2009年11月06日

The Who『The Who Sell Out』

Radio Londonから流れてくるThe Who☆The Who『The Who Sell Out』
The Who Sell Out
発表年:1967年
ez的ジャンル:脱モッズ系UKロック
気分は... :1,400回目のエントリーです!

今日は1,400回目のエントリーです。
いつも100回ごとに自分の中では一区切りという気分です。

当ブログの場合、形式上は"自分のお気に入りCDを紹介するブログ"となっていますが、実際には"自分のお気に入りCDについて、改めて整理し直す備忘録"ですかね。記事というかたちで整理することでアーティスト・作品に関する新たな発見や気づきがあり、それが楽しくて記事をエントリーし続けているという状況です。

自分のお気に入り音楽に関する"マイ・ライブラリ"のようなものが日々形成されていくのも楽しいですね。もしかしたら、個々の記事以上にその部分に悦びを感じているかもしれません。

一方で、最初の2年分くらいの記事はかなり適当に書いていたのを後悔しています。昨日も3年前の記事の誤った記載をご指摘頂き、修正したばかりです。出来ることならば、改めて書き直したいという思いもありますが、新しい記事投稿で手一杯なので難しいですね(泣)

自分のみならず閲覧者の皆様にも楽しんでいただけるように、とりあえず次の100回に向けて頑張ります。

さて、記念のエントリーに選んだ作品はThe Who『The Who Sell Out』(1967年)です。

これまで当ブログで紹介してきたThe Who作品は以下の5枚(発売順)。

 『My Generation』(1965年)
 『A Quick One』(1966年)
 『Meaty Beaty Big And Bouncy』(1971年)
 『Who's Next』(1971年)
 『Quadrophenia』(1973年)

本作『The Who Sell Out』(1967年)は、『My Generation』『A Quick One』に続く3rdアルバムとなります。

『The Who Sell Out』というBeatles『Beatles For Sale』を意識したかのようなタイトルに、思わずニヤリとしてしまいます。

本作では架空の海賊ラジオ局Radio Londonという設定のトータル・アルバムに仕上がっており、曲間にはRadio LondonのジングルやCM(曲自体がCM曲のものもある)も挿入されます。さらにはCMに登場する商品について架空の宣伝広告を作り、表裏ジャケでPete TownshendRoger DaltreyJohn EntwistleKeith Moonという4人のメンバーが宣伝しています。

国営放送ではロックを殆ど聴くことができなかったため、ロックを聴きたい若者に人気のあった海賊ラジオ局をテーマに据え、コミカルに架空の宣伝広告を行う本作は、Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に代表される当時のトータル・アルバムのような大作の雰囲気はなく、カジュアルなトータル・アルバムといった感じが好きです。

本作で聴かれるサウンドには、モッズ・バンドとしてのThe Whoの面影は殆どありません。また、シングル・ヒットした「I Can See for Miles」以外の曲はインパクトが小さいかもかもしれません。それでも本作はThe Whoならではのセンスに溢れた、The Whoらしいアルバムだと思います。

本作はロック・オペラ作品として有名な次作『Tommy』(1969年)へのステップ的な作品でもあります。『Tommy』をお聴きになった方は、『Tommy』の断片を既に聴くことができるのも楽しい作品だと思います。

個々の曲を聴くというよりも、ジャケも含めてトータルな雰囲気を楽しむアルバムだと思います。その意味では最初から最後までスキップせずに聴いた方がニンマリしながら楽しめると思います。

全曲紹介しときやす。

「Armenia City in the Sky」
♪Monday...Tuesday...Wednesday...♪とのジングルでRadio Londonがスタートします。そして、オープニングは本作唯一のメンバー以外の作品「Armenia City in the Sky」です。作者はPeteの友人であり、Thunderclap Newmanを率いたJohn "Speedy" Keen。ファズ・ギターとホーンが入ったサイケな雰囲気はBeatles『Revolver』あたりと一緒に聴きたくなりますね。「I Can See for Miles」と並んで印象深い曲ですね。曲終了と同時に再びRadio Londonのジングルが聴こえてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=wiUUoEzHRqg

John "Speedy" KeenのThunderclap Newmanと言えば、Peteがプロデュース、Keen作の「Something in the Air」が1969年にUKシングル・チャートNo.1になっています。LabelleEurythmics、The Lightning Seeds、Tom Petty等もカヴァーしている名曲ですね。

Thunderclap Newman「Something in the Air」
 http://www.youtube.com/watch?v=Q_srFu5slZU

「Heinz Baked Beans」
John作品の1曲目は、コミカルな雰囲気の架空のCM曲です(Heintzは実在の会社ですが)。ジャケでRogerが缶を抱えたまま浸っているのがHeintz Baked Beansみたいです。曲の終わりに「More Music」と呼ばれるジングルが聴こえてきます
http://www.youtube.com/watch?v=17F9i302tfo

「Mary Anne with the Shaky Hand」
Peteらしい美しいメロディとWhoならではのコーラスワークが光るアコースティック・チューン。ボーナス・トラックの別テイクと聴き比べるのも楽しいです。曲の終わりにKeith Moon愛用Premier DrumsのCM曲が流れ、さらにRadio Londonのジングルが続きます。
http://www.youtube.com/watch?v=MMGq_HRH7A8

「Odorono」
ジャケでPeteが宣伝している脇の消臭剤のCM曲。一体どんな製品なのでしょう(笑)。Peteがヴォーカルをとっています。この鼻づまりヴォーカルを聴くと何故かホッとします。最後に女声コーラス入りのRadio Londonのジングル(Smooth Sailing)が入っています。
http://www.youtube.com/watch?v=QfpIYXOGgLM

「Tattoo」
ライブの定番としてもお馴染みの曲ですね。『Tommy』に入っていそうな美しさを持っています。最後に流れるRadio Londonのジングルも優雅です。
http://www.youtube.com/watch?v=DxLjUzKhdJM

「Our Love Was」
個人的には大好きな1曲。Peteがリード・ヴォーカルをとっています。青春ギター・ポップのキャッチーさとTommyを予感させるエレガントさがうまく融合しているのがいいですね。そんな曲でもKeithらしいドラムを聴けるのが嬉しいです。Radio Londonのジングルに続き、クラブSpeakeasyおよびギター弦メーカーRotosound StringsのCMが入ります。
http://www.youtube.com/watch?v=ALMR2ksinPw

「I Can See for Miles」
邦題「恋のマジック・アイ」。本作のハイライトと言えば、シングル・ヒットしたこの曲ですね。全米チャート第9位(The Who唯一の全米Top10ヒット)、全英チャート第10位のヒットとなりました。邦題とサウンドのギャップが大きいですが、ポップながらもサイケな雰囲気を持ち、かつスケールの大きな演奏を聴かせてくれる完成度の高い1曲だと思います。Keithのドラムがサイコー!最後に裏ジャケでJohnが宣伝しているスポーツジムCharles AtlasのCM曲が入っています。
http://www.youtube.com/watch?v=7As8L-0bwsM

本曲と言えば、先日紹介したばかりのUKのセッション・ギタリストBig Jim Sullivan(Lord Sitar)によるシタール演奏カヴァーもなかなかグッドですよ。またTina Turnerもカヴァーしていますね。

Tina Turner「I Can See for Miles」
 http://www.youtube.com/watch?v=wSrDOUggeqQ

「I Can't Reach You」
Peteがヴォーカルをとる繊細で美しい哀愁チューン。本作でPeteが歌う3曲はどれも美しさと脆さが同居している雰囲気があり、『Tommy』の登場を予感させますね。
http://www.youtube.com/watch?v=8LGS0h83Lns

「Medac」
John作の裏ジャケでKeithが宣伝しているニキビ薬のCMです。US盤ではタイトルが「Spotted Henry」に改題されています。
http://www.youtube.com/watch?v=EMNFLY5NLT8

「Relax」
サイケな雰囲気でなかなか聴き応えがあります。オルガンの音色も効果的ですね。ライブでも演奏されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=C8XLBn6Krqo

「Silas Stingy」
John作品。邦題「けちのサイラス」。♪Money, Money, Money...♪の部分がABBA「Money, Money, Money」に似ているということでも有名な曲ですね。まぁ、これは似ているという程度だと思いますが。
http://www.youtube.com/watch?v=U5lK01dns5E

「Sunrise」
この曲もPeteがヴォーカルをとっています。Peteの消えそうな小声でのヴォーカルと美しいアコースティック・サウンドがいいですね。次作『Tommy』の「Pinball Wizard」で聴かれるギターがチラッと登場するのも嬉しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=1NRKNC91OaQ

「Rael 1」
ラストは『Tommy』の予告編的なミニ・ロックオペラ。中間部のフワフワした感じが好きですね。さらに興味深いのは後半に『Tommy』収録「Sparks」の一部を聴くことができる点ですね。オリジナルでは最後にTrack RechordのCMが入り、アルバムが終了します。CDではボーナス・トラックの後にこのCMを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=XsOOJqblH5A

ここからはボーナス・トラックです。僕の所有するCDには以下の10曲が収録されています。本編とは別の意味で楽しめるボーナス・トラックです。ここまで充実してくるとボーナス・トラックの域を超えていると思いますが。「Rael 2」はオリジナルでは「Rael 1 & 2」となっていたもの、実際には「Rael 1」のみでした。このボーナス・トラックでも海賊ラジオ局仕立ての設定は変わらず、Coke等のCMが曲間に挿入されています。

「Rael 2」
 http://www.youtube.com/watch?v=LxGZkhG63BI
「Glittering Girl」
 http://www.youtube.com/watch?v=mA5yE6WSq8k
「Melancholia」
 http://www.youtube.com/watch?v=uj0duuXQPi0
「Someone's Coming」
 http://www.youtube.com/watch?v=L9plMa1VvzM
「Jaguar」
 http://www.youtube.com/watch?v=vwD3OvMTq8A
「Early Morning Cold Taxi」
 http://www.youtube.com/watch?v=cCqokKS_KXI
「Hall of the Mountain King」
「Girl's Eyes」
 http://www.youtube.com/watch?v=ui-S2CTzcRo
「Mary Anne with the Shaky Hand(Alternative Version)」
 http://www.youtube.com/watch?v=UbWh6WltGRk
「Glow Girl」
 http://www.youtube.com/watch?v=-YTajgFuMVQ

個人的には昔ながらのWhoらしい「Glittering Girl」、John作の「Someone's Coming」、Roger作の「Early Morning Cold Taxi」Al Kooperのオルガンが入った「Mary Anne with the Shaky Hand」の別テイクあたりにグッときます。

さらに今日では豪華テンコ盛りのDeluxe Editionもリリースされていますが、正直ここまで来てしまうとやり過ぎという気がします。なので僕は興味がありません。

本作と言えば、アメリカ人のバイオリン奏者/シンガーであるPetra Hadenがア・カペラで本作をカヴァーしたアルバム『Petra Haden Sings: The Who Sell Out』(2005年)をリリースしていますね。ジャケも含めた徹底ぶりに興味津々です。

『Petra Haden Sings: The Who Sell Out』
Petra Haden Sings: The Who Sell Out
posted by ez at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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