオープニングを聴けば、本作がソウルに接近したアルバムであると実感いただけるはずです。イントロでToddと共にヴォーカルをとるのは何とBobby Womack!豪快なホーン・セクション&ストリングスも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=zczIbf8vg9s

「The Waiting Game」
クラブ系リスナーは須永辰緒氏のお気に入りである本曲あたりにグッとくるのでは?Toddらしいメロディ・センスのブルーアイド・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=aWvW6569xOk

「Parallel Lines」
ミュージカル『Up Against It』のために書かれた1曲。Toddファンにはグッとくる、美しくも屈折したラブソングに仕上がっています。僕などは聴いているだけで目がウルウルになってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=b5u74XOwTFk

ここまでの冒頭3曲が絶品です。この3曲のみでも本作は買いだと思います。

「Two Little Hitlers」
Elvis Costello作品のカヴァー(オリジナルはアルバム『Armed Forces』収録)。Costelloのオリジナルにあるスカ・テイストを残しつつ、よりソウルフルな仕上がりになっています。Costello作品で言えば、『Get Happy!!』あたりに入っていそうな雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=_vE8K3SoIzo

「Can't Stop Running」
サウンド面での完成度はかなり高い1曲。80年代ならではの音ですが、今聴いても全く陳腐に感じません。Utopiaの盟友Kasim Sultonがベースを弾いています。
http://www.youtube.com/watch?v=lmALlePQI6c

「Unloved Children」
「Wolfman Jack」『Something/Anything』収録)あたりと一緒に聴きたくなる曲ですね。ブルージー&ソウルフルなノリの良さがグッド!Toddのギター・ソロもご機嫌です!
http://www.youtube.com/watch?v=lKDjrfjGXYU

「Fidelity」
Toddらしいメロディを堪能できるラブソング。本作では「Parallel Lines」と並ぶ名バラードでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=nNkuzygtR9w

「Feel It」
ToddがプロデュースしたThe Tubes『Love Bomb』(1985年)収録曲のセルフ・カヴァー。
http://www.youtube.com/watch?v=RxjL5GT5ZcA

「Hawking」
Toddらしいスケール感の大きいバラード。ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者ながら世界的な理論物理学者であるホーキング博士について歌ったもの。
http://www.youtube.com/watch?v=Wwz7cOnK__o

「I Love My Life」
ラストはゴスペル調のパワフルな仕上がり。コーラス隊を率いるのはNarada Michael Walden、Clarence Clemons(E Street Band)もバック・コーラスで参加しています。教会さながらの大盛り上がりでアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=rdhsdrGDJBw

サッカーUEFAチャンピオンズ・リーグ「ミラン対レアルマドリード」をTV観戦中。
前半終了時点で1対1ですが、両者気合いの入ったプレーでかなり面白い試合ですな。
posted by ez at 05:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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